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撹拌#抽出理論

藤崎です。今回は「撹拌」について考察していきます。
撹拌の効果、活用法と注意点を記していきます。

撹拌とは

撹拌とは、ハンドドリップの蒸らし後にフィルターベッドをスプーンなどでかき回す行為のことを指します。
深煎りのコーヒーより浅煎りのコーヒーを抽出する時に用いられ、撹拌をすることによってより豆のポテンシャルを引き出すことができるとされています。

なぜ撹拌をするのか

結論として撹拌の目的は、
収率を上げる
透過速度のコントロール
です。

浅煎りのコーヒーで撹拌がよく用いられるのは「収率を上げる」ためだと考えられます。

”深煎りのコーヒー豆は蒸らしの際にガスの排出量が多く、膨らみを大きくなり、豆がよく動きます、つまり、深煎りのコーヒーは、人為的に撹拌を加えなくても自然と撹拌されているような状態となります。
それに対し、浅煎りのコーヒーは深煎りのコーヒーに比べ、ガスの排出量が少なく、またコーヒー豆自体も硬いので、深煎りに比べ豆とお湯がが馴染み辛く、コーヒーの味わいをうまく引き出せていない場合があるのです。そこで、撹拌を加えることでコーヒーの味わいをうまく引き出すことができます。”
撹拌ドリップでコーヒーをもっとおいしく!!参照

では、なぜ撹拌を行うと収率を上げることができるのでしょうか
それは撹拌により、濃度勾配を増大させ、抽出効率を高めることが可能だからです。

濃度勾配とは、一つの系の中で場所によってある物質の濃度が異なる場合の濃度の傾き,すなわち勾配をいう。
コトバンク参照

コーヒーの分子は高濃度から低濃度に広がり、濃度を均一にしようとします。これを拡散と言い、勾配が大きければ大きいほど拡散はアクティブに行われます。
しかし、抽出が進むにつれ、勾配が小さくなり、拡散は穏やかになります。
ここで撹拌を行い、濃度勾配を大きすることで拡散を促し、抽出効率を向上させることができるのです。

また、撹拌でチャネリングを抑制することもできます。

撹拌により、抽出効率を上げ、収率を高めることでコーヒー豆のポテンシャルを引き出すことが可能になります。

撹拌による透過速度コントロール

通常、フィルターベッドは蒸らした後、穏やかな状態が好ましいとされています。穏やかな状態を保つことにより、沈降分離が均等に行われ、より均一な抽出になります。

…沈降分離は目的により,粒子の大小を分ける分級,密度の異なる粒子の分離選別,粒子と液体の分離に分類される。粒子と液体の分離はさらに,液体中の少量の固体粒子群を沈積させて固体濃度を高めることを目的とする沈降濃縮と,粒子を沈降させて粒子を含まない上澄み液を得るのを目的とする清澄化に分けられる。 液体中に分散する粒子は粒子の大きさ,形,液体と粒子との密度差,液体の粘度,粒子の液中濃度などにより沈降速度が変化し,粒子密度が同一なら大きな粒子は小さな粒子より速く落下するので,粒子の大小を分けることができる。…
コトバンク参照

撹拌を行わない場合、粒子密度が同一であれば、大きな粒子から下に沈みます。しかし、蒸らし後の過度な撹拌を行った場合、微粉などの細かな粒子が湯の流れでフィルター底部に詰まり、フィルターの目詰まりを引き起こします。

僕はこのフィルターの目詰まりをうまく活用することにより、透過速度をコントロールすることができると考えています。

撹拌の回数でボディの出にくいゲイシャにボディを加えたり、
透過の早いファーメンテーション系のコーヒーの透過を遅くしたりすることができます。

撹拌時の注意点

僕は基本的に撹拌肯定派ですが、均一な抽出が求められる競技会などではブレの原因になる可能性もあります。
回数や撹拌の仕方など、どう撹拌するのかを厳格に決めることが重要です。

また、やはり過度な撹拌は過抽出の原因にもなります。
やり過ぎには注意が必要です。

まとめ

撹拌をうまく活用することにより、
豆のポテンシャルを引き出すことができ、抽出もコントロールすることができます。

では、また。

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