見出し画像

19位 Stas Smirnov, Russia — 2021 World Brewers Cup

2021年10月、イタリアのミラノで開催されたワールドブリュワーズカップ(WBrC)において、19位に入賞したロシア代表Stas Smirnovさんのオープンサービスを紹介します。

プレゼン動画

World Coffee ChampionshipsのYoutube で視聴できます。

プレゼン概要

「優れたコーヒーは時代ととも発展する技術革新によって進化し、身近なものになりつつある、今後も科学的なアプローチなどの新たな試みは素晴らしい結果をもたし、私たちを楽しませてくれる。」というメッセージに則した論理的な視点で抽出を行なっています。

使用コーヒー

  • PRODUCER : Joseph Brodsky

  • COUNTRY : Panama

  • TERROIR : Volcán

  • FARM : Ninety Plus Gesha Estates

  • ALTITUDE : 1600m

  • PROCESS : Natural Anaerobic Fermentation

  • VARIETY :Geisha, Ethiopia Heirloom

Ninety Plus Gesha Estates

管理された自然環境でコーヒーの木が育てられ、豊かな火山性土壌、亜熱帯性気候、海抜1600メートルの高地。これらは日中に太陽エネルギーを蓄積するように代謝のリズムを決定し、チェリーの糖度が高い安定した成熟が実現します。ゆっくりとした木の成長と少ない収穫量は、ジューシーな酸味と豊かな味わいをもたらします。発酵の材料として果肉やコーヒーの葉を使用して発酵させます。これはテロワールの微生物の潜在能力を最大限活用するエチオピア式として知られています。

プロセス

発酵の温度は、すべての工程で調整・管理されています。第一の嫌気性発酵では、糖分が豆の中に封じ込められ、テイストプロファイルが明るい印象になります。第二の好気性発酵で味わいはクリアに、第三の乾燥工程で豆の奥まで糖分を運びます。

焙煎

焙煎することでタンパク質が分解され、アミノ酸がショ糖と相互作用して多くの味を形成します。それに伴い、糖分の割合が高いということは、甘さだけでなく複雑な酸味も意味します。
4日前にサンプルロースターであるIKAWAで焙煎したものを使用します。トータルタイムは5分20秒、ディベロップタイムは20秒。焙煎後すぐに酸素を用いてショックフリーズを行うことで、弾けるような酸味とトロピカルな香り、心地よいアルコールの香りが絶妙なバランスで混ざり合った複雑な味わいを表現することができました。

抽出方法

レシピ

  • Coffee:19.5g

  • Water temperature : 96℃

  1. 0:00 - 0:07 100g

  2. 0:45 カップからドリッパーを下ろし、浸漬

  3. 1:20 - 1:30 310g(+210g)

  4. 2:55 - 3:00 ドリッパーをスピン

  5. 3:00 カップの上に置き、抽出

  6. 4:20 抽出完了

抽出理論

一投目は抽出の準備のため100gを注湯し、表面の発酵物や糖分を溶かします。二投目がテロワールと遺伝子のポテンシャルを引き出すためのメインの抽出です。

抽出器具

Clever Coffee Dripper
プラスチックは味や匂いがなく、また熱容量が小さいため環境による温度変化も少なく、安定した抽出が可能です。

ペーパーフィルター

Melitta Paper Filter
紙の味がしないように300gのお湯でリンスを行います。

粒度

手挽きのコニカル刃のミルで挽く前に、コーヒーを固体の炭酸ガスで凍らせ、650μでグラインドした場合、粒子がより丸みを帯びたので見た目も小さくなりました。これにより、非常にジューシーで長い余韻が感じられ、複雑な酸味が増し、ボディがよりシルキーになります。

6.8pH
65ppm
硫酸マグネシウムと炭酸水素ナトリウムを加えた浸透水を使用しています。

カッププロファイル

Aroma

Complex, Caramel, Peach, Orange blossom, Magnolia, Hints of strawberry

Flavor

Hot : Intense,  Sweet,  Tropical notes with distinct pineapple, Passion fruit, Mango, Dark chocolate, Red wine, Dark rum, Hints of strawberry
Warm
: Tropical flavored, Orange, Passion fruit, Pineapple, Guava, Red wine, Magnolia  notes, Notes of cacao
Cold : Bright, Magnolia, Orange, Passion fruit, Red wine

Aftertaste

Long, Refreshing, Tropical notes with distinct passion fruit and pineapple
Cold : Blackberry, Strawberry, Apple cider

Acidity

Hot : Complex, Juicy, Ripe, Medium level
Warm
: Refreshing, Sparkling
Cold : Refreshing, Citric and sparkling, Tartaric, Lactic, Malic, Citric, Medium level

Body

Smooth, Silky, Clear, Round(Cold)

Overall

Well balanced, Harmonious, Complex juicy acidity of red fruits, Complemented well with flower notes and alcohol notes with sweet pastries

感想

Ninety Plus Gesha Estates の登場です。味が出やすいからか、焙煎時間が短いです。また、フローズンビーンを使用しています。クレバーを使用するまでは普通ですが、抽出が特殊でした。基本的に浸漬ができるドリッパーは蒸らしを均一にするため、一投目時点ではカップから下ろして浸漬することが多いですが、今回は一投目透過で抽出していました。また、300g以上注湯するのは今大会では珍しいですね。フレーバーの強いNinety Plusに合わせたレシピという印象の抽出でした。

最近はNinety Plusをお店で見かけることがないので、今年はどこかで飲みたいですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?