7位 Nicole Battefeld Montgomery, Germany — 2021 World Brewers Cup
2021年10月、イタリアのミラノで開催されたワールドブリュワーズカップ(WBrC)において、7位に入賞したドイツ代表Nicole Battefeld Montgomeryさんのオープンサービスを紹介します。
プレゼン動画
World Coffee ChampionshipsのYoutube で視聴できます。
プレゼン概要
温度がコーヒーに与える影響を三つのパートに分けて説明しているプレゼンテーションです。(一つ目は、コーヒーの栽培と加工に不可欠な温度について。二つ目は、バリスタやロースターが温度をよってコーヒーに与える変化について。三つ目はフレーバー・酸・質感への温度が果たす重要な役割について。)
使用コーヒー
Exporter : Primrose
COUNTRY : Ethiopia
TERROIR : Yirgacheffe
FARM : Koke Abraham
ALTITUDE : 1950-2300m
PROCESS : Carbonic Maceration
VARIETY : Heirloom
この地域は緑豊かなジャングルのようですが、太陽の影響は安定した曇りによって穏やかです。そのため、毎年11月から2月の収穫期には、夜の平均気温は10度ほどしかなく、日中でも21度以上にはなりません。この低い気温のおかげで、コーヒーはゆっくりと熟し、白ブドウのような酸味がトロピカルフルーツやイエローストーンフルーツの甘みへと変化していきます。
Carbonic Maceration
Project Originによって導入された技術を用いています。Brix値が20−22の完熟したものだけを収穫し、果肉を取り除いた後炭酸ガスで満たされたタンクに投入します。これにより発酵温度をコントロールすることが可能になります。このプロセスで明るい白ブドウのような酸味、ダークチョコレートのような香り、より複雑なトロピカルな甘みを引き出すことができます。そして、シルキーからジューシー、スパークリングへと質感が変化します。
焙煎
100g単位でサンプルロースターを使用し焙煎しています。ドロップ温度を170℃にすることで、焙煎時間を5分30秒に延ばすことができ、メイラード反応も延ばすことができました。その結果、多糖類の含有量が多くなり、完熟したパイナップルやピーチのような風味として感じることができます。
抽出方法
レシピ
Coffee:20g
Water temperature:92℃
Brew Ratio : 1 : 15
0:00 - 0:08 60g
0:40 - 0:48 120g(+60g)
1:20 - 1:28 180g(+60g)
2:00 - 2:08 240g(+60g)
2:40 - 2:48 300g(+60g)
3:40 抽出完了
抽出理論
粗い挽き目での強みを出すために、注湯を5回に分け、水が毎回完全に透過するようにしています。こうすることで、カップの鮮やかさや透明感を失うことなく、抽出量を増やすことができます。
フローズンビーン
焙煎豆をマイナス20度で凍らせることで、すべてのフレーバーを閉じ込め、コーヒーの劣化を防いでいます。また、凍らせた豆は粒度分布がより均一になり、ブライトなカップに仕上げることができます。
粒度
このコーヒーが持つ素晴らしい酸味を促進するために、かなり粗挽きの設定で挽いています。そうすることで、このコーヒーのパイナップルフレーバーを引き立たせることができます。挽いた後は、真空パックの容器に入れて、酸化しないように保存しました。
抽出器具
V60 Metal Dripper
金属の熱伝導は非常に均一であり、パイナップルのフレーバーをより明るく引き出すことができます。
水
DWT(逆浸透膜)の水を50%、Yazer?の水を50%の割合で混ぜた水を使用しています。Yazer?の水はトルコのミネラルウォーターで、炭酸水素の強度が少し高いです。これにより、コーヒーのボディと甘さを強調することができます。この2つの水を混ぜると、pHが7.2になります。
COMPASS
COMPASSは赤外線温度計で、コーヒーが熱い状態から温かい状態、冷たい状態へと変化することを体験するためのガイドラインになります。これにより、フレーバー・酸味・ボディがどのように変化していくかを正確に把握することができます。
カッププロファイル
Aroma
Red apple, Peach iced tea, Ripe pineapple
Flavor
Hot(55-℃) : Red apple, Purple plum, Violet, Pineapple
Warm(43-47℃) : Ripe pineapple, Ripe peach, Lemon drop candy
Cold(-40℃) : White grape acidity, Pomelo, Cacao
Aftertaste
Medium long, Raisin, Chocolate
Acidity
Hot : Malic like red apple
Warm : Tropical like pineapple, Citric acidity
Cold : Tartaric like white grapes
Body
Hot : Silky
Warm :Juicy
Cold :Sparkling
Overall
Balanced cup
感想
一貫して温度にフォーカスを当てたプレゼンテーションがとても綺麗にまとまっています。COMPASSを使用した提供方法も新しい演出でした。使用した豆はProject Originのコーヒーで、おそらくダイアモンドプロファイルのコーヒーだと思います。
パイナップル系のフレーバーということは発酵が強いのでしょうか。粗目でサラッと抽出しているような印象を受けました。
また、焙煎時間が5分半と短く、温度も低かったので焙煎も特殊なプロファイルで行われていると思いました。(サンプル焙煎機だからという可能性も考えられますが)
非常に勉強になるプレゼンテーションでした。
Project Originに到達するまで長かった、、
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