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蓬莱橋とぼんぼり祭りのこと

5月25日、島田市にある蓬莱橋で行われたぼんぼり祭りを見にいった。蓬莱橋は明治期に大井川にかけられた世界最長の木造橋。不老長寿にちなんだ「蓬莱」の名と、897.4m(やくなし)という縁起の良い語呂合わせで、健康を祈願して渡る人も多い。

近年では駐車場周りが整備され、橋の袂にちょっとした土産物屋とカフェがオープン。橋の下には広めのスペースが作られ、イベントや祭りに使えるようになっている。

島田市、蓬莱橋、山側から(2024.5/25)

ぼんぼり祭りは2024年で31回目をむかえるイベントで、地元近隣の人たちの絵を貼ったぼんぼりが橋いっぱいに建てられる。広場にはキッチンカーや屋台が並び、ステージではバンド演奏や和太鼓など各種出し物があり、年々規模が大きくなっていってるように感じる。

見返り美人…のようでタッチは現代的
カラフルな龍が真上に登っていく構図と前向きなメッセージが素晴らしい

ぼんぼりには前後1枚ずつ絵が貼ってあり、橋を渡りながら鑑賞していく。祭りとはいうが、その様子はさながら屋外散歩型の美術館だ。絵を描いているのは絵画教室の生徒、美術部の学生、幼稚園保育園生など、シニアから子どもまで幅広い。内容はイラスト風のものから時事ネタ、人気アニメや漫画のキャラクターなど様々で、巧拙もジャンルもごちゃまぜなところが面白い。

カエルの表情が面白い。彼らのようにずっと面白いこと考えていたい
蓬莱橋、市街地側から

日が落ち切ると橋の上はぼんぼりの明かりのみとなり、暗くなった河原に点々と光の道が浮かび上がる。橋の真ん中あたりで振り返ると市街地が遠くにあり、俗世を離れたような気持ちにさせられる。

子どもの頃は大井川の河原が果てなく広がっているように感じたものだが、大人になってもその広さは変わらない。ぐるっと見回せば付近に建物はなく川と砂利のみ、奥に牧の原の山々が壁のように続いている景色はいつ見ても迫力がある。昔から「三途の川はこんな感じなんだろうか」と想像していた。

山側からの蓬莱橋

往復およそ2キロの散歩はあっという間に終わった。広場周辺は大勢の人で賑わっており、放送の音声、BGM、笑い声、照明の明かり、車道からのライトが飛び交い、目にも耳にも騒がしい。俗世に帰ってきてしまったかと思いながら、どこかでホッとしている自分もいる。

蓬莱橋周辺の整備・開発はリアルタイムで行われており、最近では橋を渡った先にも見どころを作ろうとしているなんて噂を聞いたことがある。かつての農業用の橋は、観光地としてさらに大きな賑わいを見せようとしている。

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