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法多山の万灯祭、装飾は信仰のために

7月9日、10日は袋井市の法多山(はったさん)で万灯祭(ばんとうさい)が行われた。なんでもこの日にお参りをすれば46,000日分のご利益が一気に得られるとか。夕方18時を過ぎると、境内に置かれた無数の灯籠に明かりが灯る。

もともとは10日の参拝を予定していたが、天気予報が雨のため予定を繰り上げた。駐車場を降りてすぐに見えてくるのは、提灯を並べて作った壁。ここから本堂までは土産物屋さんと飲食店、露店が立つお祭り参道となっている。

法多山は山というだけあって、それなりに登りがある。参道も短くはないのでぐるりと一周回れば、それだけでちょっとしたハイキングをしたような心地になる。

そんな参道だが、万灯祭ともなれば露店の数も多い。普通のお祭りと違って露店が密集したエリアが点在しているのは面白いと思った。唐揚げ、焼き鳥、焼きそば、どれも美味しそうだが、何だかんだでいつも買わない。

本堂へと続く階段には、途中から灯籠が置かれていた。写真を撮る人が多いので進みはすこぶる遅い。階段の途中にあるスペースにも露店が出ていた。ソースの焼ける匂いや甘い匂い、汗と香水の匂いが混じった祭りの空気だ。

飼い主に抱かれながら階段を登っているミニチュアダックスは、なんとも言えない複雑な表情をしている。

「あんた今、楽しいかね」
「楽しくはない。ふつう」

犬からそんな返事が返ってきそうだ。

何かと催し物や季節に応じた装飾を行う法多山は、行くたびに新たな見どころが出来上がっている。今回はじめて見たのは、「帯と風鈴を吊るして下から桃色のライトで照らした回廊」だ。何やら名前がついてたと思うが、覚えていないので見たままに説明。若い人はカメラを向けて楽しんでいるようだが、子どもはばーっと早足で抜けていく。

メインともいえる本堂前の灯籠は、人が多すぎて落ち着いて見ることができなかった。灯籠の点灯時間は18時から21時までとなっているが、その間、しんとする瞬間はほぼないと思われる。パンフレットやホームページ写真のような景色を見るには、ずっと張り付く気合と運が必要なのだ。いっそのこと、夜間はずっと点灯していてはどうだろう。人がまばらになりそうな深夜2時3時に本堂を目指すのも面白そうだ。

帰りの道中には名物の厄除け団子のお店がある。店頭の広場には露店が出ていてここもかなりの賑わいだ。

広場と反対方向の道には、小さな池があって弁天様が祀られている。お堂の周りには、横向きにさした傘が置かれ、裏側からライトが当てられていた。普段は素通りされがちな場所もこうすれば人が集まる。もしかしたらこういう派手な装飾をするのは、必ずしも参拝客のためだけではないのかもしれない。

そういえば階段途中にあった氷室も、いつの間にやら神社としてきれいに整備されていた。参拝客だけでなく神様にも配慮する。自分の勘違いだったとしても、その心意気を嬉しく思った。

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