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“密”を究めよう(地銀向けニュースレターVol.39)

地域⾦融機関は“密のビジネス”

密閉・密集・密接。
昨年の流⾏語⼤賞となった「3密」という⾔葉がメディアに登場してまだ1年たっていませんが、すっかり⾔葉も⾏動様式も定着した感があります。

そんななか地域⾦融機関は、お客様への定期的な訪問を通じたコミュニケーションや、支店組織を中心とした顔をあわせることが前提の業務設計など、“密のビジネス”であると実感しました。

“密”を究めた者が勝者になる

この先、多くの業界・領域で、ネットの活⽤等で密を回避する動きが強まるでしょう。新型コロナ以前からの潮流が、加速するわけです。⾦融とて例外ではありません。

しかし、地域⾦融機関までもが心理的に“密”の回避を志向すると、“密のビジネス”という特徴・培ってきた強みを失いかねません。

むしろ、こんな時代だからこそ、地域⾦融機関には徹底的に“密”を究めて欲しいと思います。

緊密・綿密・濃密、そして親密。
お客様に心から寄り添い、しっかりと時間をかけて対話して相談にのり、深いところまでを理解したうえで、関係性を強めていく、という地域⾦融機関の姿に、“密”というキーワードはピッタリです。

“密”は避けるべきもの、という世の中の風潮はありますが、次の時代の地域⾦融機関の勝者は、“密”を究めることができた者ではないでしょうか。

進化した手法で“密”を創る

“密”を究める、と⾔っても、もちろん感染症のリスクを高める“密”はダメです。また、BC時代(Beforeコロナ)と同じ手法だけで“密”を究めようとするのも違うでしょう。進化した手法で“密”を創りあげていくことが必要です。

オンラインを活⽤して“密”になる

進化した手法として、やはりオンラインの活⽤、具体的にはZoom等(以降は単にZoomと表記)の活⽤は外せません。

3密回避の時代となり、リアルに人と会うことの価値は、むしろ増した感があります。一方で、Zoomをうまく使えば、“密”という観点でも、リアルには会わないデメリットを凌駕するメリットを得ることができます。

参考までに、この1年で私⾃⾝がZoomを使って“密”を創ることができた事例を紹介します。

【頻度が高まり密となった】
昨年4月に開始予定だった地域⾦融機関とのプロジェクトは、月に2回、対面で打合せ(各回、半日程度)をしながら進める設計でした。しかし、緊急事態宣⾔が発出されたため、対面をZoomに置き換えました。移動時間の制約がなくなり打合せの実施タイミングに⾃由度が増したことで、週に3〜4回(1回30分〜1時間程度)と高頻度で打合せができ、結果として対面より密度の濃いコミュニケーションのもと進めることができました。

【スピードが早まり密となった】
BC時代は、面談・意⾒交換のご依頼をいただいても、出張となるため日程調整が難しく、2週間後になることも珍しくありませんでした。しかし、手段がZoomに置き換わったことで、事前準備の必要がないケースでは、即日の実施となったものもあります。熱いタイミングで意⾒交換をすることができ、より緊密度が増しました。

【機会を得て密となった】
九州の地域⾦融機関に勤務する支店⻑からご依頼があり、昨年6月〜メンターをやらせていただいています。Zoomを使っての、月に2回のディスカッションです。東京と九州という地理的な要因、また組織ではなく個人からのご依頼という要因の双方を踏まえると、Zoomが媒体とならなければメンターの機会を持つことは不可能でした。Zoomにより、密となる機会が創出されました。

⾏庫「内」でも“密”を究める

私⾃⾝がZoomで新たな密を創出できた経験を、3つの観点からお伝えしました。皆さんが“密”の創り方を考える際の入り口になればと思います。

なお、“密”を究める対象は、お客様だけではありません。⾏庫内も対象です。

たとえば、本部が支店からの質問・相談に対応する際は、声だけよりも顔が⾒えた方が丁寧となり、密を築けます。また、案件の相談は、支店内で進めるだけでなく、本部の支援部署と支店とをZoomでつないで緊密・濃密におこなうこともできます。さらに、案件次第では他の支店からも案件相談をZoomで⾒学できるよう開放すれば、副次的に実践的なOJTの機会としても活⽤できます。

リアルな対面でも“密”を究める

ここまで、オンラインを活⽤した“密”の創出について書いてきましたが、リアルな対面で“密”を究めることも、もちろんあって然るべきです。

新型コロナにより、これまで問題のなかった企業まで、債務超過が起こり得ます。必然的に、本業支援の必要性・重要性が高まります。

こうしたなか、訪問はするものの、感染防止のため短時間で切り上げるような活動ばかりしていては、求める“密”は築けず、お客様の役にもたてません。感染防止には⼗⼆分に配慮し、お客様に不安を抱かせないようにしながら、徹底的に寄り添い“密”を究める策を考えてみたいところです(折り畳み式の飛沫防止アクリルパネルを渉外担当者が持ち歩き、お客様との打ち合わせの場で広げるぐらいの原始的なことからでもいいと思います)。


図らずも湧いてきた“密”というキーワードのもと、各部署で、各ステークホルダーとの間に“密”を創り出し、新たな時代に歓迎される、地域⾦融機関らしい“密”を究めてはどうでしょうか。

以上、髙橋昌裕からのYELLでした。

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