⑧グレン手術 23年2月1日

2月1日(水)

夕方に先生から手術の説明があった。
【そもそも】イブの心室は右側しかない「単心室」で、房室弁と僧帽弁が一つになっている「共通房室弁」であるので血流が心臓内で逆流しやすい。通常は右心室から肺動脈、左心室から大動脈が出ているけど、イブの場合は右心室から大動脈が出ており、肺動脈は出口がなくなっている状態だ。
イブの場合は逆流が面倒で、生まれてすぐは心臓から肺へ至る血管が硬いから流れが悪いが、徐々に柔らかくなっていくと流れが強くなり、心臓の負担も増して弁の逆流もひどくなるそう。そのため、イブは前回の手術で弁を形成して逆流を抑えると共に、肺への血流をコントロールしていた。ある意味で酸素飽和度も制限され、チアノーゼを起こしやすい状態にされていた。
【今回は】現在の逆流は中程度で、今回の手術の次のステップである「フォンタン」に行くためには逆流の悪化が障害となる。その対応として「グレン手術」を実施し、上大静脈を心臓を経由することなく肺へ直接つなぐことで心臓の負担を軽減する。いままでは体と肺から来る血液が心室へ一緒になって入り心室からは体と肺の両方に血液を送っていたが、手術をすることで上大静脈の血液が直接肺へ来ることになるため、心臓は肺と体から血液を受け取って心室は体にだけ血液を送ればよくなる。肺へ流れる血液の量は変わらないけど静脈血の比率が上がるので酸素の取り込み効率が改善されチアノーゼも良くなる。手術後は上半身のグレン循環の影響で顔がだいぶむくみ、気分も悪いだろうから機嫌が悪いみたい。
【グレン手術の時期】通常は肺血管が柔らかくなり、血管もある程度太くなる生後6カ月ごろが目安とされているが、イブの場合は逆流がひどいので生後4カ月弱の実施となった。チアノーゼをほっておくと、体が酸素が足りないと思い大動脈系に余計な血管をはやしてしまって、そちらもフォンタンに支障が出てしまうので早めのグレンで抑制する効果もあるという。
【心臓型総肺静脈環流異常】イブの肺から心臓に至る肺静脈は狭いカ所があるため、ここの処置も必要だ。今回の手術でなんらかの対応をする可能性もあるが、別途手術をするか結果次第で決めるという。また弁の逆流への対応もグレン手術を実施すれば心臓の負担も減るため改善されるみたいだが、こちらも別途対応が必要か術後の状態次第だという。
【リスク】イブは最初の手術の時にしたカテーテルで、金属のワイヤーをとおした時に不整脈を起こしている。それ以降は右側相同によく見られる不整脈は起きていないが、今回も不整脈を起こす可能性がある。また心不全のリスクもあり、術後にエクモを付ける可能性がある。さらに横隔神経麻痺といって横隔膜を動かしている神経が麻痺して横隔膜が正常に動かなくなる症状の可能性もあるといい、これが起きたら気管切開の可能性も。

2月2日(木)

午前8時半に病室に行くと、イブは上機嫌だった。手術室の前に行くと察したのか泣き出したけど、私と妻と離れて手術室に入っていったら泣きやんだらしい汗。
手術はおそらく午前9時すぎに始まって、終了の電話があったのが午後8時過ぎ。手術は大成功!で、最初の手術とは違い胸骨は閉じたまま戻ってきた。同時にするかもと言われていた弁形成と総肺静脈環流異常症のケアもできたという。次のフォンタン手術に行くまでに悪化していたら別途手術の可能性もあるけど状況次第。首の静脈抵抗は15~20で、想定内。酸素飽和度は久々の80台後半に達していた。まだ感染症などに注意が必要だけどとりあえずほっとできた(´▽`*)病院の職員さんに感謝!

2月3日(金)

ICUで面会。酸素飽和度は80より上下をいったり来たり。イブの顔は少し白くて、グレンの影響でかなり膨らんでいた(゜Д゜)循環が落ち着くまでは膨らんだブサイクなままで、機嫌も悪いんだと。看護師の話だと意識もある程度戻っているみたい。今日の夕方から尿も出て、順調順調。来週には管も抜けるかなあと先生が言っていた。

2月5日(日)

抜管し、今日の午後6時からミルクを5cc開始。

2月9日(木)

ミルクは40ccを1日6回。飲みっぷりも良好のよう。酸素飽和度は86~88まで高い水準。血行も良くて、早ければ今週中にもICUから小児病棟に移動♪

2月11日(土)

ミルクが1日6回70ccに増量。明日も増えるよう。グレンの影響からか顔がむくみ気味で、元気も少しなかった。酸素飽和度は80中盤で、泣くと80を下回る。

2月14日(火)

ミルクは1日550ccに増量。酸素の吸引量は1㍑で、寝ているときで90台、泣くと70台、80台くらいが理想みたい。可能性は低いけど退院する時は酸素吸引が取れるかもしれないと看護師。体重は約4500㌘。金曜日に、手術後の具合を調べるためのCT検査をする予定。

2月28日(火)

手術後の経過は順調で心臓も小さくなり逆流も弱まってグレン循環もうまくいっているが、グレン手術の際に実施した心臓左下の肺静脈の広がりがまだ弱いと検査で明らかになり、再度の介入(手術)が必要になった。術前は途切れそうになるくらい狭かった肺静脈は広まったが、このままいくと再び閉じる(再狭窄)可能性が高そう。次の手術では左心房の隔壁を取り除くなどの処置を実施。経過観察をして、それでも狭かったらステントを埋め込むなどの処置を行う。心臓の運動のためには左心房の壁もつかうため、除去はあまりよくないみたいだが…。フォンタン手術を行うために心臓に取り付けた袋の中に血栓ができていることも発覚し、現状ではワルファリンを投与して血液をさらさらにして、フォンタンに備えるとか。

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