買い置きしていたチノパンは時代遅れ

 40代半ばから、外出するときはスーツではなく気軽にはけるスラックスを履いていた。
   その前は、仕事は作業服の上下を着て、通勤にはジーパンをはいていた。40代という年になり、スーツで通勤していた時期もあったけれど、40代半ばからは、四六時中気を使ってスーツを着ることも無いだろうと開き直ってしまったのか、会議でもない限り、いつのまにか一日中スラックスを履いているようになった。
 スラックスは毎日替えるほどの本数を持っていたわけでは無いけれど、週末に洗濯して履きまわすという状況だった。そしてだんだんとチノパンを好んで履くようになっていった。チノパンは作業ズボンと同じ感覚で気を遣わずに履けるのが良い。今はチノパンだけ履くようになってしまった。
 ジーパンも持ってはいるけれど、窮屈に感じてしまう。活動的ではなくなったのか、ジーパンで作業するようなこともなくなったのかもしれない。
 チノパンは、何本かをローテーションしながら履くと、数年履けるものもあった。生地そのものがへたるのもあるけれど、背中のベルト通しがボロボロになってくることもある。
 先日、生地がよれよれになってきて、背中のベルト通しもボロボロになったチノパンがあったので、買い置きを1本おろして、さらに新しく2本買うことにした。新しいチノパンも買い置きのチノパンと同じタイプが良いと思い、ユニクロに持っていったら、「このタイプのチノパンは、現在は有りません」「製品番号から見ると10年前の製品ですね」とのこと。
 数年前に買った記憶はあったけれど、10年も経っていたのか。自分の時間感覚は、数年も10年も同じになってしまったのかと、衝撃だった。
今回購入したチノパンは形も今風で良いけれど、自分の物持ちの良さにあきれてしまう。
 ちょっと前の記憶が、もう10年前の事になってしまっているのは、物持ちが良すぎるのか、物忘れが進んできたのか、その両方なのか、悩ましいことである。

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