我が家のファミリーヒストリー


 暑いですねえ。
診察では運動を勧めることもありますが、さすがに控えています。花火大会など、久しぶりに再開され、隅田川の花火大会では103万人も人出があったそうですね。
 
 今月はお盆。ご先祖様をお迎えするという方もいらっしゃるでしょうか。私は子どものころ夏休みに祖父母の家に行くのが楽しみでした。海の近くに住んでいて、毎日海水浴をしたものです。
 
 祖母の母、ひいばあちゃんにおノブさんというひとがいました。明治中頃から昭和初期までのひとです。当然私はあったことはありません。このおノブさん、嫁いだ先から半年で実家に帰されたそうで、その後再婚して4人子どもをもうけたのですが、家のことをほとんどやらず、外出もめったにせず、家にひきこもっていたそうです。
 次女である祖母は手先が器用で、家族中の着物を縫っていたこともあり、女学校の裁縫の先生になりました。おノブさんは、今なら発達障害と社交不安症、祖母はヤングケアラーといわれるかもしれません。明治の人というと、みな働き者で、忍耐強いイメージがありますが、こんなひともいたんですよね。
 
 祖母は自分の親や親せきの話をよくしてくれました。他にキツネが憑いた人や、自分で作った毒薬を飲んで死んだ人とかもいるのですが、祖母は、それらの人々を一家の恥というふうでもなく、「こんなひとがおったんよ」と、淡々と語っていました。  
 この構えは、今の私に影響を与えているのかしれません。

 人生にはなんでこんなことになったのか、何が悪かったのかとさまざま考えてしまうことがあります。でも「そういうこともあるんだな」「こんな人もいるのだな」と仕方なくでも受け止められるとダメージが少ないです。大変なことも、時間が経てば花火のように消えていくこともあります。そして人生は短い。
 
 家庭人としては活躍できなかったおノブさんも、ひ孫が精神科医になり、その存在は今月のネタとして役に立ってます。不思議なものです。あの世でいろんなご先祖様と話してみたいですが、我が家のファミリーヒストリーは取れ高なさそうですね。
 どうぞ熱中症にお気を付けください。

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