まだ好きでいてくれていると自惚れて、また話しかけてもいいですか。
かかとを少し浮かせて弾んだ歩き方をする彼は、フードつきの服をよく着ている。空きコマに散歩していたらたまたまひとりで歩く彼を見つけたときもそうだった。おかげであなただと気づけたよと言ったら、首元が守られていると安心するのかもとなんだか照れくさそうにしていた。
ひとり旅のついでにという名目で彼の住む街まで会いに行ったことがある。借りていた本を返すこと以外は何も約束していなかったけれど自然とふたりの足はお互いの帰り道から遠のいていた。近くの古本屋と図書館を案内してくれた彼と本棚を