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フジミの箱絵問題、俺は応援したい

8月も末、ニパ子ショックの陰でTwitterでちょっぴり模型界隈が荒れた。
発端はフジミ模型のブログにおいて、1/700艦船プラモ「特シリーズ」のリニューアルが紹介されたのだけど、その内容が多数のモデラー諸兄の反感を買うことに。
めちゃめちゃモヤモヤしたので、いろいろ思ったことを書いていく。

リニューアルその1
いままで初回特典だった機銃パーツを標準で付属。
これは誰も怒ってないし、ホメてもない。
でもすげーいいものだったよ。

リニューアルその2
品番の一新。いままでバラバラだったものを系統立てて並び替えるらしい。
これも誰も気にしてないし、怒ってもいなかった。
3桁で大丈夫なのかな?

リニューアルその3
パッケージデザインのリニューアル。
ボックスアートとも呼ばれる箱絵が廃止、戦艦長門の青図面をイメージした統一パッケージになり、艦種艦名は側面にシールで表記されることに。
これが集中的に叩かれた(´・ω・`)

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↑戦艦長門の青図面イメージのパッケージ。めちゃめちゃかっこいい↑
↓側面に貼られる商品名シールはコンパクトにまとめられている。QRコードは商品解説ページへ↓

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ネガティブな意見はだいたいこんな感じ。
「箱絵がないと購買意欲、制作意欲がそがれる」
「箱絵は名前と同じく重要な情報」
「箱絵の重要性もわからず不要コストとして切り捨てた」
「利根のキットなのにパッケージが長門ってどうなの」
「名前だけではどんな艦かわからない初心者を排除するのか」
「スマホカメラ禁止の店もあるのにQRコードは無い」
などなど。

反感の原因はおおよそ、メーカーの意図が読めない、という不信感になるのかな。

ではメーカーの意図を考えてみる。

「箱絵を不要コストとして切り捨てた」という意見はものすごくたくさんあったのだけど、おそらくは20/100点。
どう考えてもコストとして重かったのは箱絵ではなく箱の方
プラモデルのパッケージはある程度の大きさ以上のものは「身蓋式」などと呼ばれるタイプの箱が採用されているんだけど、これが高い。実に高い。

参考に小ロットの箱製作を受けているサイトで適当に見積もりをしてみたのだけど、身蓋式はほかの形と比較しても桁違い。
タミヤの兵隊がキャラメル箱タイプだったり、グッスマのシンカリオンが蓋つきトレータイプなのは、間違いなくコストが原因だよなって思える。
バンダイのメカコレとか、下手すりゃ箱の方が高かったりするかもしれない。
しかもアイテムごとにパッケージの大きさを変えて図柄を変えて、では量産効果も期待できない。

そこで箱のコストを抑えるためにフジミが取ったのが、身蓋式は継続したうえでの、箱の共通化。
大中小くらいのサイズで統一デザインを大量生産、側面シールでアイテムを区別、統一デザインは「特シリーズ」の顔として推す。

なぜ身蓋式にこだわるのかといえば、実はここが一番非合理的なんだけど、ロマンとノスタルジー以外に答えが出てこない。
プラモといえば、ぱかっと開くあの箱。と考えたんじゃないだろうか。
一応蓋つきトレータイプは結構蓋が邪魔だし、キャラメル箱タイプでは組み立てた部品の管理が難しい、という割とどうにでもなる理由はつけられなくもないかな。

箱については以上で一通りの推測は書けたと思う。

はい次「箱絵」の問題。

一連の話題の中では全然顧みられてなかったのだけど、フジミの艦船モデルはいくつかのシリーズに分かれているのね。主だったところで、
艦底まで再現した「帝国海軍シリーズ」

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接着剤不要、成型色とシールで色分けされた「艦NEXTシリーズ」

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精密さを追求した洋上モデル「特シリーズ」(旧)↓(今回リニューアル)

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「特シリーズ」に成型色とシールで塗装の手間を抑えた「特EASYシリーズ」

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1/700スケールだけでこれだけのシリーズを展開しているのだけど、何か気付かない?
「艦NEXTシリーズ」と「特シリーズ」のパッケージ、似通ってるんだよね。
中身は「艦NEXTシリーズ」は比較的初心者向け、「特シリーズ」は上級者向けであるにも関わらず。
ここから考えると、上級者は青いパッケージの「特シリーズ」を物色してもらい、初心者は色分けされた「艦NEXTシリーズ」へ誘導する。
という流れを想定しているのではないかと、考えられる。られろ。
であれば、今後「艦NEXTシリーズ」の箱絵まで同様のリニューアルをしない限り素晴らしい箱絵は存続し続けるし、初心者は「これかっけー」と上級者向けキットに心折られる事故も減る。

で、なんで「特シリーズ」がこんな憂き目に会うのかといえば、おそらくはメーカーの「特シリーズ」ユーザーへの信頼、もしくは甘えじゃなかろうか。
上級者なら箱絵より立派な資料たくさん持ってるよね?
素晴らしい箱絵でも積んでるキットいくつもあるよね?
キットは頑張るから箱絵は我慢してくんない?……的な。知らんけど。

本当のところはメーカーじゃないとわからないし、新しい方策が今後出てくるのかもしれない。
ただフジミは色々チャレンジしてる面白い会社なのに、箱絵の件で「ユーザーよりコストカットを選んだ」みたいにボロクソ言われてるのが納得できなかったし、多くは子供の駄々のようで見ていて不愉快だったよ。

なにより不愉快だったのが、騒ぎになったときにTwitterで「フジミ 利根」で検索してみると、8/20頃に購入報告がいくつか、箱絵についても青図面が長門であることについて軽く触れられる程度。
そしてこの話題に火が付いたのは、フジミ模型のブログにリニューアル情報が掲載された8/28以降……

お前ら一週間何してたん?誰も模型屋へ行かずプラモも買ってないのになんでそんな偉そうなん?

などとね、思ったりしてました。

さておき、ちゃんと件の利根は買ったので、簡単に気付いたことを書く。
権利があるので行使する。

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↑左が艦これ長門、右がリニューアル利根の組立図。↑
利根は図面と文字が大きくておっさんにやさしい!
でも塗装図や細かな装備品の名前、戦歴などの記載は全くなし。
決して初心者向けではない!

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QRコードを読み込むと直販画面へ。

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詳細な商品説明、ではあるけれどなんだか拍子抜け。

もっとデカイ詳細完成品画像とか、ARで白波立てて走り出すくらいは頑張ってほしい。

だけど俺はフジミを応援するぜ!


いつぞやのスーパーキッズランドのコンテストでもらったでっかい大和、
ずっと積んだままです・・・・

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