2015年ワールドカップ、日本代表とエディ・ジョーンズHCがラグビーの根本を教えてくれた
2015年、ワールドカップでの日本代表はエディ・ジョーンズHCが率いていた。2015年の予選プールの4試合はラグビーの根本的なところを観せてくれた。
「やっぱりラグビーは走れば勝てるんだ。」
「交代選手の起用でこれほど展開が変わるんだ。」
「もしかしたらラグビーというスポーツは日本人に向いているのかもしれない。」
日本代表はとにかく走っていた。タックル、ラックに入り、寝てもすぐに起き上がってすぐに走り始めた。とにかくこれをひたすら続けていた。
僕もラグビーを経験してきて、信じられないくらい起きては走ってを繰り返していた。
南アフリカの1.2倍は走っていた。この0.2走るということがどれだけすごいことか、明らかに数で上回ったのだ。
ラグビーは実力差がはっきり出るスポーツだと言われている。番狂わせの少ないスポーツだ。
前半がんばれても後半には必ずと言っていいほど実力差が現れる。
後半20分から立て続けにトライを奪われて終わってみれば20点差で負けていた、なんてことが多い。
南アフリカ戦では、とにかく走る日本代表が僅差で後半を迎えた時、選手交代でこれほど流れを変える試合を見たことがなかった。
立川理道選手、カーン・ヘスケス選手など素晴らしい選手も出てきたが、その中でもアマナキ・レレイ・マフィ選手と日和佐篤選手だ。
マフィ選手のインパクトプレー、そして何よりも日和佐選手が入ったことによって後半の一番きつい時間にギアが一つ上がったのだ。
マフィ選手は80分間出場よりも途中出場のほうが明らかにパフォーマンスがいいのだろう。
田中選手からの後半のところで日和佐選手というのがまた余計にスピードが上がったように感じさせた。 エディ・ジョーンズHCはあえてそうしたのだろうと感じた。
日本代表選手のインタビューなどでよく耳にする言葉がある。
「規律」
海外の空港などでは外国人が順番に並ばないなどはよくある事だ。しかし日本人は必ず並ぶ。これは日本の文化だ。
選手、対戦選手、レフリー、観客、みんなに敬意を持って、ひたむきに規律を守る。
これは今のラクビーにとって特に重要なことだ。
日本人は規律を守ることが得意な人種である。律儀だからだ。
特にFW、フロント5だ。
スクラム、ラインアウトでは鼻血が出るぐらい押しこみ、どんなにきつくてもすぐに立ち上がり、歩くことなく自分がやるべきポジショニングまで走って行きプレーをし続けた。
まさに規律を守るために命を削っていた。
そして、日本代表の海外出身選手も他国の外国人選手とは違う。
彼らも同じように命を削って規律を守っていたのだ。
20年前のラグビーを知っている人ならわかると思うが、当時の日本代表の海外出身選手は助っ人外国人要素が強かった。
「ボールを持ってビックゲインするのが仕事」的な要素が強く、ディフェンスでは歩いているシーンが見られたり、あまり目立たないことが多かった。
だが今の日本代表の海外出身選手にそんな人は一人もいない。
彼らはまさに日本人なのだ。
これは僕のイメージだが、ニュージーランドや南アフリカにも決まりごとはあるだろう。
だが彼らは規律として守るよりも、うまさやフィジカルの部分で補っているように感じる。
でもそれが彼らのカラーでもあるのだろう。
だが彼らが徹底して規律を守ることができれば、さらに強くなるのでないかとも想像する。
日本代表はラグビーの根本でもあるが、でも、新しい「規律」というカラーを世界のラグビーに魅せている。
これは、エディ・ジョーンズHCからジェイミー・ジョセフHCに受け継がれたというよりは、日本代表の選手たちが世界で戦える日本の武器だと認識しているのだろう。
日本代表はもっと強くなる。
2023年が楽しみだ。
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