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阿久悠と美空ひばり(存在が大きすぎる同い年)

阿久悠「愛すべき名歌たちー私的歌謡曲史ー」(岩波新書 1999)。
朝日新聞に1997年4月~1999年4月にかけて連載されていた、阿久悠さんのコラムがまとめられた新書。学生時代に読んでいたものを、改めて、ゆっくりと読み直しております。

阿久悠さんと美空ひばりさんが同い年で、若干12歳でデビューした美空ひばりの存在は圧倒的だったとのこと。そして、ある程度、作詞家として名を馳せた段階で彼女と出会っても、阿久さんほどの人でも全く喋れなかったらしい。

そして「東京キッド」の項では

 美空ひばりの歌をくちずさんだ記憶がない。彼女の歌のほとんどを知っていながら、他の歌手のヒット曲のようにがなり立てたり、ハーモニカで吹いて楽しんだりしたことが、ないように思えるのである。何故だろうか。きっと恥ずかしかったに違いない。
 何に対してどう恥ずかしいのか、そのあたりはなかなかに複雑ではあるが、同年齢の少年としては、美空ひばりに屈し、寄りそい、好きだとか、ファンだとか言うのが憚られる気持ちがあったのであろう。

阿久悠「愛すべき名歌たちー私的歌謡曲史ー」P.36

とも述べておられます。

両人とも、存在が大きすぎて、おいそれと理解できるようなものでもないですが、確かに、自分の同級生が、しかも小6とかで、大スターになってしまおうものなら、そりゃ普通の距離感では接することはできないのでしょう。
とにかく、阿久悠を以ってしても、それくらい「美空ひばり」という人物・時代が凄まじかったわけで。

筆者は今ぐらいの歳になってしまうと、そういう存在に出くわすことはもうないのでしょう。それどころか、各方面において活躍する、同い年のみならず、同年代の人々に対しては、心を動かされるばかりで。。
そんなこんなで、直近の話でいうと、「THE SECOND」で世を沸かせた芸人さんたちにはリスペクトしかありません。


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