【稽古場取材】バス停ドレスコード 大きな変化と挑戦
今回は、東京学祭演劇祭2023でBブロックに参加する「バス停ドレスコード」(文教大学)さんにお話を伺いました!
稽古場である湘南キャンパス内の教室にお邪魔すると、和気あいあいと楽しげに稽古に臨む皆さんの姿が。稽古を見学させていただきましたが、見ている私たちまで楽しくなってしまいました。
聞くと「普段から発声練習などはしない」そう。この日は主に読み合わせがメインで、思わず劇が完成した様子を想像させられました!
座長の高橋さんは、こっそり「(脚本・演出の武部さんは)この日のインタビューを楽しみにしてきたんですよ」と教えてくれました。ふと稽古場を見回すとサングラスをかける武部さんが。なんだか楽しみになってきました!
いざインタビュー! 脚本・演出の武部就斗さんとキャストの石川太地さんにお話を伺いました。
Q1 団体名の由来は何ですか?
武部「そもそもこの団体は昨年できたんですが、初期メンバーである10人が名前の案を出し合って、最終的に僕の案が投票で決まりました。」
もともと武部さんは「ドレスコーズ」というバンドが好きで、このバンド名と合う言葉を探して「バス停ドレスコード」に決まったのだという。
ちなみに、バス停ドレスコードの公式X(旧Twitter)にあるレトロなロゴが気になった取材班。
このロゴはどうしたのだろうと気になって伺うと、
「実はいまの座長の前に辞めた座長がいて……。その座長がロゴをつくって、ロゴを遺したんです」。
座長が辞めた……!? これは触れていいのかどうかわからない……!
掘り下げたい気持ちをおさえて、次の質問へ。
Q2 大事にしていることは何ですか?
「『とにかく仲良く』ということですかね。みんなでご飯を食べたりとか」。
バス停ドレスコードさんは全体で20人ほどが所属するサークルで、学年は全員1年〜2年で構成されているそう。お笑いが好きな人、ミュージカルが好きな人など好きなものがばらばらだからこそ仲良く過ごすことを重視しているのだとか。
ーーメンバーの皆さんはどういう繋がりなんですか?
「前座長が演劇好きで、そこから旗揚げにいたりました。いまの男子メンバーは前座長の友人で誘われて入って、その後に女子メンバーが入ってくる、みたいな流れでした」。
ま、また前座長……! ここで取材班も気になってしまい、思わず質問!
ーーこの、前座長さんが辞めてしまった経緯、というのはお聞きしても大丈夫ですか……?
「大丈夫です。むしろ聞いてください!」
いいんですか!? と思いながらお話を聞きました。
「実は前座長が1か月ほど前に突然辞めてしまって。この東京学生演劇祭に参加しようと提案したのは前座長だったのですが、まだ脚本も決まっていない状態で抜けてしまったのでなかなか大変でしたね……(苦笑)」
なかなかシビアな話に、「これ掲載しても大丈夫ですか?」と取材班が伺ったところ、笑顔で「ぜひ全部書いてください!」と力強く言ってくださったバス停ドレスコードさん、肝が座りすぎです……!
Q3 影響を受けた作品・劇団はありますか?
武部「僕は『ダウ90000』です。」
もともとお笑いが好きな武部さんは、前座長に誘われて観にいったダウ90000の単独ライブの影響が大きいそうです。
「ダウ90000は演劇ともコントともいえない『中間』じゃないですか。」
ダウ90000のお笑いと演劇がオーバーラップするスタンスが、武部さんにしっくりきたのだという。
ちなみに武部さんはテレビっ子で、自身もお笑いライブにエントリーし、「M-1グランプリ」(朝日放送)も予選から視聴するほどのガチ勢。
石川「僕は『昭和』ですかね。『8時だョ!全員集合』(TBS)の特番とかあるじゃないですか。あれを小さいころ録画してよく観ていました。」
武部さんと同じくテレビっ子だったという石川さんは、ドリフターズのコントの影響が大きい。ちなみに石川さんは昭和歌謡も好きで、好きな歌手は「郷ひろみ・太田裕美・キャンディーズです」。
武部さんいわく、ここで手応えがなかったらお笑いサークルにしようとも思っているという。だから、演劇サークルとして続けるか、お笑いサークルとして心機一転するかは、今回の東学祭しだいだ。
Q4 作品のテーマを教えてください!
武部「『鬱屈とした学生時代を爆発させる場所』ですかね。」
くだんのデニーズで前座長と話し合ったとき、武部さんは前座長をみて思ったことがあるという。
「彼をみていて『悲しいな』と思ったんです。たぶん、爆発できる場所がここじゃなかっただけではないのか。」
学生時代に抱える鬱憤、モヤモヤとした感情を爆発させられる場所があったらいい。そういう意味では、座長の辞任という一大事は作品の内容にも大きく影響を与えたといえる。
Q5 発起人である前座長さんが辞めてしまったというシビアな状況で、東京学生演劇祭に出演することを決めた理由を教えてください
「前座長がやめた時に、勿論辞退しようかという話も出たんですね。ただ、このまま辞退するのは悔しいよね、と。俺たちは仲いいんだから、出るだけ出て失敗しても笑い飛ばせるよということで、思い切って出演しようということになりました。」
「ただ、バス停ドレスコードとして演劇らしい演劇をするのは初めてのことですし、役者も今回が初舞台のメンバーも多いので、すごく大きな挑戦になるとは思っています。もし『あれ?』という部分があったら、そのことも踏まえて大目に見てもらえると嬉しいです(笑)。」
今回の舞台に懸ける思いが伝わり、思わず深くうなずく取材班。おもしろい演劇の裏にこんなドラマチックな背景があるということを、舞台を見たあとにちらっとでも思い出していただければまた違った見方ができますね……。
ーー最後に、観に来てくださるみなさまへ意気込み・メッセージをいただければと思います。
武部「とにかく『必死さ』を見てほしい。そして、温かい目で見守ってほしいです。」
「あと、『おもしろい』と思ったら笑ってほしいです。欲をいえば、声に出して笑ってほしい。」
最初から最後まで、あったかくてやる気に満ち溢れた皆さんでした。
大きな変化を乗り越え、どう舞台上で表現するのか。ぜひ王子小劇場で直接ご覧ください。
バス停ドレスコードの皆さん、今回はありがとうございました!
※ 編集の都合上、記事中のお名前は敬称略とさせていただきました。
(東京学生演劇祭実行委員会)
■ 「バス停ドレスコード」の公演情報
[東京学生演劇祭2023]Bブロック
■ 団体公式X(旧Twitter)
@Bus_Dre
■ 団体公式Instagram
@bus_dre
東京学生演劇祭2023 @王子小劇場
今年は 8/31(木)〜9/3(日)に開催! A・B両ブロックで計6団体が上演します!
◎ Aブロック
合法事務所UNION(東洋学園大)・劇団さいおうば(明大)・藝術集團だだだだだ(慶應大)
◎ Bブロック
バス停ドレスコード(文教大)・ネムノキ(成蹊大)・STAy(明大)
【チケットのお取り扱い】
■ ご予約(カルテット)
https://www.quartet-online.net/ticket/tstf2023
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?