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AIの記事を書いたけど、AIが何なのかちゃんと答えられなかったら読んでほしい話


1  まず、AIって何?

早速ですが、AIって何の略かご存知ですか?

① Amaging impact
② Artificial intelligence
③ Accelerating innovation
④ Advanced integration
⑤ Autopsy Imaging


正解はもちろん、『人工知能』の②です。

ちなみに、⑤は『死亡時画像診断』という存在する言葉で、こちらは人工知能AIと区別して、Aiと表記されます。


さて。今日は、人工知能のAIの方のお話。

AI, AIと騒がれておりますが、AIの定義を皆さんはご存知でしょうか?

以下の選択肢の中から選んでみてください。

① 画像や言語、ゲームなどを処理できる計算処理
② 知的な振る舞いをするコンピュータ全般
③ ロボットのこと
④ 革新的な技術を使ったソフトウェアおよびハードウェアの総称
⑤ 明確な定義はない



正解は、⑤です。
(賛否両論あるかとは思います)


諸説あるかと思いますが、念の為、これは、私の個人的な見解ではなく、AI白書をはじめとした、複数の文書に記載されています。

定義が曖昧であることは、専門家の間でも問題になっています。


ただし、若干の縛りがあります。

大量の知識データに対して、高度な推論を的確に行うことを目指したもの。

一般社団法人 人工知能学会設立趣意書

これは一体どういうことでしょうか?



2 この中でどれがAI でしょうか?

どんなものがAIで、どんなものがAIではないのか、具体例で見てみましょう。

例がAIに当たるかどうか、理由とともに考えてみてください。


《例1》
電気鍋で鍋をした。一定の温度になったら、スイッチを押さなくても加熱をやめ、温度が下がり過ぎたら、自動で再加熱してくれる。

自分で加熱したり、加熱をやめたりするなんて、知的にも思えますよね。

でも、正確は×です。


何度になったら加熱をやめるか、何度で再加熱をするか、人間が設定した温度基準でスイッチングするだけだからです。

何度になったら加熱すべきかを、大量の知識データを元にコンピュータ自身で学習しているわけではないので、AIとは言えません。


《例2》
エアコンで、人がいる場所を判断して、自動的に風量を調整してくれる。

これは、正直、製品によると思います。
なので△。


細かい設定を考えてみます。

人の居場所は、サーモグラフィーカメラで撮影していると仮定します。

▶︎ ○の場合

人の存在を、たくさんのサーモグラフィーの画像から、人とそれ以外の特徴を学習して、温度だけでなく、形や被写体の周辺情報などを考慮して見分けているのなら、それはAIと呼べると思います。

たくさんのデータを事前に学んでおくことで、より多くのケースに対応できる(汎用性が高くなる)ようになります。


▶︎ ×の場合

例えば、人の存在を、サーモグラフィーの温度が何度から何度までの間の部分を人の頭として判断しているだけならば、AIとは呼べません。

大量の知識データから学習して学びとっていないので×。


この例でお分かりいただけたでしょうか。

○の場合も、×の場合も、利用者にとっての挙動はほとんど同じです。

つまり、機械の見た目の振る舞いが知的かどうかだけでは決まらないのです。

逆に、見た目の振る舞いでいうと、
×の例のように、特定の場面において、
人が『これは賢い。AIでは?』と思わせるプログラムを作ることは、AI でなくても場合によっては可能なのです。


なのでこれはAIか?と思ったときは、

・判断基準を人が定めるのではなく、機械自体が決めている

・判断基準は、大量の知識データを学習して決めているか

この2つの基準をもとに考えてみてください。





3  そもそも、AIっていつからあるの?

さて、AIとAIでないものの区別はなんとなくわかったかもしれませんが、
そもそもAIって、いつ頃からあるのでしょう?


これも、以下の選択肢から選んでみてください。

① 1945年あたりから
② 1956年あたりから
③ 1980年あたりから
④ 2012年あたりから
⑤ 2020年あたりから


一般的には、②と考えるのがオーソドックスではないかと思います。


理由は、第一次AIブームが起こったとされるのが1956年頃だからです。


え?第一次AIブーム?


そうなんです。


1950年にチューリングテストというのが提唱され、
(チューリングテスト : 機械で人を騙せるかみたいなテスト)

1956年に、ダートマス会議といわれる会議で、『人工知能』という言葉が初めて登場したといわれています。
(ダートマス会議 : 研究発表会みたいなもの)


今のディープラーニングの元となった、ニューラルネットワークのパーセプトロンが開発されたのが1958年です。

これは、ものすごくシンプルに説明すると、人間の脳の神経細胞の神経伝達の形をそのまま数式に起こした形をとった機械学習法です。


ちなみに、1979年に日本人の福島邦彦氏が、今画像認識に用いられている技術『畳み込みニューラルネットワーク』のベースとなる『ネオコグニトロン』を提唱します。

この辺が第二次AIブーム。


ちなみに今は、第三次AIブームだと言われています。

この、第三次AIブームは、2012年のディープラーニングの登場により爆発しています。
これが、10年以上経った今でも、まだ続いているわけです。


今、CharGPTが流行っていますが、
これは言語を処理するタイプのディープラーニングのうちの一つのモデルを使ったサービスなので、第三次AIブームに含まれます。

(こういう言語処理をコンピュータで行うことは、自然言語処理と呼ばれます)




4  AIは昔からあるのに、何故近年こんなにAI、AIと言われているのか

AIが最近のものだと感じるかどうかは人それぞれだと思います。

でも、上記のとおり、こんなに昔からあったんです。

でも、めちゃくちゃ『AI』という単語がどこでもかしこでもやかましいのは、最近のような気がしますよね。

何故か。

ディープラーニングが登場したからです。


いやいや、そう言われましても!
ディープラーニングの何がすごいか聞いとんねん!!


ディープラーニングとは、とても簡単に説明すると、
1958年に登場した人工ニューラルネットワークを、さらに複雑(深層)にしたものです。


でも、1958年って、第一次AIブームの時なんですよね。


え?第二次AIブームもありましたよね?

では、2012年にディープラーニングが出現したことで、AIに何が起こったのでしょうか?


簡単にいえば、性能と計算速度の向上で、ようやく使い物になるレベルにまでなったからです!


ディープラーニングの特筆すべき点として、下の3つのことが挙げられます。


①めちゃくちゃ性能が上がった。
②めちゃくちゃ計算速度が上がった。 
③AI自身が性能を高めるための特徴を探せるようになった


性能というのは、AIの返す答えの正答率が上がったことを意味します。
計算速度は、主に学習スピードのことを指しています。
(③は少しわかりづらいかもしれないので、次の記事に書きます)


そして、この3つを実現したのが、人工ニューラルネットワークをさらに進化させたディープラーニングという技術、そして、コンピュータの性能向上(主にGPUの進化)なのです。


ディープラーニングの元となる人工ニューラルネットワークを深層化するという発想自体は、実はだいぶ昔からあったようですが、

ただ深層にするだけではなく、さらなるネットワーク構造自体の工夫と、コンピュータの性能が上がり、早く計算できるようになったおかげで、実現されたのが、今のディープラーニングです。


これが、今私たちが見ているAIブームの正体です(?)


ディープラーニングを適用するのが、言語であれ画像であれ、入り口が違うだけで、学習に使う基盤みたいなものは大体同じです。



次回は
『中学生でも多分わかる雑なAIの仕組みの説明』です。

あくまで、イメージを掴む為のものです。
二次利用の責任は取れませんのでご遠慮ください。

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