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精神科デイケアに参加

精神科デイケアに参加してきました。


1.              先日、精神科デイケアに参加させていただき、薬剤師として薬の一般的なおはなし、薬について相談を受けることが機会をいだきました。普段デイケア業務前に行うミーティングからの参加で、その日のスタッフは看護師、保健師のほか精神科医師も参加し事前にデイケア参加者の情報について申し送りとその日の流れを確認し、皆さんが集まるミーティングルームへ移動します。精神科デイケアに通っている方の多くは若い方、20~40代が中心でした。まず、ミーティングルームではカードを使いアイスブレイクから始まりました。話題提供のカードを引き、それに沿って1名ずつ自己紹介とお題に関することをお話しすることで打ち解ける感じのものです。ライオンごきげんようではありませんが、初対面の方がいるとき、このような始まりはとっても良いですね。

https://www.fujitv.co.jp/b_hp/gokigen/

フジテレビ ライオンのごきげんよう

精神科デイケアとは

2.              やや緊張があったものの、皆さん何ら病気や障がいを感じさせない、いたって普通の会話です。精神科デイケアとは、精神障害のある方が、社会参加や社会復帰などを目的に様々なグループ活動を行う通所施設です。 精神科リハビリテーション治療の一種とされ、精神疾患の再発防止に効果があるとされています。薬物療養と合わせてデイケアなどリハビリを行っていくことが一般的な治療となるため、ケア参加者は全員薬を服用しています。そこで、講演形式で薬のお話をしました。基本的、一般的な内容です。自分なりにですが、なるべくゆっくりと、わかりやすく、心配をかけないように気を付けながらお話を進めていきました。精神疾患はさまざまですが、代表的なものでは統合失調症とされる方が多い印象です。


https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/06/dl/s0604-7b.pdf

(参考)厚生労働省 精神科デイ・ケア等について

よく言われる統合失調症とは

3.              統合失調症とは、幻覚や幻聴、妄想などが現れ、考えや気持ちがまとまらなくなる状態が続くことによって不眠など様々な症状が起こってしまう精神疾患の一つです。統合失調症の原因はまだはっきりとわかっていませんが、脳内で情報を伝える「神経伝達物質」のバランスが崩れてしまうことが関係しているとされています。大きなストレスなど様々な要因が関係ある、とされています。「神経伝達物質」は、思考や感情に大きく影響を与え、身体や行動にも影響します。その状態、というよりもそのおかげで社会生活に支障をきたしたり、他者との関係のなかで生きづらさがあることが問題となります。
詳細な病態や病期に関しては割愛させていただきますが、大きなくくりで説明させていただくと、まず「心・気持ち・考え」などをつかさどっている神経を「中枢神経」といい、そこで情報の行き来を支えている「神経伝達物質」をモノアミン(仮説)といいます。一方で、心臓や血管、瞳孔や消化管など自分の意識だけではコントロールできない神経系を「自律神経」といい、これを読んでいるときに目を動かす、かゆいところに手を伸ばすなど自分の意識で身体を動かす神経と「運動神経」と分類されます。
「自律神経」は「交感神経」と「副交感神経」に分けられ、大まかには戦闘態勢(興奮状態)に持っていく神経を「交感神経」、抑制、リラックスさせるために働く神経を「副交感神経」といい、気持ちや環境に大きく影響されます。たとえば、ですが「今から1000人の前で自分が一番得意としている歌を歌っていただきます」と言われただけで心拍数があがり筋肉が緊張します。言われただけなのに、しかも自分でコントトロールが難しい。その際に身体の中で起こっている動きが「神経伝達」によるものとされています。

https://www.smilenavigator.jp/tougou/about/

(参考)すまいるナビゲーター 統合失調症

統合失調の薬物療法はどのようなものか


4.              薬物療法はというと、主には上記の中枢神経ではたらく、モノアミン類(ドーバミン、セロトニン、ノルアドレナリンなど)と呼ばれるホルモンを調節する働きをもつものがメインとなります。調節、と書きましたが大きくはその神経伝達物質を、①出す、②受け取る、③分解する(再度取り込む)などもともと身体に備わっている機能に対してアクションするものが薬として使用されます。
足りないものを増やせばよいか?と言われると、そう簡単ではなく、多すぎても副作用として不都合な作用がでてきますし、心の動きと体の動きの連動を考えると一筋縄ではいきません。アセチルコリンという自律神経(身体の動き)のほうで働くホルモンの動きを抑えてしまうこともあり、要は心と身体はつながっておりその働きもタイミングや環境で変わってくるものです。しかし、心身のバランスを崩している間は薬を服用しながら、副作用の許容を見極めながら、ご自身の環境(バランス)を整えていくことが治療となっており、薬物療法はその手段のひとつでしかありません。

デイケアに参加してみて学んだこと


5.              一般的なお話や薬との付き合い方のお話をさせていただき、皆さんからたくさんの質問やご意見をいただきました。「ずっと気になっていましたが、誰に薬のことを相談してよいのかわからなかった」とおっしゃる方もいました。私自身が話をすることよりも、話を聞く機会をいただき、多くの気づきをいただけたことに大変感謝しています。多くの病気に共通することですが、本人を変える治療だけではなく、周囲の理解とサポートを同時に行ってこそ目指す場所に近づけると思っています。治療に限界を感じ、地域の活動に力を入れる方々も多くおりますが、そこは治療(本人を変える)と支援(理解と環境調整)同時に行っていかなければならないとこのデイケアに参加して感じました。

さいごに


6.              ただし、私のお話をどう受け止めていただいたのか不安はあります。これは誰でも、私もそうですが居場所や意味を求めすぎるあまり生きづらさをかかえているのかも知れません。何かの役に立たなければ、などと考えてしまい自分を苦しめてしまう方も多くおりますが、これを薬でどうこう…と言うものではありません。薬はひとつの手段として、これからも多くの苦難はあると思います。よかったと思える人生を送ってほしいと願っています。

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