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戦術分析【B2リーグ '21-'22 Season 第17節②】奈良 - 佐賀

前節終了後にHCが交代して挑んだ前日の佐賀戦。前半はミスが目立ちながらもなんとか食らいつき、第3Qにはマブンガらの活躍で逆点、リードも奪う展開だったが、第4Q、佐賀のフルコートプレッシャーの前に連続ターンオーバーで自滅してしまい、最終的には66−89と23点差で敗北した奈良。第17節、佐賀との第2戦は前日の敗戦からどの様に修正していくのか。果たして連敗は止められたのか。奈良の戦いを分析していきたい。

第1Q : 序盤、佐賀の西川が大当たり。奈良はオトゥーレがゴール下で奮闘。

スターターは、両チーム前日と変わらず、奈良は横江、藤高、マブンガ、薦田、オトゥーレ、佐賀はガルシア、西川、パプ月瑠、岸田、ヘソン。ゲーム開始直後から佐賀はヘソンが中外で得点を重ね、その後西川が2本の3ポイントでスタートダッシュに成功。残分7分31秒には5−13で奈良が早くも最初のタイムアウト。

タイムアウト明けも奈良はシュートの確率が良くはなかったが、オトゥーレがオフェンスリバウンドを頑張り、徐々に点差を縮め、21−24の3点差で第1Qを終えた。

佐賀 : オープニングセット Horns chin stagger

ジャンプボールを制した佐賀の最初のセットはHornsから。PGガルシアから左エルボーのパプ月瑠へパス。逆エルボー西川のスクリーンを使ってChin cutし、左lowでポストアップ。左コーナーの岸田は逆サイドショートコーナーへクリア。

パプ月瑠から左lowのガルシアへパスを落とし、右コーナーにいたヘソンが西川、パプ月瑠のStaggered screenを使って左Slotへ。ガルシアからパスを受け、ファーストショットを沈めた。

佐賀 : Stagger twirl pin curl

佐賀、残分6分24秒のオフェンス。左コーナーの西川がヘソン、パプ月瑠の2枚のスクリーンを使うふりして、1枚目のヘソンのスクリーンでカールし、左Lowへ。西川がカールしたら、ヘソンがパプ月瑠のスクリーンで右Wingへ出て(twirl)ボールをレシーブ。

その後、パプ月瑠は左lowの西川のDFへダウンスクリーン(Pin down)し、西川がスクリーンをカールしパスを受けてミドルショットを決めた。

奈良 : オトゥーレに対し2人が寄るも、木村が3ポイントを決める。

残分2分10秒頃から、奈良はオトゥーレがペイントで自分のマークマンをシールし、そこへパスを落としたかったが、佐賀の左コーナーと左WingのDFの2人がSagしてくる。三森はパスを出せず左サイドの木村へ展開し、パス後木村のDFへオンボールスクリーン。木村はスクリーンを使ってTopへ上がり、3ポイントを沈めた。

奈良 : インサイドプレーヤー同士のスクリーンでオトゥーレをフリーに

残分1分26秒のオフェンス、右Wingの三森に対して駒水、左Elbowのオトゥーレにエリスがマッチアップ。PG木村の指示で三森がオトゥーレのDFエリスへクロススクリーン。

クロススクリーンから三森はトップへフラッシュカット。このカットに対し、駒水はそのままディナイし、エリスはスイッチしてフラッシュについて行ってしまったのでオトゥーレがゴール下でフリーに。きっちりスイッチが起こってもオトゥーレ(211cm125kg)に駒水(200cm 95kg)がつくシチュエーションになっていたのでミスマッチとなる。本来はそれ狙っていたのではないかと思われるこのプレー、結果的に佐賀のディフェンスのミスを生み出すナイスオフェンスとなった。

第2Q : 奈良のゾーンが効き始め、遂に奈良が逆点!

スターター、奈良はマブンガ、オトゥーレ、種市、鈴木、木村、佐賀は德川、ヘソン、石谷、角田、エリス。最初のオフェンスでオトゥーレがターンオーバーし、ヘソンがそのままレイアップへ。奈良にとっては嫌な流れになるかと思われたが、残分8分26秒で奈良の鈴木が3ポイントを沈め、佐賀がタイムアウト。

タイムアウト明け、奈良はフルコート2−2−1のゾーンプレスからハーフ2−3ゾーン。佐賀はペイントに侵入するもショットが落ち続ける。一方の奈良は鈴木、種市、木村の日本人アウトサイドプレーヤーが活躍。残分7分23秒遂に奈良は逆点。ここからお互い一進一退の攻防が続き43−42、奈良1点リードで前半を終えた。

奈良 : BLOB Rip / Iverson / Zipper ChaseからPnR→Short roll→Tag dive

残分7分20秒、奈良のBLOB。左Lowの三森が左Wing種市のDFにRip screen、種市は逆サイドショートコーナーへカット。右Wing鈴木が両Elbowのscreenを使って逆サイドWingへ(Iverson cut)、パスをレシーブ。

インバウンズしたPG木村のDFに左Elbow三森がDown screen、木村はTopへ上がり(Zipper cut)、パスをレシーブ。

三森がZipper cut後の木村のDFを追いかけてPick (Chase)。

PnRから三森がダイブ。三森がFTラインを通過したくらいで木村がパス(Short roll)。三森のダイブに右コーナーのDFがヘルプ。その瞬間、右コーナーの種市がゴールへダイブ(Tag dive)し、三森からパスを受けショットを決めた。

パス

第3Q : 一進一退の攻防続くも、終盤エリスの3ポイントが火を吹く。

スターターは、奈良は横江、藤高、マブンガ、鈴木、オトゥーレ、佐賀はガルシア、西川、パプ月瑠、岸田、ヘソン。残分3分頃までは一進一退の攻防が続いたが、残分1分10秒と40秒に佐賀のエリスが3ポイントを連続で決め、このクォーター終わってみれば58−70、遂に佐賀が奈良を突き放しにかかった。

奈良 : Zipper / Iverson / Ram→PnRからKick out

第3Q奈良のファーストオフェンス、横江が左Wingへドリブルで下り、左lowの鈴木が左elbowオトゥーレのscreenを使ってトップへ(Zipper cut)。

トップへパスした横江は両Elbowのscreenを使って逆のWingへカット(Iverson cut)、パスをレシーブ。

右elbowのマブンガが左elbowのオトゥーレのDFへcross screen、そしておトゥーレが右Wingの横江へオンボールスクリーン(Ram screen)。

PnRからオトゥーレはダイブ、横江はミドルドライブから左コーナーへドリフトしたマブンガへキックアウト。スリーは外れたが佐賀のDFを崩すには効果的なセットだった。

奈良 : Horns flare→Dive & seal

残分3分50秒、奈良の頻出Entry、Horns flare。HornsのアライメントからPG木村に右Elbow三森がピック、ピックから逆elbowのオトゥーレのscreenを使って左Slotへ広がる(flare)。

三森のDFへスクリーンをかけたらすぐ、オトゥーレはリングへダイブ。自らのDFをシールし、三森からパスをもらいフックショットを決めた。

第4Q : 一時は3点差まで詰め寄るも…佐賀は角田の3点で再び引き離す。

スターター、奈良は横江、藤高、薦田、マブンガ、オトゥーレ、佐賀はガルシア、西川、エリス、井上、駒水。奈良は横江、薦田、マブンガのアウトサイド、オトゥーレのインサイドがバランスよく機能し、残分5分53秒に72−75と3点差まで詰め寄る。しかしその後、角田の3ポイント、ガルシアのドライブを止めることができず、結局終わってみれば79−89、二桁点差での敗戦となった。

佐賀 : Dunker spotを基点としたZone attack

残分5分42秒〜、佐賀ヘソンは右ウィングでハンドオフから、ハイポストのギャップへ侵入。ボールは逆サイドまで展開される。

奈良はハイポストにはパスを入れさすまいと、ハイポストへのマッチアップとディナイでパスを制限。そこで佐賀はDunker spotにいるパプ月瑠へパスを落とす。

パスをレシーブしたパプ月瑠に藤高、オトゥーレがすかさず寄っていくが、パプ月瑠はカウンターのタイミングで右slotのガルシアへパス。ハイポストのヘソンは右lowへ。

ガルシアはギャップへドライブし、右コーナー角田がWingへリプレイス。そこへkick outし、3ポイントを沈めた。

まとめ : このゲームを数字で読み解く

今回も4 factorsの指標で分析にかけた。その結果が以下の表である。

オトゥーレのインサイドの頑張りで、2ポイントFG%は58%を超え、eFG%も佐賀を上回った奈良だったが、やはりオフェンスリバウンドの数で6本差をつけられ、さらにはターンオーバーが佐賀の8本に対し奈良は20本と、相変わらずターンオーバーが多すぎる。よってPPPが佐賀より低い。マンガーノが復帰すれば、リバウンドはかなり改善されると思う。課題はやはりターンオーバーを減らすこと。そしてシュートでオフェンスを終えること。これに尽きる。この試合は集中できる時間がここ数試合で一番長かった。新型コロナの影響でこの先数試合が中止となったので、次回奈良が試合するときにはマンガーノが復帰しているだろう。連敗を脱し、一つでも順位を上げられるよう、頑張ってもらいたい。

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