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母という呪縛 娘という牢獄 齋藤彩:著

非常に秀逸なタイトルであり、まずタイトルに惹かれた。文章は非常に淡々としており、良くも悪くも作者の自己主張は殆どない。

女性が母を殺害するまでの人生は、全く関係のない無責任な他人からすると地獄の一言。行き着く先は、自殺か殺人しかなかったようにも思う。結局、人間にとって最も尊く、守らなければならないのは自由なのだと痛感させられた。それは、どんな関係性においても言えることで、母子というのは一番外から見えにくいが故に、行き着くところまで行ってしまったのかなと思う。父親が逮捕後も自分を見捨てなかった事に驚きを感じていたが、彼にとっても厄介事を回避し続けていたことへの贖罪の気持ちがあったのだと想像する。また、母子の関係は、ある種のマインドコントロールだと思うが、マインドコントロール化から抜け出すのがいかに難しいかも突きつけられた。子どもにとって親は全てである。それは年齢ではなく、30を過ぎても子どもを子どものままにしている人もいる。子供は親の所有物ではない。このことを全ての人が理解し、社会構造から変えていかなければ、様々な形で苦しめられる親子は無くならないだろう。

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