輸出主導型から内需主導型に転換せよ

米物価、9月8.2%上昇 エネ・食品除くと40年ぶり水準

 エネルギー・食品を除いた消費者物価指数をコアCPI(日本ではコアコアCPIが該当)と呼ぶ。日本では、コアCPIとコアコアCPIの峻別がなされないことが多いが、国際比較をする際は後者を採用するのが一般的である。
 
 米国の物価上昇率が、前月比年率6.6%と1982年8月以来の物価上昇率を示している。為替レートも記録的な米ドル独歩高の様相を呈している。

 米国は、2020年に端を発したCovid‐19蔓延による景気浮揚のため、大規模な財政出動策を講じた。その結果、一旦落ち込んだ個人消費、住宅、労働関連指数は軒並み急回復を遂げた。その反動で急速な物価高に見舞われている。

 一方で、記録的なドル高にもかかわらず、輸出の減少は見られず貿易収支はむしろ改善している。詳細は確認していないが、米国はエネルギー産出であるため、コモディティ関連で輸出が伸びた可能性も考えられる。

 米国金利の上昇で、加熱した米国内需要は徐々に低下していくだろう。しかし、米国需要低下で困るのが、内需が低迷している輸出主導型の経済構造を持つ国である。それは日本も含まれる。なにせ輸出額第2位は米国だからである。

 デフレ国は外需が旺盛なうちは良かったものの、米国の需要は今後確実にさがることは間違いない。事実、日本はここまで急速な円安ドル高にも拘らず、輸出はリーマンショック前の2007年にすら届いていない。

 リーマンショック以降、国際貿易が低調である様を「スロートレード」と呼ばれており、それが現在でも変わらない。だが、日本では未だに、インバウンド、外に打って出るなどとうつつを抜かすばかりである。

 人・モノ・金が障壁なく移動して皆がハッピーになるという、グローバリズムは安直なユートピア思想でしかなかったが、日本では未だにリカードやヘクシャーオリーンが経済学の教科書に登場する。

 日本の国内GDPの6割は個人消費である。輸出の割合等せいぜい2割程度に過ぎないのだから、さっさと内需主導の経済構造に転換すべく、政府による大規模減税と財政出動が必要なのだ。

 だが残念ながら、我が国日本は緊縮財政を国是としており、毎年家計を苛烈な貧困に追いやっている。政治家、財務省が正気を取り戻さない限り、間もなく日本は滅びるだろう。

 

  

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