労働装備率の推移について

 近年トレンドになっているDXやIT、EDGs等に対応できる人材を育てるための、「人的資本経営」の必要性が謳われている。経済産業省の白書でも、人的資本強化のための無形資産への投資が欠かせないという論調である。だが、有形無形で分けること自体がナンセンスである。企業の生産性向上やイノベーションには双方の投資が必要なのだ。

 わが国では、戦後60年から2000年にかけて、労働者一人当たりの有形固定資産の投資(財務省の用語では労働装備率)は一貫して上昇基調であった。しかしながら、その流れが変わったのが、小泉構造改革以降の2001年頃である。その推移が下記の図ー1である。

図ー1「法人企業統計からみる日本企業の特徴」 出所:財務省

 小泉政権からの新自由主義政策によって被った人災はいまさら言うまでもない。ようは金を使わず属人的に工夫で乗り越えろとやってきたのがわが国日本である。適切な投資なしに、人的資本強化からの生産性向上やイノベーションの創発には限界がある。

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