親族間の相続税と贈与税は高すぎる

 2010年代から近年にかけて、日本企業のM&A件は急激に伸びており、中小企業においても第三者承継(M&A)を利用する割合が増えている。

株式会社東邦コンサルティングパートナーズ
出所:『中小企業における第三者承継 (M&A)について』

 その背景には、深刻な後継者不足がある。休廃業・解散している企業数は、毎年5万件前後にも上るが、その内の半数以上は黒字倒産である。それほどまでに不足しているのだ。M&Aが増えるのも無理もない話である。

 一方で、親族間での事業承継に対して、相続税や贈与税が高すぎるという点も、中小企業の廃業を促すことになっているのではないかと思えてしまう。相続税と贈与税ともに最高税率は55%にもなっている。

『相続税早見表』 出所:国税庁
贈与税(一般税率)出所:国税庁

 

 そもそも、家族が将来の子や孫のために資産を残すことに対し、徴税という罰則を科すこと自体が極めて不可思議に思える。家族の紐帯を分断するような制度にしか思えない。

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