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元カレ

元カノが10人いる男性、
元カレが10人いる女性。
どちらも「すごーい」と言われる。
この「すごーい」の違いが気にいらない。
人にもよるけど、男性には武勇伝の匂いがして女性には引く感じ。
恋愛は対等なのにおかしくない?

と、言いつつ自分の中の古い感覚に驚く時がある。

その昔
私たちの親世代以上、しかも田舎では元カレなんて概念さえ無かった。
女性は一人の男性と出会って結婚をする。
結婚前に誰かと交際していた人は「あの人は発展家だから」なんて言われる。何が怖いって、過去形にならない。「発展家だった」にはならず「発展家だ」がお婆さんになっても続く田舎の怖さ。
うちは近所のお婆さんたちが集まる家だったので、母世代のもうひとつ上、祖母世代の(貞操観念)を早いうちから聞いていて、いつの間にか細胞に染みこんでいた。
小学校高学年になると「りぼん」「マーガレット」がそれは違うよ、と教えてくれた。
都会では学生でも恋愛するらしい…。ふふふ
この時点でお婆さんの倫理観から抜け出した筈なのに。
細胞に染みこんだ感覚はしつこいねー。

例えば、元カレ話。
日常生活で周りの元カレ話はえらいこっちゃレベルでも笑って聞いている。
なのに、テレビの街頭インタビューで「元カレと暮してた時に…」とか、トーク番組で局のアナウンサーがタレントにつられて「元カレと旅行中にタイヘンなことがあって」なんてぇことを言っているのを見ると半世紀前の倫理観が復活してオロオロしてしまう。
(あなた!テレビで放送されたら取り消せないの。アナウンサーだって事務所が守ってくれるタレントさんじゃないのよ。一般職になる可能性もあるんだから。恐怖の「発展家」は過去形にならないのよおぉぉ…ぉ!)ってね。
せめてデジタルタトゥぐらい使えと思われるだろうが、細胞の中からお婆さんたちが「Don't  think,feel」と呼びかけ、数秒以内に感じてしまうのだから、ハイカラな言葉なんて出やしない。

この古い感覚が出しゃばるのはテレビの元カレ話だけではない。
困るのが結婚式。
スライドで、新郎新婦の今までを振り返る時間。
可愛い子供時代、大人になって出会って(2人でいろんな景色を見たね)とかいうコピーとともに楽しそうな写真。
ほのぼのと見ているけど、そこに温泉旅行の1枚。浴衣姿のツーショットがあると昭和のお婆さん、大復活祭。
(あらー、この方たち!結婚前にこんな写真撮って、皆さんに公開して!あらあら)
普通だから、みんな結婚前に旅行ぐらいするから…。
必死に昭和お婆さんをなだめながらも、令和の婆さんは横目で新婦のお父さんの表情をうかがったりしている。
時代が違うのはわかっていますのよ。これも歳のせいなのでしょうか?
いやだねー!

ところで「発展家」って今は殆ど使わない。
発展というと「街の発展」とか良い印象しかなかったのだが、時に(ウフン)方面に用いられるのって何で?
で、調べてみたら日本語として正しいみたい。
勉強になる。
今後「発展家」を使う機会はないと思うけどね。




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