ブロッコリーの葛藤
ブロッコリーを買ってきて、冷蔵庫の野菜室に入れていた。使おうと思って、とり出すと、イモムシが2匹ついている。ちゃいろいイモムシ。寒かったのか、動かない。調べてみたら、蛾の幼虫のようだ。蛾…かあ。昔の思い出がよみがえる。蝶になると思って、育てた青虫が蛾になった。できれば、蝶がよかった。
つついても、動かない2匹のイモムシ。
娘が手に乗せてあっためてあげると、動き始めた。大変だ、情がうつってしまう。
動かないうちに、捨ててしまえばよかったのに、うっかり触ったりするから、かわいくみえてくる。
ああ、また蛾を育てることになりそうだ。
案の定、娘が言った。
「母ちゃん、育てようよ。」
今、仕方なくキッチンの隅にイモムシ付きのブロッコリーを置いている。ブロッコリー、半分は人間用に使った。半分は、イモムシ用に残した。
息子は、蛾になるイモムシがキライだ。
息子「外に捨ててこようよ。」
娘「だめよ、生きていけないもん。」
息子「気持ち悪いやん。」
娘「なんでそんなこと言えるの?」
こんな会話が、繰り返される。
この2匹をどうするべきか。捨てるべきか、育てるべきか。まだ迷っている。
今朝、夫がキッチンで「うわっ。」と叫んだのが聞こえた。
「ブロッコリーからイモムシが落ちたよ!」
落ちたイモムシを、私がつまんでブロッコリーに乗せてあげると、勘づいたらしい、ばれた。
「こんなとこで、イモムシ飼育するなよ。外でしろ、外で!」
困ったなあ…。まさか、ブロッコリーひとつでこんなに葛藤しようとは。
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