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23.8.27 高校演劇、感想

昨年はじめて高校演劇がみられることを知って、「きょうは塾に行くふりをして」をみて本当に感動して、あの感動がまた味わえたらと思って今年も来ました。「ローカル線に乗って」をみて本当に心が震えました。来てよかったです。
後半の3つの劇をみました。1つ目の「オリビアで聴きながら」は、おばあちゃんと女子高生とのとてもやさしい空気感のなかに、おばあちゃんの生きていた当時の大変だったこと、シリアスな内容が包まれている感じで、今生きている高校生や若い人たちが少し大きな捉え方で今をみれるようにというようなエール、メッセージ性もあってよかったです。おばあちゃんを演じた高校生も、本当におばあちゃんがいるように感じて、ユーモアもなんだか暖かくやさしくて、みていて微笑ましかったです。
2つ目の「スパイス・カレー」はかなりひどかったと思います。これが優秀賞に選ばれているのはなんでなのかよくわからないです。演じていた高校生はよくがんばっていました。特に男の子の役の子はとってもいいキャラクターだったと思います。ですが、脚本自体がよくなかったように感じました。始まってから、物語が全然進まないし、出てくる人たちの関係性も全然わからない。動かない物語の中でカレーを1時間ずっと作って、ユーモアも笑えるものがほぼなくて、退屈でした。コロナの状況をテーマにするのはいいとしても、高校生が母を亡くしたお母さんや叔母さんを演じるのは感情面で無理があったと思います。演技にリアリティや訴えかけてくるものがなかったです。もっと彼ら彼女の出せる精いっぱいのなにかがみたかったです。
3つ目の「ローカル線に乗って」は、最初の車掌さんのアナウンスから心を掴まれて、あの劇の世界に自然と入っていました(観客が本当にあの列車に乗っていたように感じました)。「あなたたちの時代は豊かになりましたか?」と、女子高生の子に、ぼくら一人ひとりにその声がダイレクトに響いて。昔生きた人たちの積み重ねで今があること、その今をぼくらは胸を張って誇れるだろうか。おかげで豊かになった、幸せになったといえるだろうか。一人ひとりがその問と直面していた(誰も逃げられなかった)と思います。
最初は迷い込んだ列車に乗って、昭和と平成と令和、ユーモラスな会話がリズムよく楽しい感じで。そこから桜のことだったり、戦争のことだったり、シリアスな場面の一人ひとりの見せ場のシーン、本当に声が心がよく劇場全体に響いていて、特に桜の木を植えた女の子の独白のようなあの場面は、とてももうあんな近くであれを聴いたらどうすればってくらい心が動かされました。すごかったです。
演出も本当によかったです。使われた歌もすべてよかった、最後に流れた車窓からの映像もほんとによかった。上を向いて歩こうを最初にソロで歌った子の歌声があんまり透き通っていてきれいで、たまらなかった。これを聴けただけで今日来てよかったと思った。
最後、舞台袖から軍服の男の子が出てきたのをみた瞬間、終わり方がわかって、そうだよねそう終わるよねと思ったけど、ふたりが抱きしめ合ってもう感動が止まらなかった。いつまでも拍手をしていたい気持ちになりました。本当に素敵な劇をみせてくれてありがとうございましたと伝えたいです。
インタビューで車掌さんが嬉しかったと泣いていて、ほんとにみんな今日は彼の虜になってたと思います。お疲れさま、ありがとうと伝えたいです。国立劇場最後の高校演劇に、本当にふさわしい劇でした。関わっていた方、高校生たちに感謝したいです。来年もぜひ見に行けたらと思っています。

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