見出し画像

口コミで不時着してみたら……

いやぁ、笑った笑った。
ずっと笑いながら観ていた。何も考えず、お腹を抱えながら笑って観ていた。
映画『宝くじの不時着 1等当選くじが飛んでいきました』のことだ。
実にふざけたタイトルだ。大胆にも、かの大ヒットドラマ『愛の不時着』のもじりだ。タイトルだけ、ポスターだけなら、絶対に観なかっただろう。
が、私の周りのライターたち、観た人、観た人、みな絶賛する。
あまりにもみながいいというので、ポスタービジュアルは微妙と思ったが(失礼!)、気になりすぎて、ついに観に行ってしまった。

結果……
ありえない話なのだけど、超ドタバタなのだけど、最初から最後まで声を出して笑い、最終的にじんわり。映画館を出るときは、無邪気な子供に戻ったような気分だった。

物語はこうだ。
韓国の軍人が偶然手にした宝くじの当選くじが、ひょんなことから軍事境界線を超えて、北朝鮮の兵士の手に渡る。非武装地帯で対面した2人は、くじの所有権をめぐって対立。それぞれ同僚や上司を巻き込み、南北宝くじ争奪戦が始まる!というもの。
『愛の不時着』と『JSA』を掛け合わせて、ドタバタコメディに昇華した感じというか。

観終わって、2つ、思った。
「笑い」って、いいわぁ。
「口コミ」って、大事だわぁ。

まず、「口コミ」だ。
口コミがなければ、贔屓の俳優が出ているわけでもなし、観ることがなかった映画だ。それでも、知り合いのライターたちの言葉が私の行動を促した。
思えば、本を読むにしても、ドラマを観るにしても、自分から探し出すことより、誰かに勧められた言葉が脳に残り、ちょっと試してみようかな、というケースのほうが多いかもしれない。

ところで。
うちの母親は、齢80にして、ロックバンド、Mrs.GREEN APPLE(以下ミセス)にハマっている。
きっかけは、彼女の推しのひとり、羽生結弦の影響だ。彼がアイスショーでミセスの曲を使って踊ったことから始まる。
推しの口コミにより、彼女はミセスの存在を知り、そこからどんどんハマっていった。
信頼する第3者の言葉は大きな影響力を持つものだ。
今では、ミセスの公式YouTubeにコメントを残し、会う人会う人に布教活動をするなど、自らが口コミ発信源になっている。

話は変わって。
あるお金のセミナーで、「人はどんなものにお金を出すのか」という話になった。
質のいいもの、好きなもの、気に入ったもの、価値があるとされているもの、いろいろあるだろう。
けれど、欲しいかもと思っても、値段をみて、うーんとなってしまうことがある。この金額を出して後悔しないだろうかと迷うことがある。
そんなとき、心はあまりワクワクしないのだ。

一方で、財布からお金を出すとき、抵抗なくぽーんと払えるもの、払っても惜しいと感じないものがある。
それは、「感動したもの」だという。
人は、「感動」にお金を払うのだ。
「感動をありがとう!」という気持ちで、迷いなくお金を払うのだ。
なるほど、納得である。

推しのコンサート、友人や家族との思い出の旅行、感銘を受けた本や幸せをもらった映画、美味しさにお腹も心も満たされた料理……。
感動したとき、払ったお金は惜しくない。
一度感動を味わえば、その感動がもう一度欲しくて、次もお金を払う。
そして、これは「口コミ」にもつながる。

人は感動すると、シェアしたくなる生き物だ。
少しでも広めたい、多くの人に知ってほしい。
なので、勝手に口コミをする。
もちろん、なかには利益を求めて口コミしている人もいるだろうけれど、純粋に感動したときは、SNSで発信しちゃうものじゃないか。
SNSじゃなくても、周りに伝えたくなるものじゃないか。
そうして、感動するほどいいものは、広がっていくものじゃないか。

BTSが世界的人気グループになったのは、ファンの口コミ力が大きかったと言われている。
彼らの才能や努力もあるだろうけど、彼らから感動を得た人たちが、無償の愛で口コミをした、それが大きな要因のひとつだとは思う。

とにかく。
「感動」は、それを味わった人たちのシェアから広がるものだと思った。
いいものは、自然と広がっていくし、そうであってほしい。
自分も、いいものに出会ったら、口コミ発信源になろう。
「笑い」もそうかもしれない。
笑い合っているだけで、周りにその空気が伝染っていく。
そんなことを感じた一日だったなぁ。

映画『宝くじの不時着 1等当選くじが飛んでいきました』

https://takarakujimovie.com/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?