見出し画像

君の名前、僕の名前と風水

ライターの仕事をはじめて20数年、
もっとも落ち込むミスは、
名前を間違うことだ。
駆け出しの頃、関係者の名前の漢字を間違えた。
先輩から、こっぴどく怒られた。
もっとも間違えていけないのは、名前だと言われた。
名前はその人の顔で、その人そのものだからと。

名前そのものではないにせよ
漢字を間違えられることはよくある。
私の場合、「尚子」なのだが、
「直子」で書かれると
ちょっぴり寂しい気持ちになる。
名前を覚えてもらえていないということは
それだけ関心が薄いということ。
だから、人の名前はミスしていけないのだ。

2023年で1番嬉しかったことは
名前を呼ばれたことだという話を聞いた。
サイン会で「推し」から「名前」を呼んでもらったという。
確かにそれは嬉しい。
この話を聞いて、ある人がこう言った。
「大人になると、下の名前を呼ばれなくなるから……」

社会人になると
「なおちゃん」から「たかはしさん」になり
「課長」や「部長」になり
「パパ」や「ママ」になる。
親しい関係で、いまなお名前で呼び合う仲は
なんとなく温かいし、
知り合って間もない関係でも
名字でなく、名前で呼ばれると
距離が縮まった感じがして
その人のことが好きになる。
「推し」ならなおのことだ。

私の好きな俳優は、
台本をもらったとき、まずはじめに台本に書かれている
スタッフ・共演者の名前を覚えるという。
一緒に仕事をしていくうえで
名前を覚えて呼び合うことが
いかに大切なことかを知っているのだ。

そういえば、『偶然見つけたハル』というドラマは
まさに、「名前」から始まる物語だった。
ヒロインはマンガのなかの脇役。
そんな彼女が名もないエキストラの少年に
「ハル」という名前をつける。
ヒロインに名前を付けてもらった「ハル」は
名前を呼ばれることで自我に芽生え
名前を呼んでくれるヒロインを
愛するようになっていくのだ。
「名前」を持ったことで、
彼は、そのほか大勢のひとりではなく
ほかの誰でもない「ハル」その人となっていく。

名前って、それほど大きな意味を持つものなのだ。

話は飛んで。
風水では、玄関には「表札」をつけるべしと言われている。
表札は家の顔。
名前がないと、そこに誰が住んでいるかわからず
プラスの気が呼び込めないそうだ。
神様だって、「名前」がなければ
その人を訪ねられないのだ。

同じように、人の脳も
「主語」がわからないとうまく判断できないという。
相手に「ば〜か!」と言った場合、
「ば〜か!」の主語が誰かわからないと
自分のことかと勘違いするらしい。
なので、“夢が叶っちゃうノート”では、
主語を明確に書けという。
たとえば、
「私、たかはしなおこは、noteをこの1年、毎日続けた!」
と、書く。
そうすると、「私」がnoteを続けたのだと、脳が判断する。
脳がそう思い込めば、自然とそういう行動をし始めるらしい。
コツは、必ず、自分の名前を書くこと。
もうひとつ、完了形にすること。だそうだ。

「私はやれる!」より
「私、たかはしなおこはやれる!」
のほうが、効果的だそうだ。

そんなわけで、自分自身が自分の名前を書き、
自分の名前を呼んであげるのも大事なことらしい。

メールでも、LINEでも、
最初に、名前を書いてみる。
「ねぇ」じゃなく、名前で呼んでみる。

そんなわけで、社員証ってやつはいいなと思う。
あれをつけていると、名前で呼べるから。

余談だけれど。
去年からK-POPダンスの会に参加している。
ダンスを踊れるようになるのも大事だけど、
いまは早くみんなの名前を覚えたいなぁと思ってる。


『偶然見つけたハル』
Netflix、U-NEXTほか配信中

https://www.netflix.com/title/81234382



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?