リアル料亭・ガチ仲居 第十一話
第十一話 料亭における女性と男性の役割分担
接待にしろデートにしろ、夜席の店内でイニシアチブを取るのは男性です。
昼席ではリッチそうなマダームがグループでお食事にいらしたりしますけど、夜席では、女性だけのご来店は滅多にありません。
たまにOLさん風の女性が数名でいらしゃることもありますが、場違い感が満載です。
夜席の料亭は男社会。料亭での女子会は避けられた方が無難です。
そんな男社会の夜席で仲居の粗相などがあったりした場合、お怒りになられたお客様に謝罪するのは、仲居頭です。
男性の支配人やマネージャーが表に出るのは最終手段。
必死に頭を下げる女性相手にいつまでも癇癪を起していると、器が小さいと言いますか、だんだんクレーム男性の方が見苦しくなってくる。
ですので、男性のお客様の方から抜いた刀を鞘に収めて下さいます。
男性が男性に謝罪をするのは逆効果。
男性同士ではマウントを取りたがるお客様のクレーム時間が長引くだけです。
一般的な会社では男性が矢面に立ちます。たとえ事務の女性のミスであっても、謝罪するのは100%男性です。
しかしながら料亭では女性が矢面に立たされる。謝罪の中にも多少の媚を含ませる。女を使えと言われます。
こんな時にも料亭は、男と女の色事の場でもあるのだと痛感します。
女性だけのグループで来店すると、なぜ浮いた存在になってしまうのか、お分かり頂けるかと思います。
お客様のお供(お客様が帰宅に使われるタクシーや社用車などを『お供』と言います)の誘導は、ブラックスーツの男性スタッフの仕事です。
お供の誘導は着物姿の女性がするより、スーツの男性が行った方が見栄えが宜しい。男性が運転されるお車を女が手招いたりストップをかけたりするのは、小生意気に見られます。あまり推奨されません。
また、手配したタクシーの運転手が女性だったことは一度もありません。これも上記した男性優位の原則に基づかれたものかと思われます。
たとえジェンダーフリーの時代でも、時と場合で男性性と女性性が密かに使い分けられる。
そうすることで生じる艶や色気を厳守するのも、伝統なのかもしれません。
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