療育手帳

 長女は電車・バス通勤をしているので、毎年6月に交通系ICカードの更新をします。

 軽度知的障害の娘は、定期券だと障害者割引にならず、ICカード利用で障害者割引が適応され、電車・バス代が半額になります。会社には1ヶ月分の利用履歴を提出して交通費を出してもらっています。娘の会社は交通費の上限が月1万円のため、障害者割引がないと持ち出しになってしまうので、助かっています。

 娘が軽度知的障害の診断を受けたのは小学2年でしたが、まだ子どもだから成長して軽度知的障害ではなくなるかもという淡い期待があり、すぐには療育手帳を申請しませんでした。「そんなことあるの?」と思われるかもしれませんが、可能性はゼロではないです。療育手帳を取得した時にも「定期的に検査を受けて、判定外になったら療育手帳は返してもらいます」と言われました。

 中学に入学する時に、自転車通学の他にバス通学もできるよう療育手帳を取ることにしました。片道10分ほどですがバス代、意外と高いので。中学生の間にバス通学に慣れれば、高校生になる時に本人の不安がひとつなくなるかなという思いもありました。

 療育手帳を取得したメリットは、交通費以外にもあり、かなり大きなものでした。親が扶養している間は親の税金が控除され、働き始めれば本人が控除を受けられます。また療育手帳の提示で、映画館や美術館、水族館、遊園地、観光地などで割引が受けられます。

 社会人になってからは、映画を観に行くと本人と付き添い1人が1000円になるので友だちに喜ばれます。遠慮がちな娘ですが、友だちを誘いやすいようです。

 何年か前にジブリ展が開催された時は、障害者本人と付き添い1人が無料だったので、娘は3回も観に行きました。1回は友だちと2回は私と一緒に。ジブリが大好きな娘は毎回目を輝かせて、じっくり観ていました。回数制限をもうけず、楽しませてくれたジブリには感謝しかありません。

 我が家は生協を利用しているのですが、療育手帳の提示で、個配料金が無料です。娘が車の免許を取得した時は補助金もいただき、補習の料金を賄うことができました。

 何より娘が障害者枠で正社員になれたのがいちばんのメリットです。

 療育手帳を取得することに抵抗がある方の気持ちは良く分かります。娘の療育手帳を申請する時に、役所の人に「療育手帳が必要なほどの障害なのね」的なことを言われ、かわいそうにという態度を取られ、腹立たしく一度申請を断念したこともありました。

 でも、療育手帳を取得してからはいろいろ恩恵を受け「割りきって、もっと早く取れば良かった」と思いました。療育手帳を持つ意味は重いですが、利用できるものは最大限利用させてもらえばいい。

 今は療育手帳をスマホに取り込むアプリもあり、コンビニや飲食店で使えるクーポンもあります。

 療育手帳は障害者の烙印などではなく、生活を楽にしたり、行動範囲を広げてくれる便利なツールです。

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