「ありがとう」

 軽度知的障害の長女は、介護補助の仕事をしています。中学生の頃からこの仕事をするのが夢でした。でも、祖父母と同居しているわけでもなく、どちらかというと疎遠なのにと不思議に思い、聞いてみたら「小学生の頃に◯◯(介護施設名)に行って楽しかったから」と。

 さらに掘り下げて聞くと「おじいちゃんやおばあちゃんにありがとうって言われてうれしかった」。

 そういえば長女は小さい頃から「ありがとう」と言うと何ともうれしそうな顔をしていました。

 夫が育児に協力してくれなかったため、私はワンオペ育児をしていました。4歳違いの二女が生まれてから、長女は大活躍。オムツを替えたり、お風呂から上がった二女の身体を拭いたり、洋服を着せたり、私が料理している間にあやしてくれたり。

 そんな長女に「ありがとう」「助かったよ」とよく言っていました。当時は診断前でしたが、個性的だと思って育てていた長女が育てにくいと感じて始めていた時期。「ありがとう」は私も長女もうれしくなり、笑い合える言葉でした。

  その後も「ありがとう」は長女を支えてくれています。人より上手く出来ないことが多い長女にとって、「ありがとう」は誰かの役に立てていることを実感でき、自分に自信を持てる特別な言葉なのだと思います。

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