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論文 査読への対応

概要

論文を査読付きのジャーナル(雑誌)に掲載するには、査読というプロセスを踏まなければなりません。

この投稿では査読とは何なのかから始め、最後には査読に対する心構えを筆者独自の考えで伝えたいと思います。

対象としては、
初めて査読付きのジャーナルに掲載しようとしている方
・査読付きのジャーナルに何本か掲載しているがまだそんなに本数は多くない方

となるかと思います。

稚拙な文章になるとは思いますが、誰かの参考になれば幸いです。

査読とは

研究の世界における査読とは、論文をそのジャーナル(雑誌)に掲載しても良いかについて、専門家が内容を精査する手続きのことです。

登場人物は基本的に以下の三人です。

  • 投稿者:論文をそのジャーナルに掲載したいと考え論文を書き、投稿した人

  • 編集者(エディター):その論文をジャーナルに掲載していいかを判断する人

  • 査読者(レビュワー):その論文の内容について精査する人(エディターからお願いされて査読を行う)

 レビュワーは論文の方法や結論などに修正すべき点があれば、それをコメントします。
エディターはレビュワーのコメントを基準に査読結果(後述)を決定します。
投稿者はエディターから査読結果とレビュワーのコメントを受け取り、対応を行います。
その後は論文がAcceptされる(ジャーナルに掲載します!という最高のお返事をもらうこと)か、Rejectされる(うちのジャーナルには掲載しません!と言う最悪のお返事をもらうこと)まで上記の流れを繰り返します。

査読結果の種類

査読結果にはいくつかの種類があり、基本的に以下の5つです。

  • Accept:論文がジャーナルへ受理されること(最高の結果。ゴール)。

  • Editor kick (Editor reject):エディターがレビュワーに依頼することなく論文の掲載を拒否すること。

  • Minor revision:軽微な修正(誤字脱字や文章の表現など簡単な修正)を適切に行うことでAcceptされる可能性がある。

  • Major revision:大幅な修正(再実験や、追加実験、統計のやり直しなど)を適切に行うことでAcceptされる可能性がある。

  • Reject:論文がジャーナルへの掲載を拒否されること(orz)。

Acceptの場合にすること

ゴールです!手放しで喜びましょう!
この後は出版するために論文の体裁を整える作業を終えれば、論文はジャーナルに掲載されます。
Happy!!! Good job!!

Minor revisionの場合にすること

これも結構喜んでいいでしょう!
よっぽど変なことをしなければ論文はAcceptされるでしょう!
レビュワーの言っていることを完全に理解して、論文を修正します。
何度も何度も確認し、間違いの内容に修正し、再投稿します。

Major revisionの場合にすること

少し喜んでいいでしょう!
なぜなら論文はリジェクトされておらず、Acceptされる可能性があるからです。
ただ、Minorの場合と違い、論文の修正範囲は広範囲になり、求めらる修正の程度も高いでしょう。
ここで大事なのは、レビュワーの言っていることを完全に理解することです。

【番外編】Minor revisionとMajor revisionにおける心構え(筆者の個人的なもの)

レビュワーの指摘事項を修正する際は、①修正した論文と、②レビュワーからの指摘事項にどのように対応したかを示す手紙(Responce letterなどと言われます)を提出します。
①は修正した論文を提出するだけです。
もちろん①が最重要なのですが、②もかなり重要です。②の書き方で査読結果はかなり変わると思います。

以下は②を書く際の筆者の心構えです。

レビュワーの気持ちになり、これでもかというくらい丁寧に答える。
レビュワーは忙しい中ほとんどの場合ボランティアで論文を査読してくれています。そんな人に納得してもらうことが大事です。
以下は例です。
・お礼を言う
⇨あたなのコメントのおかげで論文はとても改善されました。等
・褒める
⇨とても大事な点を指摘してくれているコメントです。等
・ほとんどレビュワーの言っている通りにする⇦最も大事かも
⇨レビュワーはいろいろなことを言ってきて、それに対してどのように対応するか、また対応すべきか否かを判断しなければなりません。
対応すべきかの基準は「レビュワーのコメントに基づいた修正が論文を悪くするかどうか」です。
つまり、
レビュワーのコメントに基づいた修正が論文を良くする→レビュワーの言っている通りに直す。
レビュワーのコメントに基づいた修正は論文を良くも悪くもしない(論文の著者的に修正しなくてもいいと思う)→レビュワーの言ってる通りに直す。
レビュワーのコメントに基づいた修正が論文を悪くする⇨きちんと反論を書いて修正しない。

レビュワーは論文をよくしようと考えてコメントしてくれています。
基本的に感謝の気持ちを持って論文を言ってくれている通りに修正します。

Rejectの場合にすること

しっかりと落ち込みましょう! 
Rejectの理由が極端におかしく反論に値する場合を除き、もうできることはありません。
論文はそのジャーナルへの掲載を拒否されました。
気を取り直して、他のジャーナルへ投稿しましょう!

【番外編】Rejectの場合の対応(筆者の個人的なもの)

Rejectになると言うことはレビュワーの査読結果を見て、エディターが「修正不可能だろう」、「このジャーナルに掲載するには決定的に足りないことがある」と判断したと言うことです。
ですので、Rejectの連絡と一緒に、Minor revisionやMajor revisionの時と同じようにレビュワーからのコメントがあるはずです。
ここで問題になるのは「次のジャーナルに投稿する際にそのコメントの内容を論文に反映するかどうか」です。
私はほとんどの場合「基本的に何も反映させず次のジャーナルに投稿」します。
理由としては以下の2点です。
(1)査読者ごとに指摘事項が違う
(専門家が極端に少ないなどを除き)ほとんどの場合、違うジャーナルに投稿するとレビュワーも変わるでしょう。
そうなると論文への指摘も当然変わってきます。
つまりあるレビュワーの指摘と全く逆の指摘をその他のレビュワーがしてくる可能性があるのです。
こうなると、Rejectが決まっているジャーナルのレビュワーからのコメントに対応して次のジャーナルに投稿すると、そのジャーナルのレビュワーから全く逆の(修正前に戻すことを勧めるような)コメントが来る可能性があります。
これは全く時間の無駄だと感じるのです。

(2) 論文をお蔵入りする気持ちが出てくる
Rejectが決まっているジャーナルのレビュワーからのコメントに対応するには当然、時間がかかります。
特にそのコメントがかなり重かった時には、「もう諦めようかな」、「次の実験を論文にしようかな」と言う気持ちが出てくる可能性があります。
お蔵入りにしてはここまでの実験や執筆にかけた時間が完全に無駄になります。
そんなことになるよりは「査読者ごとに指摘事項が違う(つまり結構運次第)」と思って、すぐに違うジャーナルに出すのがいいでしょう。
ジャーナルの目的やレベルが異なれば、必然的に求められることも変わるのです。

長い文章にお付き合いいただきありがとうございました。
この投稿では私のこれまでの経験から、査読とは何なのか、どう対応すればいいのかについてまとめました。

論文を出してやるぞ!!と燃えている誰かの参考になれば幸甚です。

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