小さな街の診療所がコロナ診療やってみた😊

ウチは郊外の住宅地にある、小さな診療所です。

普段は、平日は午前診、午後診と診察し、休診日は基本的に往診と産業医業務をやっています。1日100人以上コロナ患者の診察をしたり、1日に何件もコロナ往診をこなすような華々しい医療機関では全くありません。

当院の診療時間


当初は、『かかりつけ患者さんがコロナに罹った時には対応できたらいいな』くらいの気持ちで、発熱外来を始めることにしました。


第4波でポツポツ往診依頼が入るようになり。第5波で発熱外来で当該保健所の管轄内に住んでる患者さんが増えるようになってきました。

コロナの波を乗り越える毎に、そろそろ町医者もコロナで忙しくなりそうだな、とは思っていました。



が、

第6波は想像を超える忙しさでした。


1.診療の流れ 1月から2月初めごろ

基本的に、平日は、一般の定期診察、健診、予防接種等を行なっています。今年に入って、さらに新型コロナワクチン3回目接種も加わり、これらの業務が大体定時の診療時間いっぱいかかり、その後、やっと発熱外来が始まります。午前診の場合は昼から、また午後診の場合は、大体20時を過ぎた頃から発熱外来を行うようになりました。

2月の感染者数が激増した時には、朝から晩までぶっ通し、夜の診察が終わるのはいつも22時。午前診のみの日も、終わってみたら17時、なんて日もありました。診察の合間をぬって、オンライン診療や、緊急往診対応等をやりました。終末期の在宅患者さんの往診が重なった時には、朝の診察の前、又は夜の発熱外来の後に往診していました。
近隣の学校で多く感染者が出た時には、休日も発熱外来を続けました。

2.2月中旬ごろ〜 高齢者患者や高リスク患者の増加

第6波の当初は、子どもを含め、若い感染者が多かったのですが、2月も中旬になると高齢者や、リスクの高い感染者が増えていき、抗体点滴療法往診も増えていきました。これに伴い、往診時間確保のため、発熱外来を制限せざるを得ないようになりました。


3.3月に入って

やっと少しずつ発熱外来受診患者さんは、少しずつ減ってきています。
が、近隣の学校等でポツポツ発生しています。


4.かかりつけ医として出来ること
 a.感染者の健康観察
幸い、病状の変化を患者さん自身がまめに連絡くださったので助かりました。リスクの高い患者さんにはクリニックから健康状態を伺いました。
 b.軽症者に対する治療
内服薬や、注射薬を、町医者レベルで投与することができるようになったので、必要と考える患者さんには積極的に投与することができました。
かかりつけ患者さんの中には、『悪性疾患からやっと寛解した』患者さんや、『拡張型心筋症等の心疾患で慢性心不全』の患者さん等、一見安定していてもちょっとしたことで容易に病状が悪化しかねない患者さんも多かったので、いざとなったら抗体点滴療法も使えるようにと、第6波の始めの頃に、抗体点滴療法往診医療機関として、自治体に届け出を済ませておきました。ラゲブリオやゼビュディ、ロナプリーブ等、処方するには、自治体への申請、製薬会社への登録が必要となりますが、いずれも手続きは非常にスムーズでした。

ゼビュディ登録


ラゲブリオ登録



 c.保健所との連携
ウチのクリニックは、早い頃から発熱外来を設置して、保健所とのやりとりを重ねていたため、比較的連携が取れたように思います。管轄の保健所のスタッフさんの(超多忙にも関わらず)細やかな配慮のおかげで、重症化リスクの高い患者さんのフォローや、療養施設の手配、入院の手配等、スムーズでした。保健所への発生届は、当初はFaxで行なっていましたが、コロナ患者増加に伴い、いちいちFaxのやりとりをやってられなくなり、HER-SYS導入。これがまた便利で助かりました。

5.かかりつけ医としてできなかったこと

 a.発熱外来受診希望者を全て診察できなかった

2月のピーク時は、発熱外来が溢れかえってしまい、診察を制限せざるを得なくなってしまいました。当初は保健所管轄内の他市の患者さんにも対応していましたが、患者さんが増えすぎて、近隣地域の患者さんのみの対応としました。

  b.通常の診察が制限された
在宅患者さんの往診等、クリニックでの診療の後におこなっていたため、時間が大幅にずれ込み、患者さんに迷惑をかけてしまった。

 c.クリニックのスタッフの疲労もピークに

2月下旬には、スタッフの疲弊も極限状態となり、これも発熱外来を制限せざるを得なくなった理由のひとつです。患者さんの診察と同様、スタッフを守ることも、私自身の仕事だと思っているので、この判断をせざるを得なかったと思います。

 d.大阪府の高齢者施設のクラスター対応の応援ができなかった

患者さんが増える時には、一気に増えてしまう感染症なので、高齢者施設のクラスターが多発していたときは、ウチの発熱外来もてんやわんやだったので、身動きが取れませんでした。



そのうち、次の波が押し寄せてくると思います。治療薬の進歩もあり、私のようないち町医者でも、軽症なら治療できる症例も増えてきました。早期の治療で入院せずに済んだ方もいらっしゃいます。

今のうちのやり方が良いやり方かどうかもわからないけれど、患者さんにとっても、ウチのクリニックにとっても、より良いやり方を考えながら、やっていきたいなぁと思います。

当該保健所の管轄内で軽症コロナの治療、往診する医療機関が、少しでも増えてくれたら、重症化せず助かる患者さんも増えるなぁと思いました。それぞれの医療機関で抱える事情もあるでしょうから、そう簡単には増えないようにも思いますが。

次の波では、今回の反省を活かして、改善していけたらと思います。
とりあえずもう少し落ち着いたら、スタッフを適宜休ませたいと思います。

早くコロナに振り回されない毎日が戻ってきますように。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?