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銀河鉄道999 1巻 第4話 何をしてもいいところでは何も生まれない

「タイタンの眠れる戦士」

停車駅:タイタン

 次の停車駅は土星の衛星タイタンです。タイタンの自転周期は地球時間で16日だそうです。調べてみるとほんとに16日で自転しており、公転周期とも同じだそうです。地球の月といっしょですね。言い忘れておりましたが、銀河鉄道の停車時間はその星の1日と決まっております。

 タイタン最大の特徴は何といっても「楽国法」です。これはタイタンでは何をしても罪にならないという法律だそうです。無茶苦茶ですね。
 そして到着早々、鉄郎の目の前で人が撃たれ、メーテルがさらわれます。ここまででわずか6ページ。もし無法国家があればどうなるのかという思考実験の場になっています。もちろん力が全ての世界になり安全な場所はありません。そしてここにはあまり大きな産業や文化的なものがないようです。
 ある程度の時間がかかる製品やシステムは安全が保障されなければできません。タイタンも個人的に裕福な人はいるようですが、先進的な街は描かれておらず人々も熱帯植物におおわれた中に粗末な家を建て暮らしています。
 松本氏はそこまで深い設定は考えてなかったと思いますがこんな世の中で人々が豊かな暮らしをしていたら違和感しかないですよね。

 到着早々さんざんな目にあった鉄郎ですが幸運なことに(鉄郎はいつでも幸運ですが)ある老婆から「戦士の銃」をもらいます。この老婆の息子が持っていた銃なのですが、ある日負けて戻ってきて死んだとの事。老婆は鉄郎に若き日の息子の姿をみたのでしょう。サブタイトルの眠れる戦士はこの息子でありコスモガンのことであると思います。
 本物の宇宙戦士が持つコスモガンを携えて鉄郎は人さらいからメーテルを取り返します。そしてこの星のひどい法律を実感した鉄郎は次のように言いました。

「楽園に住む人間の心はだんだんすさんであれはてていくみたいだねメーテル!きびしい星にいる人の心のほうがきれいなのかもしれないねメーテル」
メーテルと2回言っているのがかわいいです。

今回の松本巻紙は皮肉に満ちています。

「タイタンー土星の月
昔 心のきれいな勇気にみちあふれた人々がこの星をきりひらき楽園をつくりあげた。その楽園にはいま心のあれはてたみにくい人々が住んでいる」



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