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予実管理は大切

私の業務の中でも重要なウェイトを占めている1つに事業の予実管理があります。今回はそれについて書こうと思います。


◆意外とできない予実管理

私は大手企業に勤めたことがないので、あくまで地方の中小企業レベルでの話ですが、役職者でも受け持ち事業や受け持ち店舗、受け持ち管理物件等の予実管理が出来ていない人が意外と多いです。なので、根本的に利益がどれくらい出ているか理解していなかったりします。他にはとりあえずやっているだけで、予実管理から現状を考察しないために、問題があっても発見できず改善していなかったりします。

◆予実管理の重要性

当たり前ですが、企業はお金が回らなくなったら倒産します。なので予実管理を行い、現在この事業ではどのくらい売上があって、支払いがあって、利益が出てて、どのくらいお金が残るかを実績で把握し、それを元に来期はどのくらいの売上になるか、どれくらいの支払いになるか、利益があるか等の予算を立てて、どれくらいお金が必要になるか準備し、また実績値と比べ、誤差が出れば原因を考察し戦略を立て改善します。普通にPDCAサイクルですね。
ツールはなんでもいいと思います。多数の人間に開示するなら何かしらのクラウドシステムがいいでしょうし、少人数だけならGoogleスプレッドシートやエクセルでも十分だと思います。

◆予実管理で何がわかるか何を考察するか

◯一過性か継続性があるかを考える
自身で作った予算から数字がブレた場合、まず先にそのブレは一過性のものなのか継続性があるものなのかを考えます。
例えば弊社のコインランドリー事業で、前年比130%の売上を叩き出したことがありましたが、それはその年が長梅雨で7月~8月の売上が跳ね上がったからでした。このような場合は、翌年の予算作成でその年の売上を元にしてはいけないと思います。あくまで一過性のものであって、翌年は空梅雨になる可能性もありますから。他には新型コロナウイルスが流行し始めた時に、まだ得体が知れないものであり、一過性では終わらないであろうと推測し、売上予算を3年程度前年比割れで作成したこともあります。原価や人件費のブレも含めて一過性か継続性か客観的に見極めることが必要になります。

◯売上の大きな予算未達はわりと致命的になりやすい
BtoCの立地商売は売上が予算未達だとけっこうきついです。早急に原因を考察して対策を立てなければなりません。そもそものマーケティングが不十分だった場合には、もっと客観視した売上予算を立てて事業撤退か継続か決めなければなりません。認知度の問題なら広告宣伝費を何%に上げようとか、ターゲット層にかかりそうな媒体に変更しようとか、商品をもっとブラッシュアップしなければいけないとか、店が汚いとか接客が悪いとか口コミで参考になることはないかとか、考えることは山程あります。逆に予算より多く売り上げた場合でも、良かったねで済まさず前項の一過性か継続的に上がっていくかを考察していかなければなりません。

◯コストが下がることは良いこととは限らない
以前予実管理の社内研修を行った際、若手に「え?予算より実績のコストが下がることって良いことじゃないんですか?」と驚かれたことがあります。
例えば人件費で話をします。弊社のメイン事業はビルメンテナンスです。ビル等の建物をお掃除する仕事ですね。労働集約産業の一つでもあります。
例えば、人件費率を70%で予算を組んで、それが65%で1年終われたとしましょう。普通なら人件費が5%下がることにより想定よりも利益が上がるわけですから喜ばしいことだとは思いますが、やはりその5%下がった要因は考察しなければなりません。途中から清掃ロボットを導入したことにより無理なく労働時間を削減できたからなのか、単純に作業を重ねるうちに作業員の練度が上がり労働時間を削減できたからなのか、それとも手抜き清掃をすることによって労働時間を減らしたのか、規定の人数以下で作業を行い、実際はカツカツで残業手当等がかかっているものをサービス残業させていたからかとか、ただ5%下がった良かったねでは今後の事業運営に支障が出ます。まずは自身の予算設定が甘くなかったか、積算を見直すとともに、予算より多くても少なくてもその要因は考察しなければいけません。

◯社会情勢等にもアンテナを
現在の日本はデフレを脱却してインフレになっています。飲食店なら毎年どの程度食材原価率がインフレにより上がるのか推測し、それを元に値上げをするのか、むしろ値下げして客を奪い取り薄利多売でいくのか、最低賃金も何年までに1,500円にする等の話もありますし、社会保険料も毎年のように利率が変わったり、新たな制度になったりします。そのあたりの情報をしっかりと集めて予実管理に反映させ準備しておかないと事業が立ち行かなくなります。特に複数年で受託する入札案件なんかは、これらを考慮して予算を立てないと3年経った頃には赤字事業に転落したみたいなことも往々にしてあります。

◆100%の精度を目指す

新規事業のスタートアップで予算に対する実績率を100%にするのはほぼ不可能だと思います。ただし、事業を継続できたとしたら年々精度は上げていくべきです。それにより、事業目標の達成ができたり、事業の安定性を上げることができます。私は受け持ちのコインランドリー事業について、今では毎年売上予算比で実績が1%~3%程度のズレで収まることがほとんどです。なので、利益がどれくらい出ているかもほぼズレがなく正確に把握できているので、(利益予算については少し厳し目で低く見積もってはいますが)例えば新しいシステムや機器をコインランドリー事業に投資をする際も、今期の予算的にはこの程度のキャッシュフローがあるので導入しようとか、逆に様々な要因から投資は来期に回そう等の素早い判断ができています。前回の記事でだいたい8割と書きましたが、予実管理だけは100%の精度を目指して作成しています。

◆管理者になるなら

人材育成等も大事ですが、予実管理もかなり重要な仕事の一つです。今回は私の行っている感じをちょこっと書きましたが、昔と違って様々な情報にアクセスできるので予実管理についても検索すると様々な情報、もっと良いやり方、考察の仕方等が出てくると思います。上手に予実管理ができるようになると、結構事業が楽しくなりますよ。

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