ウクライナ・ガザ、共に即時停戦を!-当事国市民が望むなら戦闘継続なのか?、このままではウクライナ市民・社会は崩壊する!

 残念ながら世界では軍事紛争が絶えません。そしてガザでのイスラエルによる虐殺行為、ロシア政権によるウクライナ侵略は決して許されません。それらの両行為について強く抗議非難します。同時にウクライナ・ガザ、共に即時停戦を強く主張します。

パレスチナ人の大多数、イスラエルに戦争仕掛けたハマスを支持 政治的解決は見えず (msn.com)(12/22)
「武力行使に対する見方はガザ地区とヨルダン川西岸で分かれている。武力闘争に対する支持は、ガザ地区では2022年9月の50%から23年12月の56%へと、わずかな上昇にとどまった。一方、ヨルダン川西岸では22年9月の35%から23年9月には54%へと急増し、12月に入って68%に達した。」(同記事より直接引用)
   この間様々に報道されているパレスチナ市民の意識調査ですが、「武力行使」については、ガザでも56%支持と22年9月よりわずかながら上昇、ヨルダン川西岸では、22年9月の35%から23年12月現在では7割近くが支持と急上昇しています。

 「侵略に対してどう対応するかを決めるのは当事国市民」という理屈で即時停戦論を非難する議論があります。ではパレスチナ市民の多くが「武力行使を支持しているのだから、ガザ即時停戦はパレスチナ市民を蔑ろにするもの」とガザでの即時停戦主張は非難されるべきでしょうか?私はそうは思いません。客観的かつ現実的にみて、「武力行使」では解決しないどころか、パレスチナ市民をより悲惨な状況に追い込むだけ、まず何よりも即時停戦のはずです。そしてこのように主張したからと言って、ガザに関しては「当事国パレスチナ市民を蔑ろにしている」とは即時停戦論は非難されないでしょう。
 しかしウクライナに関しては即時停戦論について、常に上記のような非難がなされます。それはなぜでしょうか?

猪野弁護士のブログ論考です。
ウクライナ軍の兵員不足が50万人? 国家が崩壊するだろう - 弁護士 猪野 亨のブログ (fc2.com)
 ここでも紹介されているようにウクライナ軍は50万人の追加動員計画です。これを行った場合その後ウクライナの市民・社会はどうなってしまうのでしょうか?
ウクライナ、国外居住の男性国民に兵役に就くよう要請へ(BBC News) - Yahoo!ニュース(12/22)
「ウクライナのルステム・ウメロフ国防相は、国外に住む25~60歳のウクライナ人男性に兵役に就くよう求める方針を示した。ドイツのメディアなどが21日報じた。 ウメロフ氏は独メディア「ヴェルト」と「ビルト」、米政治ニュースサイト「ポリティコ」のインタビューで、兵力の増強について語った。兵役は「罰ではなく」、「名誉」だと述べた。 そして、「自発的に応じない場合にどうするかは、まだ議論中だ」とした。 ウメロフ氏は兵役の求めを「招待」と表現した。だが、応じない人は制裁を受けると示唆した。」(同記事より直接引用)
 ウクライナ国防相からさらに国外移住のウクライナ国民にも兵役に就くように要請、「応じなければ制裁」という発言も出ています。
しかし現実は下記の次第です。
「2023年前半の半年間で手足切断したウクライナ傷痍兵の数は15000人に達している。医学の水準がまったく違っているにもかかわらず、第二次世界大戦全期間に手足切断したイギリス軍人の数は12000人であった。ウクライナがいかに無謀な人海戦術を展開しているかということである」(p68)「2023年前半期だけで15000人が手足切断したとすれば、戦争全期で何万人が手足を失ったか。高齢者にまともに年金を払えない貧しいウクライナ国家に、これらの青年のまだ何十年のある人生の面倒がみられるのか。20万人の子供が父親を失ったとすれば、だれが彼らを大学まで出すのか。ロシアに勝ってロシアの賠償金で出すのか。『ウクライナ正義のために戦え』などと言っている人たちがカンパして出すのか」(p79 松里公孝「正義論では露ウ戦争は止められない」『世界』24年1月号、ページ数は引用ページ)
 「徹底抗戦・全領土武力奪還、米欧日の軍事支援支持」と主張している人たちはこの問題をどう考えるのでしょうか。ウクライナ市民の今後について、「自分たちが身銭を切って支える」ということでしょうか?その覚悟もないのに「ウクライナの戦いは正義、徹底抗戦支持」は無責任だし、結果としてウクライナの市民・社会の崩壊を促進する主張、と私には思えてなりません。

ロシア、侵攻開始以降ウクライナに7400発のミサイル 1600発迎撃 | ロイター (reuters.com)(12/22)
「[21日 ロイター] - ウクライナ空軍は21日、ロシアは2022年2月の全面侵攻開始以降、ウクライナに対し合計7400発のミサイルを発射し、ウクライナ軍はこのうち1600発を迎撃したと明らかにした。」(同記事より直接引用)
  昨年の今頃、「ロシア軍ミサイル年内(22年内)にも枯渇」とかなり報道されました。さらにロシア軍によるミサイル攻撃がなされる度に「大部分は迎撃」と聞かされてきたように思います。もちろん侵略しミサイル攻撃を行うロシア政権側の行為は絶対許されない、それに強い怒りを感じます。しかし私たちがこれまで知らされてきた「年内ミサイル枯渇」「ミサイル攻撃、しかし大部分迎撃」という報道は何だったのか、今も私たちは「大本営発表」にさらされているのではないか、そのようにも感じています。

 ウクライナ・ガザ共、即時停戦、それを改めて強く訴えます。

白井邦彦
青山学院大学教授




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?