ロシア・ウクライナ戦争について考える7-ドイツの戦車供与問題と緑の党-

基本的立場
ロシア政権によるウクライナ侵略、占領、その他数々の蛮行は全く許容できず強く抗議するとともに、人命尊重の観点から即時停戦・和平交渉での解決を主張します。同時にマイダン政変・ゼレンスキー政権も支持できない、という立場です。

 6でも書きましたがドイツが供与を渋っている戦車について供与するように他国から圧力がかかっています。
ドイツ、戦車供与渋る 「せめて他国の供与認めよ」の声も 新国防相は地方政界から起用 - 産経ニュース (sankei.com)(1/18)
  ドイツの国防大臣の辞任問題にも関連しているこの問題ですが、ドイツ国内では昨年末の段階で、世論調査では反対が半数弱で賛成を上回っています。そしてドイツ首相は現時点で供与を渋っていますが、連立与党の緑の党は供与に積極的です。
 緑の党というと、平和・環境問題を重視する政党のはずですが、実は武器供与に関して社民党よりずっと積極的です。
 早稲田大学の水島先生(憲法)の記事です。
直言(2022年9月5日)「武器供与のリスクと副作用」――「ウクライナ戦争」の半年 (asaho.com)
 少し前のものですが、ここでは緑の党の閣僚が、「ドイツの有権者がどう考えようとゼレンスキー政権が必要とする武器を供与する」と言い放って炎上した件が報じられています。
 従来平和を強く主張していたのに武器供与を「積極的に」支持するとなってしまうのでしょうか?
  こうした問題も含めハーバーマス氏の論考「戦争と憤激」が下記の水島先生の論考では抄訳されています。
直言(2022年5月2日)ユルゲン・ハーバーマス「戦争と憤激」──ドイツがヒョウでなくチーターを送る時代に (asaho.com)

 水島先生の9/5付けの論考の最後には「核戦争防止国際医師会議ドイツ支部」の「武器支援は紛争の解決に役立たない、とし武器支援のリスクを指摘し外交と交渉に基づく武器支援以外の方法での解決を」との主張が紹介されています。私も全く同感です。
 武器支援、軍事支援は実のところ何をもたらしているのか、今再考すべきではないでしょうか。

白井邦彦
青山学院大学教授
 

 

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