ロシア・ウクライナ戦争について考える5-戦争で得をする人々と犠牲になる人々-

基本的立場
ロシア政権によるウクライナへの侵略・数々の蛮行は全く許容できず強く抗議するとともに、人命尊重の観点から即時停戦・和平交渉による解決を主張します。またマイダン政変・ゼレンスキー政権も支持できない、という立場です。

 戦争はすべての人を犠牲にするわけではなく、戦争によって得をする人々もいることも事実です。
ウクライナ戦争特需で笑いが止まらない米軍事企業(JBpress) - Yahoo!ニュース(12/31)
なんとも不愉快な現実ですが、これもまた事実です。記事の最後にあるようにこうした軍事企業の経営者の本音は「戦争はずっと続いてほしい、とことんやってくれ」でしょう。また米国軍事産業株への投資を勧める記事もこの間ずっと配信されています(あまりに不愉快なので引用はしませんが多数あります)。
 一方では戦場では多数の人々が死傷しています。どのような人たちでしょうか?
ロシア戦死者、少数民族地域が突出…「激戦地への投入」差別的と反発の動き : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)(8/13)
ウクライナで徴兵逃れ横行 「富裕層にあっせん」(共同通信) - Yahoo!ニュース(12/9)
  ロシア軍の戦死者が少数民族に突出している、は事実と思います。またウクライナ側での富裕層の徴兵逃れということは、ロシア・ウクライナ双方にみられる現象と考えます。
 戦場での死傷者についても、その国の経済的社会的に弱い立場の人々がより多くなる、ということはありうるのではないでしょうか。
 前回ウクライナ側の死傷者数の報道がない点を指摘しましたが、両国とも戦場で死傷しているのは社会的経済的にみてどのような層に多いのか、そうした点にも目を向けるべき、と思います。
 私は戦争は経済社会に存在するの経済的社会的格差の存在を実は平時以上に鋭く露骨に示しているのではないか、と考えます。
 戦争で得をしている人々もいる一方、犠牲は皆が等しく被っているのではなく、経済的社会的に弱い立場の人々がより被っているという現実、その現実は、実は目の前に露骨に示されているのではないか、その現実から目を背けず、それを視野に入れて考えるべきではないか、と私は常に思っています。

白井邦彦
青山学院大学教授
 

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