世界で高まるガザ即時停戦の声、パレスチナ市民7割「ハマスの攻撃支持」、ガザ停戦主張はパレスチナ市民の声を蔑ろにしている、と非難されるべきか?

 ガザの状況は見るに堪えないものがあります。
国際圧力下でもガザ侵攻 イスラエル首相、市街戦も(共同通信) - Yahoo!ニュース(12/24)
 それでもイスラエルは断固虐殺行為を続けることを宣言しています。

 世界ではガザ即時停戦の声が高まっています。
国連総会、ガザ即時停戦決議を採択 153カ国賛成 | ロイター (reuters.com)(12/13)
  国連安保理では停戦決議がアメリカの拒否権で成立しませんでしたが、国連総会では153か国という圧倒的多数の国の賛成で停戦決議が採択されています。
 日本国内でも即時停戦を求めるデモ・集会とともに例えば下記のような声明も出されています。
イスラエル及びハマス等パレスチナ武装勢力の双方に対して直ちに恒久的な停戦を求め、日本政府に対して日本国憲法前文の精神を踏まえ停戦の実現に向けて全力を尽くすことを求める会長声明 : 札幌弁護士会 (satsuben.or.jp)
 
 一方当事者のパレスチナ市民の意見です。
ハマスの越境攻撃、「正しい決定」と7割が支持 パレスチナ世論調査 (msn.com)(12/24)
「パレスチナの民間調査研究機関「政策と調査研究のためのパレスチナ・センター(PSR)」は13日、パレスチナ自治区(ヨルダン川西岸とガザの両地区)での世論調査結果を公表した。ハマスが10月7日に行ったイスラエルに対する越境攻撃について、約7割が「正しい決定だった」と支持していることが明らかになった。
 調査は11月22日~12月2日に実施され、ヨルダン川西岸の750人とガザの481人が対面で回答した。ガザ地区では戦闘休止期間中に調査したという。   PSRによるとハマスによる越境攻撃は、ガザ地区で57%が、西岸で82%が「正しい」と答えた。ハマスの支持率は9月の前回調査に比べ、ガザ地区で4ポイント増の42%、西岸では32ポイント増の44%で、いずれもヨルダン川西岸を治める穏健派組織ファタハを上回っていた。「戦後のガザ地区は誰が統治してほしいか」との質問でも、「ハマス」と答えた人が全体の60%(ガザ地区38%、西岸75%)を占めた。」(同記事より直接引用)
 ハマスによるイスラエルへの越境攻撃について全体で約7割、ガザ地区でも6割弱、西岸ではなんと8割以上が「正しい」と答えています。ハマス支持も4割以上です。
オスロ合意から30年、「合意前より悪化」64% パレスチナ人調査:朝日新聞デジタル (asahi.com)(9/15)
「パレスチナの苦境を打破するための具体的な手段については、交渉、平和的な抵抗、武装闘争の三つの選択肢のうち、交渉を支持した人は20%にとどまり、武装闘争が53%にのぼった。」(同記事より直接引用)
 前にも紹介したとおり、パレスチナ市民の過半数以上が武装闘争支持で「交渉による解決」支持は20%にすぎませんでした。
 以上のようなパレスチナ市民の意識から「ガザ即時停戦主張はパレスチナ市民を蔑ろにするものである」と非難されるべきでしょうか?私が知る限りそうした「ガザ即時停戦論批判」は聞いたことがありません。いかに多数のパレスチナ市民がハマスの行為を「正しい」としていようとも、私はハマスの行為は支持できません。そして武装闘争支持がパレスチナ市民の多数を占めようとも、やはり「即時停戦」を主張します。そしてそれが世界的に見れば多数の声と思います。
 パレスチナ市民がこれまで被りこれからも被ってしまう犠牲ということを考えれば、「即時停戦を」の主張は当然のこと、「パレスチナ市民を蔑ろにしている」との非難はありえないでしょう。
 ガザでの即時停戦を強く訴えます。
 一方「ロシア・ウクライナ戦争」で即時停戦を訴えるとなぜ「ウクライナ市民を蔑ろにしている」との非難がなされるのでしょうか?パレスチナとウクライナ、判断基準が異なってしまうのはなぜか?、私にはどうしてもわからない点です。

白井邦彦
青山学院大学教授

 

 

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