交渉による解決を勧めるマスク氏とそれに同意する「当事者」であるウクライナ人学者カチャノフスキー氏、しかし彼の意見は日本では完全に無視されている!

マスク氏のツイートです。
It was a tragic waste of life for Ukraine to attack a larger army that had defense in depth, minefields and stronger artillery when Ukraine lacked armor or air superiority! Any fool could have predicted that. My recommendation a year ago was for Ukraine to entrench and apply all resources to defense. Even then, it is tough to hold land that doesn’t have strong natural barriers. There is no chance of Russia taking all of Ukraine, as the local resistance would be extreme in the west, but Russia will certainly gain more land than they have today. The longer the war goes on, the more territory Russia will gain until they hit the Dnepr, which is tough to overcome. However, if the war lasts long enough, Odessa will fall too. Whether Ukraine loses all access to the Black Sea or not is, in my view, the real remaining question. I recommend a negotiated settlement before that happens.(マスク氏のツイートから直接引用)

「徹底抗戦方針は膨大な犠牲を出し、ロシア軍による占領地を増やしてしまう可能性さえある、そうなる前に交渉による解決を勧める」、とマスク氏は述べています。
 それに対する「ウクライナ人」学者であるカチャノフスキー氏の見解です。
(20) 野口和彦(Kazuhiko Noguchi) on X: "カチャノフスキー氏「(イーロン・マスク氏のツイートについて)はい、ウクライナにとってこの破滅的で勝ち目のない戦争を研究している学者として、そしてウクライナ人として同意します」←なぜ彼は日本の主要メディアや識者にほとんど無視されるのか、私には理解できない。" / X (twitter.com)

 当事者であるウクライナ人の中でも、このカチャノフスキー氏のように現状を考え「交渉による解決を」と主張する学識者もいます。
 ところで「カチャノフスキー」氏という名前を聞いたことがある人はどれだけいるでしょうか?率直にいって日本では皆無、それは野口先生がご指摘するように、「日本の主要メディアや識者にはほとんど無視されている」からでしょう。こうした意見は日本では無視されています。

 マスク氏と私とではさまざまな点で全く立場が異なりますが、上記のツイートには私も同意します。
 ウクライナの市民・社会が破滅的な結末とならない前に、「即時停戦・和平交渉による解決」を私も主張します。現状から徹底攻勢がもたらす犠牲と破滅的結末の可能性をリアルにみれば、こうした意見は立場の違いを超えてかなり幅広い意見ではないでしょうか。

白井邦彦
青山学院大学教授


 

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