ガザ虐殺を続けるイスラエルへ米武器売却、その米の軍事支援あってのウクライナの徹底抗戦、米欧で高まる停戦論!

 イスラエルによるガザでの虐殺が続いています。南アフリカは虐殺を続けるイスラエルを国際司法裁判所(ICJ)に提訴しました。
“ガザ地区への攻撃は集団殺害犯罪” 南アフリカがICJに提訴 | NHK | イスラエル・パレスチナ(12/30)
  イスラエルの虐殺行為に関しては約二か月前の11/7に以下のような報道もなされています。
国際刑事裁判所はイスラエルの「人道に対する罪」を断罪できるか(ハンギョレ新聞) - Yahoo!ニュース(11/7)
 それから約二か月、国際刑事裁判所(ICC、ICJとは別組織)がイスラエル政府関係者に逮捕状を出した話は私が知る限り聞きません。どのような重要犯罪であれ逮捕状を出すにあたっては慎重な捜査が必要です。ただやはりICCが全くイスラエル関連については動かないように見えるのも確かです。本当に公平に捜査がなされているのでしょうか?
プーチン大統領に逮捕状を出した日本人…「我々の職務を全うする」 国際刑事裁判所の赤根智子判事 | TBS NEWS DIG (1ページ)(12/30)
 プーチン氏に逮捕状を出した赤根国際刑事裁判所判事のインタビューですが、「ではイスラエル政府関係者に逮捕状が出されないのはなぜか」私には疑問に感じてなりません。

虐殺を続けるイスラエルですが、アメリカ政府は
米政府 イスラエルに1億4750万ドル相当の武器売却 承認 | NHK | アメリカ(12/30)
このように現在もイスラエルに武器売却を続けており、イスラエルの虐殺行為に加担しそれを支えています。

 ウクライナの徹底抗戦・全領土武力奪還ということも、そのアメリカを中心とした米欧日の軍事支援あってのものです。虐殺行為を続けるイスラエルに武器売却してそれを支えるアメリカ、そのアメリカを中心とした米欧日の軍事支援頼りのウクライナの徹底抗戦、それをどう考えたらいいのでしょうか?
 虐殺行為を続けるイスラエルへのアメリカの武器売却は非難し、ウクライナの徹底抗戦のための米欧日の軍事支援は容認する、でいいのでしょうか?私はそうした立場はとらず、ガザ・ウクライナとも、「即時停戦・和平交渉による解決を目指すべき」という立場です。軍事支援というものは、そこにどのような大義名分をかかげられていようとも、結局「自国が属する陣営ないしその陣営に入ろうとする国には行い、そうでない国には行わない」という基準でなされている、が現実です。それゆえ「いい軍事支援、悪い軍事支援」という分け方で考えるのではなく、軍事紛争が生じたらまず「即時停戦、人命の犠牲を抑え戦火の拡大を防ぐ」そして「和平交渉での平和的解決を」ということを基準とすべきではないでしょうか?私には「ガザについては即時停戦、ウクライナについては徹底抗戦・軍事支援支持」となってしまうことは大変矛盾に感じます。どちらも「即時停戦」ではないでしょうか?

最近米欧の政府筋からロシア・ウクライナ戦争の停戦論が浮上していることを伝える報道がなされるようになりました。
例えば猪野弁護士の下記のブログ記事はその点を指摘されています。
ロシア・ウクライナ戦争の終焉か 身勝手な欧米と先を読めないウクライナの指導者 - 弁護士 猪野 亨のブログ (fc2.com)
他にも下記のような報道もなされています。
「ロシアに領土割譲で戦争終結を」と、ウクライナに提言(ニューズウィーク日本版) - Yahoo!ニュース(12/28)
「ドイツの著名な政治家がウクライナに対し、ロシアとの戦争を終結させるために「一時的な」領土の喪失を受け入れるよう求めている。
 ミヒャエル・クレッチマー・ザクセン州首相は12月20日、独誌『シュピーゲル』に対し、停戦と引き換えに東部4州などを占領された現在の国境をそのまま凍結することを検討するようウクライナ政府に提案し、23カ月に及ぶ戦争を「最終的に解決する時が来た」と訴えた。 「停戦の場合、ウクライナはまず、特定の領土に一時的に手が届かなくなることを受け入れなければならないかもしれない」と、クレッチマーは言う。「ウクライナの領土がロシア領になることはない。しかし、他の主要な紛争と同様、最終的な解決策を講じる時が来た」」(同記事より直接引用、ただしこの州知事は、「ロシア政府に永遠の領土割譲を」と主張しているのではなく、主張しているのは「現状ラインでの停戦」であることには注意)
反攻不首尾のウクライナ、24年は「守勢」へ 停戦論浮上も(産経新聞) - Yahoo!ニュース(12/30)
「欧米では、停戦の可能性を指摘する声も伝えられ始めた。 米CNBCテレビは今月25日の報道で「現状を見る限り、ウクライナには停戦交渉に応じる以外の選択肢はほとんどない」とする専門家の見解を紹介。この専門家はまた、来年の米大統領選でウクライナ支援に否定的なトランプ前米大統領が返り咲いた場合、停戦圧力はさらに強まるとの見方を示した。 米政治サイトのポリティコも27日、欧米当局者の話として、欧米はウクライナ支援の目標をロシアに対する完全勝利から、将来の対露交渉を見据えてウクライナの立場を改善させることに移し始めていると報じた。」(同記事より直接引用)

ウクライナ、欧米支援なければ年金などの支払い遅延─副首相=FT紙(ロイター) - Yahoo!ニュース(12/28)
  この記事からもわかるように、現在ウクライナは国家運営自体が米欧日の支援に依存した形になっています。米欧日がこれからも延々とウクライナの国家運営を支え続けられるのか、そのためにはどれだけの費用が必要でその負担をどうするのか、そうした問題も生じていると考えられます。徹底抗戦を支持主張する方々はこの点どう考えるのか、特にそのための費用負担をどうすべきなのか、こうした面も建前論ではなく本音で議論すべきです。その方々は「ウクライナ徹底抗戦のために、ウクライナ支援増税を」ともはっきり主張すべきです。こうした議論・主張がなされないのも不思議な点です。

 23年もわずかとなりました。ガザ・ウクライナ、双方で今年中に停戦が実現することを、私は強く望んでいます。

白井邦彦
青山学院大学教授





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