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思春期アレルギー

思春期。それは大体の人間に訪れる成長の為に必要な時期であり、反抗期であったり中二病のような形で発露される。しかし、たまにそういった発露がされない人間が居る。それは例えば自分の思春期に向き合う余裕がないような環境に晒されていたり、「あなたは反抗期が無くていい子ね」などという親のエゴに従う形でいい子になってしまったりという具合に。また、所謂高二病のように中二病などをむやみやたらに忌避する風潮に迎合してしまったり……。

自分もそういった思春期の発露をできないまま大人になった人間の一人なのだと思う。自分は幼い頃から重い怪我と病気があり、また家庭環境も良くなかった事で親に必要以上に迷惑を掛けたくないという想いが強かった。身体で迷惑をかけている分極力いい子であろうとし続けた。

人が成長する過程で必要なフローを飛ばしてしまった人間はやっぱり欠陥がある。さながら隠し味を入れ忘れたカレーのように、一見作りは良い料理に見えても何か深みが足りないような味。もしかすれば作り手しかそんな事は気にしていないのかもしれないが。
その弊害は物語に触れる時にも感じる時がある。エヴァンゲリオンとか、ああいった思春期を題材とした話が昔からずっと苦手なまま大人になってしまった。今で言えば、ブルーアーカイブの一部キャラクターも思春期色が強くむずがゆくなったりする。

思春期を真っ当に経験した人にはそういった人生に対するものたりなさのようなものはないのだろうかと思うと羨ましさであったり、自分の境遇を呪ったりもする事もある。

大人になってからとりかえしのつかない事は想像以上に多い。

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