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「介護職員処遇改善加算」の要点をザックリ把握する①

これから「介護職員処遇改善加算」について概要をおさえていきます。
まず前回の記事(https://note.com/brave_azalea259/n/n359d9f036b91)において、Bingに「介護職員処遇改善加算」の定義を質問し、以下の回答が得られました。

『介護職員処遇改善加算は、介護職員の賃金向上を目的に、介護報酬を加算して支給する制度です。 2011年まで実施されていた介護職員処遇改善交付金を引き継ぐ形で、2012年に運用が開始されました。 加算を取得した事業所は、加算額に相当する賃金改善を実施しなければなりません。』

要するに、介護職員の賃金を上げるための加算を、直接補助金という形ではなく、介護報酬に上乗せする形で、事業所に支給をするわけです。
加算の種類には、現在(Ⅰ)から(Ⅲ)まであります。
→(Ⅳ)と(Ⅴ)もありましたが、令和4年3月31日で廃止されました。
なお後述しますが、加算を取得するには要件があります。

令和3年度の厚生労働省の調査によれば、
94.1%の事業所がこの「介護職員処遇改善加算」を取得(届出)しており、
また、加算の種類別(Ⅰ)~(Ⅴ)の取得状況をみると、
加算(Ⅰ)を取得(届出)している事業所が79.8% で最多、
次点が加算(Ⅱ)の8.9%で大差がついています。
そのため、制度の要点をザックリ把握するためには、
主に加算(Ⅰ)について、理解すればよいと言えます。


加算(Ⅰ)を取得すると、月額3.7万円相当(Ⅰ~Ⅴのうちもっとも高い)の賃金改善効果が期待できますが、取得には以下の要件を満たす必要があります。

『はじめに、「キャリアパス」要件として、以下の要件を満たす。
 ①職位・職責・職務内容等に応じた任用要件と賃金体系を整備すること。
 ②資質向上のための計画を策定して研修の実施または研修の機会を
  確保すること。
 ③経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき
  定期に昇給を判定する仕組みを設けること。』

『さらに、「職場環境等」要件として、ICTの活用やキャリアップに向けた取組など職場環境等の改善をすること。』

加算とセットで、広義の賃金体系や介護職員が働きやすい環境を整備しようとしているのでしょうが、なにぶん手を広げ過ぎですね。
これら全部の要件を満たしているかどうか、どうやって確かめるのかが気になるところです。(まさか自己申告制?)

なお、5.9%の事業所はこの加算を受けるための届け出をしていませんが、
加算を取得しない理由については、「事務作業が煩雑」が49.5%で1位になっています。
特に小規模零細事業所で、事務作業の人手や時間がとれず、また要件となる賃金や昇給の体系が未整備なことが想像出来ます。しかし常識的に考えれば、小規模な事業所の方が、大規模な事業所より介護職員の賃金が低く、賃金の改善はより切迫した課題だと考えられますので、この調査結果は皮肉と言えるかもしれません。(逆にマンパワーにゆとりのある大手の事業所が、処遇改善加算の申請を行わないことはまずないと思われます。)
以上はあくまで厚生労働省の調査結果からの推論ですが。

次回以降に、「処遇改善加算」の計算方法について調べてみる予定です。

*令和3年度厚生労働省の調査結果については、以下を参照しました。https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/21/dl/r03gaiyou.pdf

*処遇改善加算の支給要件の詳細は以下のリンクを御覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000953647.pdf


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