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SOLAR EHEMERIS #6「土星の魚座イングレス」-2023年魚座の時期の星の配置-

「あらゆるものの終わりを担当する魚座」
先日の魚座のコラムでも触れましたが
魚座は、12星座の最後に位置しており、
卒業の時、別れの時、解散、退職、この世から離れる時など、
常に物事の「終わり」を担当します。

季節のサイクルは春に始まり、冬に終わりますが、
その冬の終わりの季節になると、太陽は魚座に移動します。
この時期、太陽は冬に固まり形骸化したもの融解していき、
その下に隠れている萌芽に光をあて始めます。

1日になぞると夜明け前の一番暗い時。
人生になぞると、晩年や終末期。
映画では最後のエピローグ。
サッカーに例えるとロスタイム。
魚座は常にこうした「物事の終わり」を担当します。
ひっそりと終わることもあれば
ドラマが待っていることもあるでしょう。

「土星の魚座イングレス」
3/7に土星が水瓶座から魚座に移動しました。
土星は「社会の次元」に対応しています。
そして魚座は「物事の終わり」を担当します。
そのため、「社会的周期」において
「終わりの時を迎える」と考えることができます。

「社会的周期」というのは、
政治や経済をベースとした世の中の秩序や制度の
トレンドや潮流、あるいは栄枯盛衰と考えます。
簡単にいうと景気の善し悪しやビジネスのトレンド
ともいえるでしょう。

そして、土星の公転周期は29.5年です。
つまり経済やビジネスは、約30年という周期で
動いているということになります。

時代の「始まり」は常に牡羊座です。
そして蟹座、天秤座という転換点を移動し
山羊座で「ピーク」を迎えます。
水瓶座は、それまでの社会体制を「破壊」し、
魚座では、水瓶座で終わった時代と
牡羊座から新たに始まる時代の「調整」を行います。
この間を土星は30年をかけて移動しているのです。

つまり、土星が魚座に移動するというのは
約30年続いた「社会のあり方が終わりを迎える」
ということになります。

「土星/魚座時代の社会的な傾向」
土星/魚座時代にはいくつかの傾向がみられますが
一つは「過去への揺り戻し現象」です
「そろそろ終わりかな?」と思っていたことが
復活して、古い時代へと回帰していきます。
代表的なこととして「リアル、アナログへの回帰現象」が
上げられます。特にレジャーやエンタメなど享楽的な分野では、
この現象が顕著でしょう。

二つ目には「浄化作用」です。
過剰に行き過ぎたことに対する反発、反省現象ともいえます。
SNS依存問題や企業の合理化問題、ハラハラ問題
(ハラスメントハラスメント)などは
その代表例の感がありますね。
過剰になった現象は、必ず、どこかで一気に縮小します。
土星魚座の時期には、この傾向がよく見られます。

三つ目は「境界線の変化」です。
これは主に規制緩和やグローバル化といった分野で
推進されていくでしょう。
もともと、グローバリズムとうのは、
海王星が魚座で発見された19世紀半ばころから
発展してきました。そのため「境界線を越える現象」は
海王星マターなのかもしれません。
ただ、海王星は2012年~2025年に魚座に滞在しますが、
顕在化しやすいのは、木星や土星が同時に滞在している時です。
そのため、この2、3年は社会における魚座色が強く顕在化します。
労働力の海外流出、海外資本の流入は加速度的に進むでしょう。

四つ目は「不確かなものが流行る」
土星/水瓶座時代で既存のものの価値が大きく下がりました。
そのため、それに代わる新たな価値を求める動きが出てきます。
それはたいてい、一過性のもので終わることが多いのですが
中にはその後、社会の中核を担うようになるものも出来てきます。
例えば「メタバース」、「アバター」、「SDGS」などは、
独り歩きしていきやすいワードですね。
なぞのインフルエンサーも多数出てきそうです。

このように、土星/魚座時代は、
過去の事象に対するリアクションや
新しく始まることの萌芽みたいなものが、
混在していきやすくなります。

対極的にみれば新旧交代期となりますが、
その渦中にいると、かなりのカオス的なムードが強く
混沌とした様相を呈していくでしょう。

社会的立場によってベクトルが向く方向も
大きく変わるはずです。
そのため、「何が正解で何が不正解なのか」
全くわからない状態になっていくでしょう。
いろいろな分野で「出口戦略」という言葉が
使われていますが、出口は簡単には見つからないはずです。

「土星/魚座時代の意識の傾向」
ご存じのように、魚座は時間軸がないサインです。
例えば、太陽星座が魚座の人は、時代の遥か先を行く人や
逆に太古から存在する伝統的な考え方を大事にする人もいます。
どちらにしても「いまここ」という概念がありません。

あるいは、魚座のルーラーである海王星が強い人
―内惑星やASCと海王星のアスペクトがある人など―にも
同じようなことがいえるでしょう。
例えば、月と海王星がアスペクトをとっている人は
「ボーっとしているあいだに、一日が終ってしまった」
「さっき起きたと思ったら、もう夜だ」
という体験も多いはずです。

2012年に海王星が魚座に移動してからは
世界的にそうしたムードが出てきてもいます。
特に2020年のコロナ禍以降は
「ゲームをしていたら一日が終わってしまった」
「ネットフィリックスを見ていたらあっとうまに1週間がたった」
みたいな経験が増えてきているように思われます。

ただ、そうした時(世界から時間の概念がなくなった時)にでも、
時代のムードにのまれず、
地に足をつけて生きている人たちもいます。
特に土星が山羊座に滞在した2018年~2020年は、
社会にしっかりコミットしながら、
経済も生活もきっちりと成果を残していた人もいました。

この頃は、土星意識でしっかり社会にコミットしている人
(重力に逆らわず地に足をつけている人)と
海王星意識で「ふわっ~」となんとく時間を過ごしてきた人
(海王星引力に引っ張られていた人)とのあいだに、
かなりの格差が生まれてきました。

しかし、土星/魚座時代には、土星意識で生きてきた人も
思ったような時間や行動のマネジメントが
出来なくなることが多くなるでしょう。

「魚座的な意識の方向性」
ただ、土星/魚座時代の本質は、
社会的な活動や経済的な成果にはありません。
より精神的な充足感を感じることが問われます。
その時の充足感や満足感というのは、
人間としての始原的な感覚のイメージです。

森を歩いていて幸せを感じた。
海を見ていたら心が洗われた。
東から吹いてくるそよ風に春を感じた。
こんな感覚に近いでしょう。

魚座が示す「心の世界」と土星が担当する「社会生活」は、
原理原則が異なり、トレードオフの関係です。
片方を優先すると、片方が犠牲になりやすい。
そのため、社会活動の活発化や社会での成功と
内面の充足感は必ずしも連動していません。
むしろ、社会活動が不活性化する時こそ
内面や精神は成熟していく機会となりやすいものです。

確かに、社会的なベクトルが定らなかったり、
未来が不透明になりやすいこの時期は、
内面的な不安に襲われやすいものです。
また内面の不安が、自己批判や孤独感、あるいは絶望感に
発展していくこともよくあります。
しかし、そうした内的な葛藤は「精神の成長」を促し、
成熟した素敵な大人へと導いてくれることでしょう。

ゆとり世代(天王星・海王星/山羊座世代)は
現在「アラ30」を向かえ、サタンリターン前後です。
なかでも1994年、95年生まれの出生図では
土星が魚座に滞在しています。
そのため、精神的にかなり不安定になることもあり、
社会生活がままならなくなる人も多いかもしれません。
そんな人は、今は焦ることなく、
日々の小さな幸福感を大切にすることをお勧めします。
なぜなら、こうした心の問題に対する新しいあり方を
いずれ、世の中にもたらす世代だからです。

逆に、バブル世代(天王星・冥王星/乙女座世代)は、
「何でも手に入れ、多くの自己実現を望む世代」ですが、
この世代は現在「アラ還」を向かえています。
つまり、ニ度目のサタンリターンの時期です。
二度目のサタリタは「何かをあきらめる」ということを通して、
人生の落としどころを見つけていく時期を意味しています。
そのため、この2年間の出来事を通して
「何かを手放すこと」を体感していくことになるでしょう。

東海 豊


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