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あざとくて何が悪いの? 月星座/天秤座を考察する

今日は天秤座の満月です。
満月は、地球を挟んで太陽と月が並んだ配置になる日です。空を見ると「太陽-地球-月」と並んで見えます。といっても、三次元の世界では太陽と月を同時に見ることは出来ません。そのため、こうした天体の配置を俯瞰するために、二次元で再現したものがホロスコープ(専門的にはチャートといいます)です。出生時のホロスコープの月の配置が天秤座にあれば「月星座が天秤座」と呼びます。

しかも今日は、月蝕でもあります。
月蝕は、地球の影が月にかかることで起こる現象です。月蝕は、必ず満月の時に発生しますが、(月の軌道が地球の赤道面に対して約5.9度傾いているため)すべての満月が月蝕を伴うわけではありません。月蝕は、月が地球の本影または半影を通過する時にのみ発生します。

太陽星座と月星座はどちらも個人の「個性」を表します。しかし、その性質はかなり異なります。月星座はリラックスしている時、自然体でいる時に発揮される個性です。この世に誕生してから7才までに、育ち定着します。両親や兄妹など家族の中で育つ個性のため、親しい人、気を使わない人といる時に発揮される「自分の中の子供的な側面」を表します。

それに対して、太陽星座は意思決定する時、選択する時に発揮される個性です。社会に出て自分の意思を問われるような人生のステージで育ちます。自分の意思を行使すればするほど、太陽星座の個性は定着します。そのため、仕事やオフィシャルな場面で発揮される「自立した大人の側面」を表します。

太陽星座は大人の個性、月星座は子供の個性と呼ぶことができます。あるいは、未来に向けて頑張る時は太陽星座、リラックスする時は月星座と考えても良いでしょう。サインは、性質や性格を表します。しかし、その性質を「太陽を通して発揮する時」と「月を通して発揮する時」では、かなりの違いがあります。太陽は社会の中で学び成熟した姿であり、月はありのままの子供的な姿なのです。

このテキストは以前に「蟹座の満月」のコラムで、月星座を説明するために書いたものです。ここにあるように月星座を理解するためには、子供的な視点が重要です。例えば、天秤座の資質の代表として「美意識が高い」といものがありますが、これを子供的に表現すると「キラキラしたものが好き」といった感じでしょうか。お母さんの化粧品を使ったり、幼稚園の頃から小学生向けのファッション誌を見たり、私服姿のお父さんにダメ出ししたりするような子がイメージできます。

しかし「協調性」「社交性」「調和的」といった天秤座ワードは、子供っぽいワードを探すのはなかなか難しいものがあります。こうした資質をまるっと括って「おませ」と定義してもいいかもしれませんが、かなりザックリした感じが否めません。牡羊座であれば「野生児」、双子座であれば「あきっぽい」等、適切なワードがありますが、天秤座はかなりの難易度です。

そもそも「協調性」「社交性」「調和的」というのは、社会生活を営む上での大人のテーマです。脳科学者の中野信子さんは「子供は自分以外の存在は全て背景の一部である」と言っています。他者を認識する力が弱く、常に自分の存在が大きいのが子供です。それが人生経験を積んでいくと、他者の存在がリアルになってくるのです。(そのピークは木星期頃なのではないかと思います。火星期までは自分に集中していることが多いですよね)

つまり、一定の年齢以上になってから芽生える「他者目線」というのを、天秤座を持っていることになります。それは、牡羊座が「人生の始まり(生まれたばかりの子供)」だとすると、天秤座が「大人の始まり」を表すサインだからです。大人になるためには「他者目線」が必須です。「相手からどう見られているのか」を知ることが大人になる第一歩です。天秤座は、その視点を誰よりも持ち合わせています。

そんな、大人的なテーマを持つ天秤座を、月星座らしく子供的に表現をすることはなかなか難しい。そこで、実際に月星に/天秤座を持つ2人の女性に話を聞いてみることにしました。すると、なかなか興味深いコメントをいただけました。

月星座/天秤座 Fさん

「いつも人のことを気にしていて、自分を取り繕う癖があります」
「先日も友人たちとのランチ会で『友達がやっているカフェ』の話になり、私はってきり、その子の友人がやっているカフェの話だと思っていたら、原宿に『友達がやっているカフェ』という店が出来て話題になっていたんですね。全く知らなかったのですが、なんとか知っている体で通しました。流行に敏感な人に見られたいんです、わたし」
「そうそう先生が私のインスタ見たら笑えると思いますよ。かっこつけていて『どんだけ素敵な人に見られたいんだ』ってツッコまれそうです(笑)」

Fさんは、実際いつも素敵なファッションで、流行にも敏感そうなムードを醸し出しています。そもそも、魚座の私からしたら「知っている体で通せた」ことが尊敬に値します。10年前の私であれば「あまり無理はしないでね」と助言したと思いますが、今は「無理している感じがまた素敵」と思えるようになりました。Fさんのインスタで、ホテルのプールサイドで片手にカクテルグラスを持ったショットがあったのですが、なかなか素敵な写真でした。そんな写真をインスタにあげるマインドが天秤座らしく素晴らしい。

ちなみに『友達がやっているカフェ』は、店員が「もともと友達」という設定のカフェで、原宿にあります。「あれ、久しぶりじゃない~」みたいに、店員さんが友人のように接してくれるそうです。「意識高すぎ!高杉くん」で有名なauPAYのCMを手掛けたクリエイターの明円卓さん(太陽星座/蟹座)が創業した「Kakeru」という会社の経営です。原宿に行った際には寄ってみてください ー私は全く知らなかった。

『友だちがやっているカフェ』渋谷区神宮前6-6-2 原宿ベルピア 3F

月星座/天秤座 Tさん

「友人とのランチやお茶を意味もなくローテションしています」
「自分がどう見られているか気になるので、積極的にコミュニケーションをとっているのだと思うんです。誰かと繋がっていないと不安になる。でも、『Tさんて、人が好きだよね』って言われるとイラっとする。基本的に『一人が好き』というスタンスでいるので(笑)」

「会う友人によって店をチョイスしたり、服を変えたり、話の話題も変えます。Aちゃんはパンが好きなので、代々木公園の『365日』をチョイスして、とても喜ばれました。B子は、コスメに凝っているので話題の『針コスメ』の情報を仕入れてシェアしました。一度そういた振る舞いを、あざといと言われたことがあるのですが、あざとくて何が悪いの?って感じです」

Tさんの場合、天秤座の月が7ハウスにあるので、より人と時間を共有することが大切なのだと思います。7ハウスの月は「寂しがり屋の月」と言われています。でも、やり過ぎて、その反動で一人が好きになってしまう人もいるようです。

ちなみに、4ハウスの月は「マザコンの月」、2ハウスの月は「箱入りの月」、5ハウスの月は「遊び人の月」といった表現をしている人がいましたが、なかなかのセンスですね

私もTさんとお茶をしたことありますが、魚座のようにぐだぐだした感じが全くない。オーダーの仕方、チョイスするメニュー、店員さんへの対応、時間の切り方、スムーズな会計、どれもしっかりとオーガナイズされた素敵な時間でした。動機は内面の不安からくるものかもしれませんが、結果的には、相手に対して良い時間を提供できているじゃないかと思います。

ちなみに『365日』は渋谷区にある人気のベーカーリー店です。シェフの杉窪章匡さん(太陽星座/山羊座)はウルトラキッチンという会社の代表でもあります。店名通り365日営業です。休みが2/29っていうのも遊び心があって面白い。初年度で年商1億円を突破したらしいけど、パン屋で1億というのもなかなかレアです。

また、『針コスメ』というのは、細かい針の付いた化粧品や美容液、美容器具などを用いて一般的な化粧品よりも肌の奥まで美容成分を浸透させることができると韓国でブームとなり、日本でも取り入れられるようになった流行りの化粧品らしい ー当然、全く知らなかった。

『365日』渋谷区富ケ谷1-2-8

月星座は基本的にわがままで純真です。
マドモアゼル愛先生は「月の欠損」と表現されていますが、私は「月は子供」といっています。子供は個人的な感情に捕らわれます。そのため、自分勝手で独りよがりな面を持つものです。もちろん、こうした面は人間としてごく自然なものであり、悪でも誤でもありません。ただ社会的な視点=大人的な価値観からすれば、ネガティブなものになるだけです。

占星術の場合、社会的価値観で生きることを大事にする惑星は土星です。それに対して内惑星は個人のエゴを大事にします。とりわけ、月は内惑星の中で最も子供的な面を扱うため、土星の価値観とは相いれないものがあります。個人の内面と社会の秩序は、原理原則が大きく異なるのです。

そのため、月星座を活かすためには、飾らない姿で本心をさらけ出せる自然体の時間を持つことが大切です。しかし、常に「外側から自分を見る癖」を持っており、「内側の主観を良しとしない」天秤座には、それは難易度が高いのでしょう。

でも彼女たちのように、自分自身のキャラを他者目線で観察しながら、それを自嘲気味に語り、それでも自尊心に溢れている姿は、天秤座らしい魅力に思えます。ちなみに彼女たちに、月星座/天秤座ってどんな人?と聞いてみたました。

「見栄っ張り、上から目線、八方美人。それについ、かっこつけちゃう。あとスキを見せたくない。ボケとツッコミで言ったら完全にツッコミ。スマート至上主義。恥ずかしい時にどうやってフォローできるかがセンス」
 ― なるほど、ご本人がおっしゃると説得力がある。

「こうしたキャラを、嫌味なく感じてもらえ、できれば愛されキャラになるようになるのが木星期の課題です」
 ― 素敵な木星期の課題ですね。

「ロールモデルは、田中みなみと亀梨和也。カッコつけているのに意外に愛されキャラ。あの二人ももしかして天秤座ですか?」
 ― いえいえ、田中さんは射手座ですし、亀梨さんにいたっては魚座です。


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