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体験が血肉となり欲や執着を超える・山羊座の新月

今日は「山羊座の新月」です。新月は地球と太陽のあいだに月が挟まるタイミングです。この日、誕生した人は太陽星座も月星座も山羊座になります。太陽星座というのは「私は山羊座です」と言う時の山羊座のことを言います。ホロスコープを詳しく調べなくてもわかるので便利です。太陽星座以外の星座は、詳しく調べないとわかりません。

10惑星の星座が解らない方こちらのサイトでホロスコープを作ることができます。事前に出生時間を調べてくださいね。http://www.horoscope-tarot.net/

「12星座は牡羊座で始まり、山羊座で終わる。山羊座の後の水瓶座と魚座はおまけです」これは、今から15年前、初めて占星術を学んだ時の最初授業で、当時の先生から聞いた言葉です。「これはとても大切な原則なのでしっかりと覚えておいてください」とも言われました。

当時は「ふーん」という程度の印象でした。しかし、この大原則は、その後サインの理解を深める時、ハウスを学ぶ時に、非常に重要であることに気づいていきます。また、時期読み、時代読みを勉強していく上では、よりその重要性が理解できるようになりました。とはいえ、まだ初心者の時は、そうした重要性より、水瓶座と魚座に天体を持つ私としては「自分はおまけ?」という部分が、妙に納得したのを覚えています。

「牡羊座で始まり、山羊座で終わる」という考え方は、「牡羊座でこの世に生まれ、山羊座で社会のピークを迎える」と置き換えると解りやすいでしょう。牡羊座は「この世に誕生する時に必要な個性」を持つため、純粋無垢でシンプルに前進することに長けているのです。

次のサインである牡牛座は「肉体を持った乳児の段階に必要な個性」を持ちます。そのため、「おなかが減ったら泣く」、「いっぱいになったら笑う」というようなシンプルを感覚表現に長けています。また、まだ言葉を使えないので自分の気持ちを全身で表現をしていきます。また次のサインの双子座は「言葉を覚えて、歩けるようになった段階に必要な個性」を持ちます。そのため、双子座は言葉と行動に長けており好奇心豊かな個性も持つのです。

その後、蟹座と獅子座は、思春期から青春時代です。共感力や自己表現に長けます。乙女座は、学生から社会人に移行する時期であるため、環境への適応力を持ちます。天秤座から社会に出ていき、まずは多くの人と出会います。蠍座と射手座の段階では、試練と成長、我慢と自由、献身と解放を繰り返し、社会人として成長していきます。そして、山羊座の段階に来て、社会人としての終わり=キャリアのピークを迎えるのです。このように12サインは、人生の発達段階に応じて成長していくことを表しています。

ちなみに、水瓶座は「社会人をリタイアした後に必要な個性」を持ちます。そのため、「仕事は人生の中で一側面でしかない」と考えます。また魚座は、「まもなくこの世から去るであろうという時期に必要な個性」を持ちます。三次元社会への執着を棄て、生と死の境界線がない独特の死生観を持つのです。

15年前に先生が「おまけ」と呼んだのは、社会的な視点からみた水瓶座像と魚座像です。どちらも社会的には評価されにくい面が長けています(←この構造を聞いて、妙に納得というかほっとしたのを覚えています)もちろん地球を(太陽系を)俯瞰した視点からみれば、山羊座を卒業した段階が水瓶座であり、魚座はさらに達観した段階であることが解ります。

つまり山羊座は、最も成熟した社会人像を表すのです。山羊座の個性はしばしば、野心、まじめ、堅物、潔癖、計画的、遅咲き、といったワードが使われます。これは、どれも間違った解釈ではありません。しかし、山羊座は牡羊座から始まった長きに渡る人生経験が、そうした山羊座の原始的な個性に磨きをかけるのです。

例えば、自己の野心を突き詰めていくと、最終的には「生かされている」という感覚や周囲への感謝の念を持つようになります。また、堅物やまじめを通していくと、最終的には柔軟性や清濁併せ吞むような心境に至ります。社会人として最も成熟した姿が山羊座の本質にあるとすると、誰もが「こんなふうに年を取りたい」と思うような人物像が山羊座のあるべき姿なのでしょう。

また、そこに向かうまでの道程(他者と比べて落ち込んだり、野心を漲らせ周囲から批判されたり、思い描いていた幸せが手に入らず「こんなはずでは…」と挫折したり)を一通り体験して、それが血肉となることで、そうした心境に至るといのも山羊座らしい時間のかけ方です。「素敵な人になるための10の魔法」のようなマニュアル本を読みながら、人としての魅力を身に着ける時短コースを決して歩まないのが山羊座らしさといえます。

そんな山羊座を太陽に持つ人は、階段を一段一段、丁寧に昇っていくような人生を歩む人が多いでしょう。過去の経験を確実に人生の肥やしにしていく人です。金星を山羊座に持つ人は、古風で伝統的なしきたりを好む人が多く、火星を山羊座に持つ人は、短期間の目標より、長期計画や10年後、20年後のビジョンを持つことでエネルギーが湧いてきます。水星を山羊座に持つ人は、多角的な説明が得意です。客観と主観、理論と感情、分析と見解、こうしたものを統合しながら形にすることができます。オフィシャルな発言や文章作りに適正があるでしょう。

「求め過ぎない、欲なんてきりなくあるんですから」これは太陽星座/山羊座の女優、樹木希林さんが、亡くなる前に出版された本『一切なりゆき』の帯の言葉です。150万部のベストセラーになりましたので読まれた方もいらっしゃるかと思います。希林さんは「欲や執着があると、それが弱みになって、人がつけこみやすくなる」「おごらず、人と比べず、面白がって平気に生きればいい」このように達観したような発言が多い印象があります。

しかし、「若い頃は絶対に譲らなかった」「いつも喧嘩していた」とも言っており、大人になると「自分が欲深くて執着心にまみれている」と感じ、それがいつの日か「でもそれはそれで良いかと思うようになった」と語っています。自分自身の持っているもの一つずつ体験して、血肉にすることで得られた心境なのでしょう。「しっかり傷ついたりヘコんだりすれば、自分の足しや幅になる」という一節はとても山羊座らしい言葉です。

本の中で、個人的に最も気になったのは、中国人の占い師に「いかなる夫とでも最悪の妻になる」と言われて、「わかるわー」と笑ったという逸話です。希林さんのリアクションも素敵ですが、それより占い師の遠慮のない表現にいたく感動しました(そっちか・笑)確かに、希林さんの月は冥王星とスクエアですので、そのように読み解くこともできるでしょう。果たして、希林さんは最悪の妻だったのか、最高の妻だったのか、どちらが真実なのでしょう。


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