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最近買ったレコード Tony Kosinec 『Bad Girl Songs』

 音楽好きの人たちには各々好きなジャンルの界隈があって、その界隈の間では一般教養として知られているアルバムでも、その一歩外ではほとんど知られていないなんてことはたくさんあると思う。しかもそういう作品に限って「なんでこんな大名盤を今まで聞かずにいたんだ!」と驚嘆するものばかり。このアルバムを知らないSSWファン以外の人がこれを聞いたら正しくそんな感想が返ってくるにきっと違いない(きっと)。

大人たちに振り回されながら作ったというデビュー作に続く、本作はアコースティックな楽器中心のアンサンブルによって奏でられる、至極簡素で素朴なアレンジの上にトニーコジネクのナイーブでもあり男らしくもある歌声の流麗なメロディが乗っかってくる最高すぎるフォーキーなロックアルバム。

今回、このアルバムは国内盤で手に入れたのだが、インナーの文章がとても素敵だった。じつに”このアルバムが好きな人”な感じの趣の文体と字体で。当時の人は喫茶店でこのレコード聴きながらコーヒーを飲んだりしていたのだろうなどと考えると、生まれてくる時代を間違えたかと思ってしまう。まあそんなわけは無いのだが。パワハラとか嫌だし。

今 Big Thief とか Andy Shauf とかその辺のインディーフォーク勢を聞いてる全てのひとたちに聞いてほしい。そんなアルバム。"Song"の大切さが見直されてきている近頃、このアルバムはきっと今を生きる若者の心を強く打つに違いない。


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