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KDDIの沿革と技術の世界


「KDDI」ブランドロゴ
企業ブランド
事業ブランド
通信ブランド
「沖縄セルラー電話」ブランドロゴ

社是

「心を高める」
~動機善なりや、私心なかりしか~

1.KDDIと合併した企業とサービス

1953年 国際電信電話株式会社設立
1984年 日本高速通信株式会社設立
1985年 第二電電株式会社発足
1987年順次〜 セルラー電話株式会社設立(グループ8社)
1987年 日本移動通信株式会社設立
1991年 ツーカーセルラー東京設立
1992年 ツーカーセルラー東海設立
1991年 ツーカーホン関西設立
1994年 DDIポケット電話グループ9社発足
1998年 TWJと合併し国際電信電話からKDD株式会社へ
1999年 IDO/セルラーcdmaOne全国ネットワーク開始
1999年 IDO「EZaccess」
セルラーグループ「EZweb」開始
2000年 セルラーグループ7社・株式会社エーユーへ
       2000年 株式会社ディーディーアイ発足
 2001年 KDDI株式会社に社名変更
2001年 ブランドネームを「au by KDDI」へ
2001年 パワードコム発足
2002年 第3世代携帯電話サービス CDMA2000 1x開始
2002年 CD音源をダウンロードし着信音に設定できる
着うたサービススタートし同様のサービスは業界初
2003年 第3世代携帯電話サービスCDMA 1X WIN開始
2005年 ツーカーグループ3社をKDDIに合併
2006年 東京電力とFTTHサービス「ひかりone」開始
2008年 ツーカーサービス終了
2009年 UQコミュニケーションズ発足
2012年 auのブランドマークを刷新
2012年 次世代通信サービス「au 4G LTE」提供開始
2014年 次世代音声通話サービス「au VoLTE」提供開始
2017年 ビッグローブの株式を取得し連結子会社化
2017年 株式会社ソラコムを連結子会社化
2018年 株式会社イーオンHDを連結子会社化
2020年 第5世代移動通信サービス「au 5G」提供開始
2020年 「UQ mobile」事業をKDDIに統合
2021年 オンライン専用新料金ブランド「povo」提供開始
2022年  3G「CDMA 1X WIN」サービス終了

2.KDDI株式会社の沿革
     〜通信自由化前からKDDI発足以降〜

1953年3月 
・国際電信電話株式会社 (KDD) 設立
1984年11月 
・日本高速通信株式会社 (TWJ) 設立
1985年4月
・電気通信事業法施行 (通信自由化)
・第二電電株式会社 (DDI) 発足
1986年3月
・地域系通信会社東京通信ネットワーク(株)(TTNet) 設立
1987年3月
・日本移動通信株式会社 (IDO) 設立
1987年6月
・関西セルラー電話株式会社設立
1987年10月
・九州セルラー電話株式会社設立
1987年11月
・中国セルラー電話株式会社設立
1988年4月
・東北セルラー電話株式会社設立
1988年5月
・北陸セルラー電話株式会社設立
1988年7月
・北海道セルラー電話株式会社設立
1988年12月
・IDO、HiCAP(NTT大容量)方式で第1世代アナログ自動車   
 電話・携帯電話開始
 ※NTTローミングにより全国サービススタート
 ※NTT独占の自動車電話事業へ初の新規参入
1989年4月
・四国セルラー電話株式会社設立
1989年5月
・IDO「ハンディフォン」サービス開始
 ※従来のショルダータイプに加え、片手持ち可能でコンパク
 トなハンディタイプ小型携帯電話を発売
1989 7月
・セルラーJTACS方式第1世代アナログ携帯電話サービス開始
1991年6月
・沖縄セルラー電話株式会社設立
1991年7月
・株式会社ツーカーセルラー東京設立
 第2世代デジタル(PDC)方式でサービス開始
1991年10月
・株式会社ツーカーホン関西設立
 第2世代デジタル(PDC)方式でサービス開始
・IDO、JTACS方式の第1世代アナログ方式携帯電話サービス  
「TokyoPhone」スタート         
  後に「TACSミニモ」にサービス名変更
1992年2月
・株式会社ツーカーセルラー東海設立(PDC)
1992年12月
・DDI、固定電話全国サービスネットワーク完成
  IDO・DDIセルラーグループ、JTACS方式による
 全国ローミング・相互接続開始
1994年4月
・関西セルラー第2世代デジタル(PDC)方式でサービス開始
1994年6月
・IDO、第2世代デジタル (PDC) 方式で携帯電話サービス開始
1994年12月
・PHS事業会社、DDIポケット電話9社発足
1998年10月
・業界初のプリペイド式携帯電話「プリケー」市販化
1998年12月
・KDDとTWJが合併し「KDD株式会社」へ
1999年4月
・IDOとDDIセルラーグループ、2.5世代cdmaOne
 全国シームレスネットワーク完成
 ※高速データ通信性能/途切れにくい音声通話  
     肉声に近い通話品質で加入者数増へ繋がる
・IDOとDDIセルラーグループ、携帯電話向けインターネット      
 接続サービス「EZweb」開始
2000年1月
・DDIポケット電話グループ9社が合併
2000年7月 
・IDOとDDIセルラーグループ
 全国統一の移動体ブランド「au」開始
2000年10月  
・KDD・DDI・IDO、3社が合併                        
 株式会社ディーディーアイ (KDDI)発足
2000年11月  
・セルラーグループ7社が合併し株式会社エーユー発足
2001年4月  
・KDDI株式会社に社名変更
2001年10月  
・株式会社エーユーをKDDIに合併
・東京通信ネットワーク株式会社 (旧TTNet)
・大阪メディアポート (現オプテージ)
・中部テレコミュニケーション (CTC)
・地域系通信会社の三社から企業の向けデータ通信サービスを
 会社分割し株式会社パワードコム発足
2002年4月
・第3世代携帯電話サービス(CDMA2000 1x) 開始
2002年8月
・TTNetから東京電話アステルを鷹山が買収しPHSサービスを
 鷹山の子会社が継承
2002年12月
・音楽ダウンロードサービス「着うた (R)」開始
 ※CD音源を携帯電話にダウンロードし着信音に設定できる
 サービスは業界初
2003年3月
・au「第二世代PDC方式」サービス終了              
2003年4月
・TTNetとパワードコムが合併。商号は(株)パワードコムへ
2003年11月
・CDMA2000 1x EV-DO方式を利用した第三世代携帯電話
 サービス 「CDMA 1X WIN (ウィン)」開始
 ※携帯電話で初めてパケット定額制導入
2004年10月
・DDIポケット電話をカーライル・京セラに譲渡
2005年10月
・株式会社ツーカーセルラー2社および株式会社ツーカーホン
 関西をKDDIに合併
2005年12月
・世界初「ワンセグ」対応携帯電話の販売開始
2006年1月
・パワードコムをKDDIに合併
2006年  3月
・ジャパンケーブルネットホールディングス株式会社および
 ジャパンケーブルネット株式会社 (JCN) の株式を取得
2006年10月
・携帯電話番号ポータビリティ (MNP) 開始
2007年1月
・東京電力とのFTTH事業統合
2007年6月
・JCNグループを連結子会社化
2007年8月
・ワイヤレスブロードバンド企画株式会社
 (現 UQコミュニケーションズ株式会社) を設立
2008年3月
・ツーカーサービス終了
・UQコミュニケーションズ株式会社が発足
2008年4月
・CTCの株式を取得、連結子会社化
2009年2月
・UQコミュニケーションズが、WiMAX技術の
 「UQWiMAX」サービス提供開始
2009年7月
・UQコミュニケーションズが「UQ WiMAX」
 商用サービスを開始
2010年2月
・株式会社ジュピターテレコム (J:COM)(現 JCOM 株式会社)
 へ資本参加
2012年1月
・auのブランドマークを刷新
2012年7月
・周波数再編に伴い「cdmaOne」終了
・CDMA 1Xサービス(au 3G)終了
2012年9月
・次世代高速通信「au 4G LTE」提供開始
2014年4月
・J:COMとJCNの経営を統合
2014年8月
・KDDIバリューイネイブラー株式会社を設立
2014年12月
・次世代音声通話サービス「au VoLTE」開始
2017年1月
・ビッグローブの株式を取得、連結子会社化
2017年8月
・株式会社ソラコムを連結子会社化
2018年1月
・株式会社イーオンHDを連結子会社化
・「KDDI IoTコネクト LPWA」の提供開始
2019年7月
・日本初、データ容量上限なしの料金プラン
 「auデータMAXプラン」提供開始
2020年3月
・第5世代移動通信サービス「au 5G」提供開始
2020年10月
・UQコミュニケーションズ株式会社の「UQ mobile」事業を
 KDDIに統合
2021年3月
・オンライン専用の新料金ブランド「povo」を提供開始。
 マルチブランド戦略を強化
2022年3月
・3G「CDMA 1X WIN」サービス終了
2022年4月
・中間持株会社「auエネルギーHD(株)」設立


3.KDDIが合併した企業の主要株主(上位4社)

  • 国際電信電話株式会社 (KDD) (1997年当時)
    郵政省共済組合(筆頭株主)
    日本電信電話
    日本生命保険
    第一生命保険

  • 日本高速通信株式会社 (TWJ) (1984年当時)
    トヨタ自動車(筆頭株主)
    財団法人道路施設協会

  • 第二電電株式会社(DDI)(1984年当時)
    京セラ(筆頭株主)
    三菱商事
    ソニー
    セコム

  • 日本移動通信株式会社(IDO)(1987年当時)
    日本高速通信(TWJ)(筆頭株主)
    トヨタ自動車(日本高速通信(TWJ)の筆頭株主)
    東京電力
    中部電力

  • DDIセルラーグループ各地域8社(1987年当時)
    京セラ(筆頭株主)
    第二電電(DDI)
    共同出資・各地域電力会社

  • ツーカーセルラー東京/東海(1998年当時)
    日産自動車(共同筆頭株主)
    第二電電(DDI)(共同筆頭株主)

  • ツーカーホン関西(1998年当時)
    日産自動車(単独筆頭株主)

  • 東京通信ネットワーク株式会社(1987年当時)
    東京電力(筆頭株主)
    三井物産
    三菱商事
    日産自動車


4.通信自由化後の参入企業概要

[1.新規参入について]

かつての日本ではNTTが独占で通信サービスを行なっていた。
通信の自由化により多数の会社が新規参入を果たす。
固定通信系➡︎第二電電(DDI)/日本テレコムなど
移動通信系➡︎セルラーグループ各社/IDOグループ各社

日本テレコム
日本移動通信株式会社
セルラー電話株式会社


[2.営業エリアの過去と現在]

当時の携帯電話事業者は、電力会社やJR各社の様に地域毎に
営業エリアが分かれており、営業エリア毎にそれぞれの地域会社がサービス提供していた。

現在➡︎NTTドコモ(全国1社提供)
   KDDI株式会社(全国1社提供)
   ソフトバンク株式会社(全国1社提供)
   楽天モバイル株式会社(全国1社提供+auローミング)

過去➡︎NTT(全国1社提供)後にNTTドコモに分社
        NTTドコモ➡︎ドコモ北海道・東北・中央・東海・
         北陸・関西・中国・四国・九州(9社)
   現KDDI➡︎IDO(2社)+セルラーグループ(8社)
                      +ツーカーグループ(3社)
   現SB➡︎デジタルホン+デジタルツーカー(9社)

1985年通信自由化後の新規参入決定事業者の営業エリア
IDOグループとセルラーグループで営業エリアを分け合った。
IDOグループ/関東・東海・甲信地方(関東・中部2社)
セルラーグループ/北海道・東北・北陸・関西・中国
         四国・九州・沖縄(8社)

[3.採用通信規格とローミング]

IDOグループ       ➡︎①HiCAP(NTT大容量)方式
                          ②JTACS方式
         ③PDC方式
         ④cdmaOne
セルラーグループ➡︎②JTACS方式
                          ③PDC方式
         ④cdmaOne
2001年10月KDDIの移動体通信サービス、auとして全国統一サービス。

※両社同規格採用時、全国ネットワークサービス開始

①IDOグループ/セルラーグループのローミング事情
両社で別の通信方式だったため、IDOグループ/セルラーグループ間でローミングはできなかった。
IDO
は同じHiCAP(NTT大容量)方式を利用する、ライバル企業であるNTT(後にNTTドコモとして分社)とローミングし全国利用を果たした。

②アメリカからの外圧によるIDOのJTACS導入
IDOの営業エリアの関東・中部以外は、ライバル企業のNTTにローミングせざるを得ない状況となった事で、JTACS(TACS)方式を販売するモトローラにとっては不利な状況であった。モトローラは政治力を利用し、アメリカ政府に陳情。
アメリカ政府は、日本の対米輸出の黒字による貿易摩擦の引き換えに、TACS(JTACS)方式を導入するよう外圧をかける様になる。
アメリカからの政治的圧力に押され、1991年10月にIDOも東京23区からJTACS方式(Tokyo phone→TACSミニモ)の導入を始めた。
1992年12月にようやく両グループ間のJTACS方式のローミングが開始された。
相互利用が可能になり、セルラーグループにとってはこの時、事実上の全国サービスが可能となった。

Tokyo phoneブランド
TACSミニモブランド

[3.ツーカー新規参入と第二電電(DDI)]

1991年にツーカーセルラー東京がサービス提供開始。
1.5GHz/PDC方式/ツーカーブランドで関東、東海、関西の大都市圏エリアで、単独での参入を目指していた日産自動車。

DDIはDDIセルラーグループで携帯電話事業を営んでいたが、関東・東海甲信は当時別資本のIDOとのローミングによる協業体制でサービスが提供されていた。
同地域にDDI直轄の移動体通信事業者が存在しなかったこともありツーカーグループに経営参画した。
東京・東海のシンボルマークはDDIセルラーと同じ六角形マークで「cellular」を「TU-KA」に差し替えたものであった。
一方、関西地域ではすでに関西セルラー電話株式会社がサービス提供していた。
DDIは関西セルラー電話とツーカー(関西地区)が競合関係になるため、関西ではツーカーグループに共同出資せず日産自動車単体での参入となった。
そのため関西のみ社名やシンボルマークなど、ツーカーセルラー東京/東海(関東・東海地区)2社とは異なった状態で営業され、KDDIに吸収されるまで変わることはなかった。


関東➡︎ツーカーセルラー東京
東海➡︎ツーカーセルラー東海
関西➡︎ツーカーホン関西

ツーカー(日産)+セルラー(DDI)=ツーカーセルラー○○
ツーカー(日産)=ツーカーホン関西

セルラーグループ
ツーカーセルラー
ツーカーホン

[4.他事業者資本流入によるねじれ経営]

1,概要
日産/DDI系のツーカーグループ参入と同時期にドコモのシティフォン(シティオ)と日本テレコム系のデジタルホンが新規参入した。
ツーカーグループとデジタルホングループは東名阪での営業エリアをそれぞれ独立した形で営業した。
しかし、東名阪以外の地域は利用者の獲得に苦戦が予想された為に、健全経営の為ツーカーグループ・デジタルホングループ共同で営業し、それぞれの社名/シンボルマークを組み合わせた物を利用し、営業開始。
この結果、1996年前後の携帯電話の移動体通信事業者(通信キャリア)は東名阪エリアにおいて4社、東名阪以外は3社となった。
サービス開始当初からそれぞれの営業エリア外では、ツーカー↔︎デジタルツーカーデジタルホン↔︎デジタルツーカー間でローミングをし、両社共に全国ネットワークとしてサービススタートした。

2,各営業エリアの通信キャリア/関東・東海・関西
・NTTドコモ(1.5GHzシティフォン/シティオ)
・IDO(関西地区は関西セルラー電話)
・デジタルホングループ
・ツーカーグループ

それ以外の地域
・NTTドコモ
・DDIセルラーグループ
・デジタルツーカーグループ

3,各社のシンボルマーク

デジタルホングループ
(関東/東海/関西)
デジタルツーカーグループ
(北海道・東北・北陸・中国・四国・九州(沖縄含)地区)
ツーカーセルラーグループ
(関東・東海地区)
ツーカーホン関西
(関西地区)

4,ツーカーの通信/サービス
①日産自動車(サービス開始当初)
   ・スカイメッセージ 半角128文字/全角64文字
    1999年6月からデジタルツーカー各社と、1999年12
    月からデジタルホン各社と相互送信が可能となった。
   ・PDC方式(サービス終了時まで)/SBとローミング
    (KDDI→2G PDC/2.5G cdmaOne)
    デジタルホンおよびデジタルツーカーの共通ブランド
    として「J-PHONE(ジェイフォン)」を制定。
    1999年10月、デジタルツーカー各社はデジタルホン
    グループに吸収合併。ジェイフォン株式会社として
    1社で全国ネットワークサービス開始。ツーカーグル
    ープはジェイフォン株式会社(現ソフトバンク)に
    ローミングする事により全国利用を継続した。


②DDI(KDDI)(日産自動車→DDIへサービス譲渡後)
   ・EZweb(Webサービス/メールサービス)

EZwebロゴマーク

③独自サービス
   ・Cara(カーラ)
   ・CaraMio(カーラミオ)
   メール機能に加え、回転式デジタルカメラを搭載した
   モバイルメール端末。同社が提供するインターネット接
   続サービス“インターネットフリーウェイ”を利用するこ
   とで、撮影したカラー画像の送受信、簡単にインターネ
   ット通信が行なえる。カメラ機能は約7万画素(回転式
   CMOSカラーイメージセンサー)の回転式デジタルカメ
   ラを搭載、ブラウザーは(株)アクセス製の『NetFront
   Ver2.6』を搭載する。メールの送受信文字数は最大1万
   6000文字。

カーラミオ

   ・funstyle(ファンスタイル)
   2001年6月発売のfunstyle TK11で始まった音楽配信
   サービス。後の着うたフルのように音声圧縮による音声  
   ファイルを配信するのではなく、着信メロディと同じく
   MIDIデータであり、編集機能により楽曲の一部を切り取
   り着信メロディとしての利用も可能である。
   ・Tu-Ka Messenger
   TT21に搭載された。状態を知りたい「友達」を30人
   までリストに登録でき、そのうち6人までの状態をリア
   ルタイムに知ることができる。
   チャットでのメッセージ交換も可能。 以後他社携帯等
   でも利用が出来るようになった。
   ・スカイメールトリプル
   通常のスカイメッセージの3倍の文字数を送信できた。
   全角192文字/半角384文字相当



5.ツーカーが15年間で事業終息した理由

1998年後半、設立母体であり大株主であった日産自動車は経営危機状態となり、日産リバイバルプラン(1999年10月18日に日産自動車のカルロス・ゴーンCOO(当時)が発表した同社の再建計画)に基づき非中核事業のリストラを行った。
ツーカーグループ各社はDDIに、合弁企業であったデジタルツーカーはデジタルホンの母体である日本テレコムにそれぞれ株式譲渡した。
1999年3月後半、日産自動車がDDIからツーカーセルラー株を買い取った後にジェイフォンに経営統合させる案を検討していたことと、DDIがcdmaOneサービスで提携していたトヨタ自動車系のIDOとの経営統合を想定してツーカーセルラー株の手放しを表明したことから、日産自動車はツーカー3社とデジタルツーカー6社を一括して、デジタルホングループの主体だった旧・日本テレコムに株式譲渡する予定だった。しかし同年7月後半、DDIは株式売却価格への不満を理由にしてツーカセルラー株の手放しを撤回、この影響で唯一DDIとの関わりが無かったツーカーホン関西もDDI傘下入りした。

2008年3月のサービス終了まで引き続きジェイフォン株式会社(現ソフトバンク)へローミングする事により、全国サービスを維持した。
サービス終息までツーカーのSMSサービス、スカイメッセージはソフトバンクと相互に送受信が可能であった。
また、ジェイフォンエリアでのローミングであっても、KDDI(au)と同じEZwebを提供するねじれ現象が続いた。
後にTU-KA事業を巻き取ることになるauとは周波数帯・通信方式は終始異なっていた。

2000年に親会社のDDIがIDO・KDDと合併しKDDIとなる。2001年にツーカー事業は「第3世代携帯電話」への移行を行わない旨の方針を決定した。
当時の総務省は3Gの参入事業者は全国で3社のみ(事実上、ツーカー以外の事業者3社)に制限することとしており、KDDIは3Gを全国でサービス展開しているau携帯電話に一本化することとしたためである。

こうして、ツーカーグループは3Gへ移行する事なく、参入時と同じ、2G通信サービスを最後に事業終息に至った。

ツーカーサービス終了後、KDDIが有する1.5GHzの周波数帯域は3G携帯電話サービスの逼迫緩和用として転用。
一部の基地局設備跡地は2009年以降、UQコミュニケーションズのモバイルWiMAX、もしくはauの4GLTEの基地局設備設置スペースへ転用された。


6.KDDI  通信サービス名/通信規格/技術
    (キャリア名は規格採用時)

第1世代

DDIセルラーグループ
アナログJ-TACS(モトローラ)方式(IDOローミング)

IDOグループ
アナログHiCAP(NTT大容量)方式(NTTローミング)
アナログJ-TACS方式(セルラーローミング)


※HiCAP(NTT大容量)方式は、1988年から日本国内のみで使用されていたアナログ携帯電話である。
※J-TACS方式は、TACS(モトローラ)方式の日本向け仕様で、使用する周波数を日本の割り当てに合わせて変更したもの

第2世代

DDIセルラーグループ
DIGITAL/PDC方式(IDOローミング)
800MHz/回線交換9.6kbps・パケット通信28.8kbps

IDOグループ
DIGITAL G/PDC方式(DDIセルラー/ドコモローミング)
800MHz/回線交換9.6kbps・パケット通信28.8kbps

ツーカーグループ
Cyber Giga/PDC方式(デジタルツーカーローミング)
1.5GHz/回線交換9.6kbps・パケット通信28.8kbps

Personal Digital Cellular(パーソナルデジタルセルラー)

第2.5世代

IDO/DDIセルラーグループ
cdmaOne(全国シームレスネットワーク)
通信速度:下り最大64kbps

レイク受信
・隣接セルの基地局から電波が受信できる場合
 複数電波を利用できるため途切れにくくなる
 しかし遠方補足の場合は逆に妨害波と同様に品質が悪化する
パワーコントロール
・基地局同士で同一周波数の電波を被せて送信し基地局同士で 
 電波の強弱を基地局間で自動統一する
ソフトハンドオフ
・通信中の基地局と次に利用したい基地局の電波を同時通信の
 状態で新たな基地局に切り替えられる

第3世代

au・沖縄セルラー電話
CDMA2000●1x/CDMA2000 1x
通信速度:下り最大144kbps
2002年4月 800MHz
2002年秋以降 2GHz
・CDMA2000 1x端末はCDMA2000 1xのエリア外でも従来
 のcdmaOne基地局で通信できることが特徴
・CDMA2000 1xはcdmaOneの基地局などインフラも流用可
 能で、エリア拡大の投資を抑えられる。

第3.5世代

au・沖縄セルラー電話
CDMA 1X WIN/CDMA 2000 1x EV-DO
通信速度:下り最大2.4Mbps/上り最大144kbps
CDMA 1X WIN/CDMA 2000 1x EV-DO Rev.A
通信速度:下り最大3.1Mbps/上り最大1.8Mbps
WIN HIGH SPEED/CDMA 1x EV-DO MC Rev.A
通信速度:下り最大9.2Mbps/上り最大5.5Mbps

第4世代

au・沖縄セルラー電話/UQ mobile/ povo
LTE(au 4G LTE)/LTE(FDD-LTE)
LTE-Advanced(au 4G LTE)/日本の通信事業者初導入

※キャリアアグリゲーション/最大6本の複数電波で同時通信
※4×4MIMO/アンテナを2倍(4本)にし速度を約2倍にする
※256QAM/電波の情報密度を高め速度を約1.3倍向上する

第5世代


au・沖縄セルラー電話/UQ mobile/ povo
5G NSA(ノンスタンドアローン)/コア設備は4G設備流用
5G SA(スタンドアローン)/コア設備・基地局等5G専用

※ミリ波/28GHz帯(400MHz)/高速・大容量
※Sub6/3.7・4GHz帯(100MHz)/高速・大容量
※NR化/(New Radio)700MHz〜3.5GHz/4G電波を5G転用


7.2019年までの主な携帯電話ブランドの変遷

通信の自由化から、2019年までの主な携帯電話キャリアの変遷。楽天モバイルは新規参入前の為、記載なし。
1985年の通信自由化以降、多くの通信事業者がひしめいていた。徐々に現在の形に集約されていく。


8.参考/引用/画像




最終更新2024/07/08

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