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宇宙の宝石箱:メシエカタログの魅力と、その天文学的意義。

「メシエカタログ」は天文学者のシャルル・メシエが18世紀に編纂した天体カタログであり、110個の星雲や星団、銀河などの天体がリストされています。
このカタログは、天文観測において彗星と混同しやすい天体を記録したもので、現代のアマチュア天文学者にとても重要な参考資料です。

1.はじめに

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ファイル:M31_by_Messier.jpg

「メシエカタログ」は、18世紀のフランスの天文学者シャルル・メシエによって編纂された天体のリストで、現在でも天文学における重要な資料として広く知られています。

このカタログには、110個の星雲、星団、銀河が含まれており、アマチュア天文家が観測を楽しむ上で欠かせない存在です。

この記事では、メシエカタログの背景やその意義、そしていくつかの注目すべき天体について深掘りし、またメシエカタログが後世に与えた影響についても考察していきます。

2.シャルル・メシエとメシエカタログの背景

① シャルル・メシエの生涯

シャルル・メシエ(1730年6月26日 - 1817年4月12日)は、フランスの天文学者であり、特に彗星の観測で知られています。彼は生涯で20個以上の彗星を発見し、その鋭い観測能力により「彗星ハンター」として知られるようになりました。

メシエは、当時の技術で観測される天体の中から、彗星と紛らわしいものをリスト化することにしました。これが「メシエカタログ」の始まりです。このリストは、彗星観測を効率的に行うために作られましたが、後に天文学全体においても重要な役割を果たすことになりました。

② カタログ編纂の動機

メシエの主な動機は、彗星観測の際に誤って他の天体を彗星と混同しないようにするためでした。彼は、観測中にしばしば「固定された」天体(星雲や星団など)を誤認し、それらが新しい彗星ではないかと考えました。このような誤認を避けるために、メシエはこれらの天体を一覧表としてまとめました。

3.メシエ天体とは

フランスの天文学者シャルル・メシエが作成した天体カタログ(天体リスト)に掲載されている星雲や星団、銀河のことで、1番から110番まであり、番号の前に「M」を付けて表記されます。

40、91、102番は記録ミス等により行方不明になっていたため欠番にされることがありますが、その後位置が同定され天体として存在しています。

4.メシエカタログの天体

メシエカタログには、星雲、星団、銀河がリストされており、その多くが肉眼や小型望遠鏡で観測できる明るい天体です。ここでは、特に有名な天体をいくつか紹介します。

① M1 - かに星雲(クリプス・ネビュラ)

メシエカタログの最初の項目であるM1は、かに星雲として知られる超新星残骸です。1054年に中国の天文学者によって記録された超新星爆発の残骸で、現在でも光学望遠鏡で鮮明に観測することができます。

② M31 - アンドロメダ銀河

M31は、最も有名な天体の一つであり、地球から約250万光年離れたアンドロメダ銀河です。これは、地球から肉眼で見ることができる最も遠い天体であり、その壮大な姿はアマチュア天文学者にとって非常に魅力的です。

③ M42 - オリオン大星雲

M42は、オリオン座に位置する巨大な星雲であり、肉眼でも容易に観測できます。オリオン大星雲は、星形成が活発に行われている領域であり、その美しさから観測者に人気があります。

M42(オリオン大星雲)
M45(プレアデス星団/すばる)
                     一部抜粋

5.メシエカタログの後世への影響

メシエカタログは、彗星観測のためのツールとして始まりましたが、その後、天文学全体に大きな影響を与えることになりました。以下にその影響をまとめます。

① 天文学におけるカタログの重要性

メシエカタログは、天体を系統的にリスト化することの重要性を示しました。これにより、他の天文学者も同様のカタログを作成するようになり、天文学の体系化が進みました。

例えば、NGCカタログやICカタログは、メシエカタログの影響を受けて作成された代表例です。

② アマチュア天文学者への影響

メシエカタログは、アマチュア天文学者にとって重要なガイドラインとなっています。

カタログに含まれる天体は、比較的観測が容易であるため、初心者から上級者まで幅広い層に愛されています。多くのアマチュア天文学者が、メシエマラソンと呼ばれる一晩で全てのメシエ天体を観測する挑戦を楽しんでいます。

③ 天文学教育への貢献

メシエカタログは、天文学教育においても重要な役割を果たしています。学生や天文愛好家が、天体の基本的な観測技術を学ぶための教材として利用されており、その内容は現在でも教育の現場で広く使用されています。

6.まとめ

メシエカタログは、シャルル・メシエの個人的な彗星観測のために始まりましたが、その後、天文学における重要な資料として広く認識されるようになりました。

110個の天体がリストアップされているこのカタログは、観測天文学の発展に大きく貢献し、アマチュア天文学者にとっても貴重な参考資料となっています。

メシエカタログは、今後も天文学の世界で重要な位置を占め続けるでしょう。観測者にとっては、天体の美しさと神秘を探求するための素晴らしいガイドとなり、また教育現場においても、多くの人々に宇宙の魅力を伝える役割を果たしています。

※出典:記事/画像

出典:https://ja.m.wikipedia.org/wiki/メシエカタログ

Wikipedia

出典:https://www.nao.ac.jp/gallery/messiers.html

国立天文台

出典:https://www.nayoro-star.jp/kitasubaru/astro/photogallery/messier/messier-gallery.html

なよろ市立天文台きたすばる

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