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<ワークショップ・レポート>「人の心を掴むブランド表現」 × 「ストーリー」のポイント解説

2024年2月27日(火) 赤坂インターシティコンファレンスにて開催したBRANDED SHORTS セミナー「人の心を掴む「ブランド表現」 × 「ストーリー」のポイント解説ワークショップ 」(講師:たちばなやすひと氏)
ワークショップの内容を書き起こし形式でレポートいたします!

たちばなやすひと氏より自己紹介

BRANDED SHORTSでは2022年・2023年に審査員を務めた、たちばなやすひと氏

たちばな やすひと氏(以下、たちばな氏):みなさん、こんばんは。たちばなと申します。宜しくお願いいたします。私はドラマのプロデューサーをしていまして、ストーリーをつくることをしています。また、ストーリー目線の解説であったり、BRANDED SHORTSの審査員や、去年は審査員長を勤めたりしています。ブランデッドムービーは色んな角度があり、〈ブランド〉とは何かと、ということですら答えが非常に難しいと思います。正確に、どなたかが言語化されるわけではないと思います。同じくストーリーや感動もそう思います。私は人の心を掴む、ということは私にとって感動させることだと思っていて、ストーリーや感動を言語化している自信があります。ブランデッドムービーそのものというよりか、ストーリー側からの角度になりますが皆様にそれぞれ聞いて良かったなと思える時間にしたいと思います。

◾︎人の心を掴むのに必要なものは何か?

たちばな氏:まずは、人の心を掴むということは、どういうことなのか?紐解いていきたいと思います。人の心を掴むというのは、別の言葉に置き換えると、感動をさせたいということだと思います。作り手や商品やサービスを提供する方であれば、消費者の心を掴みたいわけです。なので、人の心を掴む方法があれば誰でも知りたいことだと思います。なので、そのあたりを具体的にお話ししたいと思います。
一体、どうすれば人の心を掴めるのか?ということになるのですが、私のストーリーメソッド的に皆様に持って帰っていただきたいのが、「CQ(セントラル・クエッション)」です。「CQ」というのは、ストーリー用語でそんなに映画やドラマ業界で使われている言葉ではないですけど、私は自称「CQ」の伝道師で、とにかく全てが「CQ」だと口酸っぱく言っています。映画の「CQ」で例を挙げるなら「果たして、迷宮の謎を解けるのか?」や、「果たして、二人は結ばれるのか?」とかセントラルなクエッション(中心にいる問い)のことを指します。一言でいうと、何に期待をして見ていけばいいのか?というものになります。
「CQ(セントラル・クエッション)」が受け手に届いて見たいと思うものでないと見てくれません。なので、「CQ(セントラル・クエッション)」が魅力的で、強く早く相手に届けられることが何よりも重要だと私は思っています。まずは、手にとってもらわないと始まらないですよね?最後まで見てくれればとか、実際に手にとってくれれば素晴らしいというものでも、目に留めてもらえない、手にとってもらえなければ、意味がなくなってしまいます。つまり、可処分所得や時間の奪い合いになっている世の中で最後まで見てくれればいいではなくて、手っ取り早く、パッと短時間で相手の心を掴むというのがどうゆうことか?と言うと、映画などのストーリーでいえばその結末が見たいかと思うかどうかです。「CQ(セントラル・クエッション)」が魅力的でないと私は見なくていいやと感じ、最後まで見たいと思わない訳です。簡単にいうと、映画の予告編というのは相手に「CQ(セントラル・クエッション)」を伝える手段になります。どんなキャストが出ているだとか、派手なCGのアクションを見せたりすることもありますが、それも含めて、この物語に何を期待して最後まで見ればいいのか、何に期待をして最初見始めたらいいのかというのを伝えることが重要だと思います。
「CQ(セントラル・クエッション)」というは、実はクライマックス(ストーリーの終わり)を予告するものでもあるのですね。つまり、果たして主体が目的を達成できるのか?というのが私の「CQ(セントラル・クエッション)」の定義なのですが、そういった意味で迷宮の謎を解けるのか?や、果たして二人は結ばれるのか?や「CQ(セントラル・クエッション)」の中でも「主体プラス目的の形」や「主体プラス障害の形」などのいくつかのパターンがあります。大きく一口で括れば、果たして主体が目的を達成できるのか?ということで「CQ(セントラル・クエッション)」が表現できます。これは、イコール、クライマックスは何か?という、主体が目的を達成する瞬間と言えます。つまり、「CQ(セントラル・クエッション)」とクライマックスというのは、繋がっているのです。先ずは魅力的な「CQ」じゃないと、魅力的なクライマックスを期待できないので、見始めてもらえないかもしれません。「CQ」が魅力的でも、必ずしもクライマックスが魅力的であるということでもなかったりするので、絶対ではないのですが、逆にいうと、魅力的な「CQ(セントラル・クエッション)」でない場合は、クライマックスは魅了的にはならないのです。なぜかというと、人は期待をしてないと反応できないのです、期待が潜在的か?顕在的か?は別にして、期待が叶うから嬉しいのです。全く期待してないことが叶っても嬉しくないからです。人は、基本的に予測補佐といいますか、予測と実測の差から感情が生まれているので、そのギャップが大きければ大きいほど感情のメカニズムがあります。なんかしらの期待をさせて、それに応える形で満足を得て、その先に感動が生まれます。

◾︎ドラマカーブについて 「ほとんどのストーリーはこの型で説明できる」


①    CQ
②    プチハッピー
③    ボトム
④    再起
⑤    上昇
⑥    クライマックス
⑦    +α
たちばな氏:私がドラマカーブという言い方をしているのですが、最も基本的なドラマカーブというものは、上記のような形をしています。そこに7つのポイントをはめているのですが、
まず①CQこれが先ほどご説明したセントラル・クエッションですね。最初にある種、期待を約束させるといいますか主人公が物語の中でどこへ向かうのかを提示されるこれがセントラル・クエッションということになります。
そこに、なんとなく上手いこといって(②プチハッピー)、そこから、ピンチが生まれどん底(③ボトム)になり、そこから復活をして(④再起)クライマックスに向かって上昇(⑤上昇)して、何かを成し遂げる(⑥クライマックス)そして、そこにおまけorひっぱり(⑦+α)を持たせることです。
これは、全てのストーリーに当てはまることではありません。ただ、代表的にはディズニーやピクサーが作るアニメは、ほとんどこの形で綺麗なカーブになっていることが多いです。この後少し、具体的な例をお見せするのですが、実際にこういう構造が隠れているということは、断言できます。

◾︎ドラマカーブの具体的な例
【ドラえもん】

たちばな氏:こちらはドラえもんですね。アニメの短い一話完結と、映画では少し違うので今回は映画の方だと思ってください。
まず、のび太は異世界から現れたゲストにSOSを受けて冒険に出発するというところが①CQになります。因みに、CQが入ったあとに、タイトルが入ることは多いです。タイトルがドーンと入った時にCQが提示されていることが多いです。
そこで、②のプチハッピーで最初は異世界で友達ができたりして順調だったりするのですが、③ボトムで敵側から攻撃を受けたり、仲間割れがあってどん底になり、何かしらのきっかけで復活して、今度こそ敵を倒すと立ち上がる。これが④の再起になりますね。
次に、⑤の上昇というのが、新しい作戦やドラえもんの新しい道具が出てきて弾みがついて、⑥クライマックスへ向かっていき、ラスボスとの対決があり一団となりみんなで敵を倒すという瞬間が⑥クライマックスになります。
①CQ果たしてのび太たちが異世界を救えるのか?や敵をやっつけることができるのか?というセントラル・クエッションに対して、⑥のクライマックス、一団となってラスボスを倒すというのが繋がっています。
最後に、⑦+αは、異世界のゲストと涙の別れがあって、元の世界に戻るというのが描かれています。ドラえもんの映画自体は何十作とつくられている訳ですけど、大きくいうと全てがこの構造になっている訳です。そうやって考えるとストーリーの構造が少し透けて見え、抽象度を上げると確かに大体こういう仕組みになっているなと、感じていただけたらと思います。

【日本の歴代興行収入ランキング】

ここで日本の歴代興行収入ランキングを見てみます。これまでのワークショップなどで作成したドラマカーブを皆様にお見せしようかと思います。ONE PIECE FILM REDだけご用意が出来ませんでしたので、ご了承ください。

【7位:ハリー・ポッターと賢者の石】

まず、7位の「ハリー・ポッターと賢者の石」になります。これを見ると、ドラマカーブになっているの?と思うと、思います。結構右肩上がりになっていて、アニメや子供向けのものはあんまり③ボトムが強くないのです。割と安心して見られるようになっていて、基本的には割りとグングン上がっていき途中でもちろん中間に③ボトムらしきところもあったりします。2時間のところを前半と後半に分けて、その中にドラマカーブが2つあるパターンも多いですよね。基本的にはストーリーの構造は、V(ブイ)になっていて、③ボトムに落ちて復活する(④再起)ので、このV(ブイ)の構造をどうやってはめ込んでいくかということになります。V(ブイ)の構造が、一つまたは二つあります。大きくいうと一つにはなっているのですが、細分化していくとドラマカーブに近い構造が隠れていたりして、いわゆる相似形というケースが多いです。

【5位:君の名は】

「君の名は」は、ちょっと特殊になります。ダブル主体と言いますか、さっき言っていた①CQが二つあります。主体プラス目的で①CQができるのですが、ダブル主体なので、それぞれの物語と絡んでいます。ただ、大きくいうと、こういうドラマカーブになっています。

【4位:アナと雪の女王】

次に「アナと雪の女王」です。「アナと雪の女王」も先ほどの「ハリー・ポッターと賢者の石」通り、右肩上がり具合が強いです。あまりストレスの時間が少なく見られて、物凄くどん底に落ちて暗くて我慢できない場面も少なく、③ボトムになったらドンドン気持ち良く上昇するという構造になっています。「アナと雪の女王」も「君の名は」同様にダブル主体になっていて、前半は妹の方から始まり、後半は姉になっていって途中から主体が変わっていくのです。二人で括ると、後半に③ボトム、④再起、⑤上昇、⑥クライマックス、⑦+αが固まっているという言い方になっています。③ボトムを潜りながら、⑤上昇していって、最後⑥クライマックスが一番高いところにあるというパターンになります。

【3位:タイタニック】

「タイタニック」は、ちょっと変わっていて前半は気持ちいい位⑤上昇していって、後半は前半で貯めた貯金をとにかく使い果たしていく構造で悲劇のパターンになります。悲劇の定義は、簡単にいうと始点より終点が低いということです。スタート地点よりゴール地点が上の場合には、基本的にハッピーエンドで逆に、ゴール地点の方が低い場合は悲劇になります。悲劇の場合どうなっているかというと、大体③ボトム、④再起といったところで終わるということです。つまり、⑥クライマックスまではいかないのだけど、ただ何らかの意味で二人には幸せがあると言いますか、例えば、映画「零 ゼロ」でいうと、特攻隊が戦争に負けるというのを分かりながらも、最後に何のために飛ぶのか?という内的成長の部分をどう乗り越えるのか?というところだと思います。内的成長の部分に、カタルシスがあって、結果的にはハッピーにならないのだけども、何らかの形で成長やカタルシスや満足がある場合に悲劇を持しています。「タイタニック」が非常に上手だなと思うところは前半と後半で全く味が変わるというところです。前半は格差を超えた二人のラブストーリーでグングン気持ち良くなっていき結ばれた瞬間に、今度は衝突をしていきます。前半の①CQは、果たして二人は結ばれるのか?という形になるのですが、後半の①CQは果たして二人は生き残れるのか?になっていきます。なので、①CQがガラッと変わって、まるで2本の映画がある形になっていて1本目はラブストーリーのサクセスを描いていて、2本目はパニックムービーになりその中で生き残ることができるのか?となります。最後に男性が死んでしまうのですが、ちょっとグラフが上がっているところがありますね。これは、二人は死に別れてしまうのだけども、その後女性は内的①CQが叶い自分らしく生きることができ完結するという悲劇の一つの形になっています。なので、決してアンハッピーエンドではなく、ドラマカーブで見ると悲劇になるのですが、見心地が良いと言えるのです。

【2位:千と千尋の神隠し】

「千と千尋の神隠し」はドラマカーブとしては綺麗と言えると思います。主人公の千尋の成長物語としては分かりやすく、①CQとしては異界のところに迷い込んでしまった主人公が果たしてそこから脱出出来るのか?ということになります。最後脱出できるという形です。

【1位:鬼滅の刃〜無限列車編】

「鬼滅の刃〜無限列車編」もダブル主体の要素があり、煉獄さんというキャラクターがもう一人の主人公という形で描かれているのでちょっとややこしい構成になっています。これも前半と後半で話が二つあるのが、くっついている応用編になり、大きく見ればこのようなドラマカーブが入っています。

◾︎ドラマカーブのポイント


たちばな氏:ドラマカーブの7つの点の面白さやメリットでもあるのですが、どんな複雑な話でも7行で表現できるということです。つまり、よく映画を見てどんなストーリーだったか他の方へ伝える際に、説明した経験があるかと思います。最低限の言葉で説明しようとした時には、①から⑦のポイントを説明してあげると相手に伝わるということなのです。なので、どんなストーリーでも7行で基本的には説明できます。ある意味では、2時間かけないと伝わらないものを我々は作りたいし、そうゆうものが持っている力があるのは事実です。
一方で、内容をギュッと圧縮することもできる。私にとっては、ストーリーの存在意義というか、何故ストーリーが必要なのか?という問いの答えのひとつだと思っています。つまり、テーマなども含めて論理的に説明してしまったとして、多分2時間かけて見た感動は相手には伝わらないですよね。相手を感動させるためには、2時間というストーリーの体現行為が必要になってきますが、根っこにある設計図はこれだけコンパクトだったりするという、ここが非常に想像性の美しさというか神秘的なところだなと思います。
 

◾︎受賞作品「恋するチャミスル」のドラマカーブについて考えよう

たちばな氏:面白い作品ですね!去年は審査員一同、やられたなという感じでした。この素晴らしい作品をストーリー目線で私なりに解説すると、①CQはラブストーリーの場合少し特殊になり、美男美女揃ってその化学反応が見たくなるというような期待になります。その後、②プチハッピーは初々しく二人が近づいてく様子が展開されていました。そこから、ドーンと③ボトムに入り、相手の婚約者が現れ、父が勧める縁談を断り、④再起でハンカチを見て思い出し、⑤上昇である雨が降っているところに相手が現れて⑥クライマックスに入っていく、そして、⑦+αで一緒にチャミスルを飲むという物語の流れになります。
たった7分ほどのストーリーなのですが、ものすごく綺麗にドラマカーブが入っているということになります。7分でも、あるいは、30分のアニメでも、1時間のNetflixのドラマでも、2時間の映画でも、このような形で基本的な構造というのは、シンプルなのです。どこかにピンチがあって、ボトムがあって、なんかしらで復活して最後にクライマックスが入ります。①③⑥のVを描くというのが基本的にストーリーの本質というか構造になります。そして、重要なポイントは、⑦でチャミスルが出てきたというところです。つまり、ブランデッドムービーとしてなんらかの形でストーリーというものにある種の商品やサービスを当てはめる場合、どこに寄り添っているかどうか?は、商品やサービスのコンセプトやセールスポイントを表しているとも言えると思います。

◾︎受賞作品「カラバオ」のドラマカーブについて考えよう

たちばな氏:めちゃくちゃいい作品ですよね!とっても好きな作品です。ドラマカーブも見れば見るほど複雑で難しいところもありますが、1時間前の自分を想像して欲しいのですが、その時では見抜けなかったドラマカーブを皆様はすでに感じていただけているはずだと思っています。
この作品は、③ボトムと④再起を行ったり来たりしているのです。この作品は、人は何故戦うのか?という箇所がある種の①CQで描かれていて、問いがでることによりその答えを知りたくなる訳です。実は、さっき見ていただいた「恋するチャミスル」と違って、こちらに関してはチラチラと商品が出てくるパターンですね。基本的にはずっと③ボトムが描かれていますが、見終わった時に気づいたりしますが、頑張るぞというところで商品が出てくるのです。なので、同じ飲料プロダクトでも寄り添っているポイントが違うというところがあります。
前回の「恋するシャミスル」は⑦+αに出ていきます。二人を労い豊かな時間をシェアしようよ、という形で登場するのです。一方、「カラバオ」は、③ボトムと④再起の困難に立ち向かう時には、常にカラバオがそばにあるというメッセージや想いを込めて商品を作っているということが伝わります。なので、そこに込められたストーリーの作り方が全然違うということを皆様に知ってもらいたいと思い2つの例を挙げさせていただきました。
 

◾︎自社のブランデッドムービーのストーリーを考えよう(ワークショップ)


たちばな氏:先ほどご説明した通り、ストーリーは7行で表現できるので、今回は皆様に7行のストーリーを作ってもらおうと思います。CQのセントラル・クエッションというのは、果たして主体が目的を果たせるのかどうか?ということになりますので、CQで始まり目的が叶う瞬間を⑥クライマックスという形のストーリーを作ってみるといいと思います。企業の方は自社の商品やサービスが何かしらの形で関わっているのを作っていただき、クリエイターの方は、自分の好きなブランドやプロダクトを対象に設定してみてください。

ワークショップのポイント
・主人公は自分(or コアターゲット)
・①CQ ③ボトム ⑥クライマックスを考える
・クライマックスに商品やサービスを出さなくてよい
→サービスそのものが出てこなくていい
 
たちばな氏:①CQ③ボトム⑥クライマックスから、ストーリーが作られるとご説明しました。
面白いのは、①CQと⑥クライマックスは相関関係にあり、③ボトムと⑥クライマックスも相関関係にあります。つまり、①CQ③ボトム⑥クライマックスのどれか一つでもあれば、ストーリーが作れるということなのです。これが、ドラマカーブ7つのポイントを提唱している最大の理由なのですが、どこか一つ強烈にイメージがあればストーリーはそこから逆算して作れます。
①CQが出来ていれば、それを達成する瞬間が⑥クライマックスになり、③ボトムは⑥クライマックスの正反対の位置を作ればいいので大体の骨格ができます。その他の、②プチハッピー④再起⑤上昇は埋めていけばいいのです。また、③ボトムの苦しくてしょうがないこの状況をなんとかしたいというのさえあれば、それが転機して⑥クライマックスを作ればいいし、それを期待させるかのような①CQを作ればいいのです。このような形で、どこか一つあればストーリーは作れるのです。これが、ストーリーメソッドの最大のポイントだなと思っています。

◆ワークショップ 例その1


①私は超絶鬼のような担当者がいるA社のCMを無事作り、視聴者から評判を得られ鬼担当者を喜ばせられるか?
②鬼担当者からオリエンで過去の事例を認められる。
③提案した企画に鬼担当者からボコボコにされ、俺を満足させたかったら100本の企画を持って来い!と言われる。
④映画監督とトコトン話し合い深夜のファミレスで企画1000本ノック。早朝ビールで乾杯。
⑤無事納品したCMが話題となりSNSで数万シェア。
⑥広告祭で賞を獲り、鬼担当者が感動してステージで泣く
⑦A社から弊社に次の仕事を発注される。泣いたことをイジってまた怒られる。
 
↑たちばなさん解説
たちばな氏:素晴らしい!皆様拍手してください!!完璧なドラマカーブでしたね!!
プロフェッショナルな目線でコメントすると、①CQが魅力的かどうかでこれに尽きます。①CQが魅力的ではないと、⑥クライマックスが魅力的にはなりません。それでは、ここで少し①CQが魅力的になるように、飛躍してフィクション要素を強めて例を挙げると、それが達成できないとどうしても困るという状態になると、より見たくなると思います。なので、鬼担当者のプレゼンを取らないと無事にプロポーズできないなど、そうゆう風にしてみると①CQがどうなるのか見届けたいと人々は思うでしょう。
また、④再起も重要なポイントで、⑦クライマックスを支える大きな役目にほとんどなります。なので、僕たちは④再起をどうするべきかを非常に考えるのです。ここで言うと、鬼担当者というのがとても想像できるので、④再起に例を挙げて付け加えるなら、鬼担当者の人が、商品や何故これをやってほしいかと言う熱い思いが、直接的ではなく違う形でその熱い思いを受け取るようなストーリーを持たせると、単に今まで厳しくて怒っていたわけではなく、より頑張ろうと思えると思います。
 

◆ワークショップ 例その2


①靴売り場 父「良い靴が欲しい」 娘「これが良いんじゃない?」
②父「かっこいいね」 しかし父別のコーナーへ
③店員現れる 父「幅広い靴が欲しいのだけど、ついでにビジネスでも履けるような」 店員が2人とも勧める靴を履いているが痛いしデザインも良くない 娘「私が来た意味ないじゃん」
④娘の勧めたさっきの靴見る父
⑤履いてみると痛くない!歩きやすい!全然違う! そして、ちょっと垢抜けた?
⑥父「お前と来て良かったよ」
⑦母もこっそり同じメーカーの靴を履いてみる
 
↑たちばなさん解説
たちばな氏:めちゃくちゃ良いですね!本当に素晴らしいです。私と父のストーリーが物凄く伝わってくるし、たった7行なのに感動さえしませんか?それでは、こちらを更に魅力的なストーリーする場合、
①CQは出来るだけ切実である方がいいのです。目的の切実さであるいは、障害の切実さ。簡単に言うと、どうしても達成したいという切実さがあればあるほど①CQは魅力的になります。相手の訴求力が強くなります。なので、一番初めに、父「良い靴が欲しい」 娘「これが良いんじゃない?」というところの切迫度を上げてあげるといいと思います。例えば、娘の誕生日や父の日にしてみたり、何となく娘にかっこいいとこみせたいなだったり、娘から誕生日もらえるのかな?や、娘の誕生日に何か良いのを買ってあげて「ありがとう」って言われたいなどの切実な目的を出しておいて、果たして成功するのか?という①CQにしてあげると結末が見たくなりませんか?このような形にしてあげて、③ボトムは、思いのよらないトラブルが起きて中々⑥クライマックスの正反対にいくなどすると良いと思います。

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◾︎Q&A


Q:ドラマカーブのY軸(縦)の数値はどのような要素の総合値になりますか?
A:スプレッドシートでグラフをとっています。まず、時間をとっていて、時間に対してプラスマイナス1、微妙なのを0.5に刻んでそれを足していきます。上がっていたり、下がっていたりするのを合計値にして、もっと言うと1分でプラス1と2分でプラス1はやっぱり1分でプラス1の方が、インパクトが強いのでその分は考慮して掛け算している形で作成しています。縦軸は何なのかと言いますと、ドラマカーブはよく感情曲線と言われ方をするのですが、客観的に捉えにくいし、主体が騙されていて本当は目的から離れていくのに主体が喜んでいる場合とかがあり、結構データが取りにくいのです。なので、私の場合ですと、X軸は当然時間ですね。Y軸はCQの達成度にしています。CQの達成度によって上下させる。そうすると、一番ボトムCQの達成度が低くなり、ゴールのクライマックスでは一番CQの達成度が高くなると言うことです。 

Q:連続ドラマの場合も、このドラマカーブを毎話設けた方が良いのですか?
A:はい。基本的には、ドラマカーブがあります。昨今、ストーリーの時間軸がよりショートになっているので、1時間の中に30分のドラマカーブを二つ作るという作戦もあります。連続ドラマでいうと、一話あたりのCQのドラマカーブがあるし、シリーズ全体にもある種のCQのドラマカーブがある親子構造にしてあげるといいです。 

Q:カラバオの②プチハッピー要素がわからない
A:②プチハッピーをあえて飛ばしているのですね。これが本当にすごいところです。③ボトム④再起を交互にやって、それ以外の箇所を全て省略したこれが、カラバオのすごいところだと思っています。

 Q:各行について、1行より情報が多くなっても構いませんか?
A:はい、構いません。7行で最小の文字数でも物語は作れるということ提案しているのですが、実際に私は企画を作る時に7行でプロットを作って、それを3倍にしていきます。どこからでも3倍にして増やしていって、最終的にシナリオになるような形にして、骨格が変わらないっていうやり方をしています。自分の書きやすいところから、書くのを含めて一話ずつの情報量が増える分に関しては全く問題ないです。