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オロチメダカの特徴・飼育方法

オロチメダカは黒さを追求した品種で、その黒さは「漆黒」と言っても過言ではないでしょう。派手ではないですが、見た目のインパクトは改良メダカの中でも特に大きいと思います。渋いかっこよさが感じられるこの品種は、人気も非常に高いです。

今回はこの特徴的なオロチメダカについて、品種としての特徴や飼育についてご紹介します。

オロチメダカとは

オロチは、2016年作出の新しい品種です。奈良県のメダカファーム「飛鳥めだか」の谷國昌博氏により作出されました。冒頭の写真を見てもらえば分かる通り全身が真っ黒な体色をしたメダカで、その黒さは現在オロチより黒いメダカはいないと言われるほどです。他のブラック系統のメダカでは黒色素胞がのりにくい下顎や腹部まで黒く、さらに各ヒレも黒い、まさに漆黒という言葉がふさわしい黒さのメダカです。

また、ブラック体色のメダカでは、室内飼育や白容器での飼育だと背地反応により体色が抜けることがありますが、オロチは背地反応を起こさず室内飼育や白容器での飼育でも体色が抜けません。この特徴も、濃い体色を楽しみたいブラック系の品種としては大きな強みです。はっきりとしたブラック体色と「オロチ」というネーミングからもわかるように、とにかく「格好良さ」を追求した品種の一つの到達点がオロチメダカだと言ってしまっても良いでしょう。

オロチが真っ黒な体色になる理由

オロチの体色がここまではっきりとしたブラックになる理由については、まだはっきりとは解明されていません。まだ発見されていない未知の遺伝子が影響しているのか、既に発見された遺伝子の影響なのかも、よくわからないのが現状のようです。

仮に既知の遺伝子が影響しているとする場合、Va(Variegate)と呼ばれる形質を発現する遺伝子の影響ではないかという説があります。Variegateは「まだらにする」という意味の言葉で、改良メダカ界隈やメダカ研究者の間では、皮膚に黒斑が現れる形質を指します。

似た形質に斑(錦)と呼ばれるものがありますが、Vaでは背地反応しない黒斑が現れるのに対し、斑では背地反応を起こすため白い容器ではまだら模様が見えにくくなるところに違いがあるようです。ブラック体色を突き詰めるためには、背地反応をしない黒色素胞が多いほうが黒さを維持しやすく有利であることは言うまでもありませんね。

また、オロチは目の周囲も真っ黒ですが、この形質はパンダメダカ等と同じ透明鱗の特徴だと思われます。ただし、体の他の部位には透明鱗の特徴は見られません。稚魚から幼魚時には透明鱗の特徴が見られる個体もいますが、成長と共に徐々に黒色素胞に覆われていくようです。

この他に、オロチは白色素胞と黄色素胞を持っていないこともわかっています。

オロチメダカの飼育方法

以下のような飼育方法が基本になってきます。

  • 一般的なアクアリウムでの小型魚飼育では水量は体長1cmにつき1リットルが目安

  • メダカ愛好家は1匹1リットルを目安とする人が多いがアクアリウム的な飼育方法よりも換水頻度は高い

  • 飼育場所や品種によって適する飼育容器が異なるため「飼育容器選びのポイント」のページ参考に

  • 幅広い水質に適応できるが急激な水質変化はダメージが大きいため水合わせは丁寧に

  • 使用期限を過ぎたエサは与えない

屋外飼育のポイント

  • 水質の維持にはホテイアオイ等の浮草系水草の利用が有効

  • すだれを使って夏場の高水温を対策

屋内飼育のポイント

  • ろ過フィルターを使用して水質を維持

  • 概日リズム調節のためライトも必要

  • 水槽は60cm規格サイズか30cmキューブサイズがおすすめ

ただし、オロチが他のメダカと違う部分が一つあります。オロチは、高めの水温が苦手なのです。他の品種に比べて高水温への耐性が低く、「これくらいの温度なら大丈夫だろう」と思ってしまう温度でも、オロチの場合は死んでしまうことが多いです。そのため、オロチの飼育では水温が上がりすぎないように注意しましょう。

オロチメダカの繁殖方法

繁殖方法についても、オロチだからと特別なことはありません。細かい方法は黒メダカ等の他の品種についてのページに書いてありますが、大まかに以下の方法でやれば大丈夫でしょう。

メダカの繁殖方法

  • 日照時間が12時間以上、水温18℃以上をキープ

  • 食卵を避けるため卵はすぐ親メダカから隔離

  • 産卵床を使用すれば卵の隔離が容易

  • 孵化までの積算温度は250程度

  • 稚魚(針子)はエサ切れに弱く餓死しやすいので1日に2~5回の高頻度で給餌

  • 稚魚も親に食べられないサイズまでは隔離飼育

ただし、オロチは骨格が悪い個体が多く、曲がった体型になりやすいと言われています。そのため、出来れば種親にはオスメス共に綺麗な体型の親を選んでやったほうが良いでしょう。ブラック体色の固定率自体は高めなので、繁殖させて生まれた子供や孫の世代でも、十分にオロチの魅力を楽しむことができるはずです。

オロチメダカの魅力・おすすめポイント

オロチの最大の魅力は、やはりその真っ黒な体色です。他のブラックメダカと比べても、その黒さは一段上のレベルと言えるでしょう。とても格好良くて人気のあるメダカで、オロチのカッコよさに惹かれてメダカ飼育を始めたという話を聞くことも少なくありません。黒一色というシンプルなメダカではありますが、シンプルゆえの奥深さもあります。
水槽でも白容器でもオロチの濃いブラック体色は抜けることがないので、幅広い飼育方法で楽しめるというのもオロチの強みの一つです。飼育・繁殖ともに簡単な部類なので、初心者でも楽しむことができるでしょう。
体色の固定率が高いので、累代繁殖をさせてブラック体色に磨きをかけても良いですし、まだ比較的新しい品種なので色々な品種と掛け合わせてオリジナルの品種を作出するのも楽しいでしょう。改良メダカのなかでも非常に魅力的な品種であることは間違いないので、興味のある人は飼育を検討してみてはいかがでしょうか。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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