木こりの泉【読切超短編小説】
正直者の木こりが、
金の斧を手にしてから
数時間後の泉。
大きな音と共に、
泉中の落ちた斧が、空中へ持ち上げられた。
これから彼女は、鍛冶屋へ
これらを持っていき、換金するのだ。
今よりも、鉄の貴重な時代。
これだけあれば、金の斧が買えるだろう。
いくら魔法が使えるとはいえ、
何もないところから、
何かを生み出すことはできない。
全ては、正直者に楽をさせたいという、
女神様の優しい心だった。
ただその陰では、商売道具を無くし、
生活できなくなる沢山の木こり達が…
新調しようにも、鉄は余りに高いのだ。
いや、そもそも、商売道具である斧を、
プロの木こりが、誤っても、
泉に落とすはずなどないのである。
全ては、正直者に楽をさせたいという、
女神様の優しい心だった…
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?